インタビュー

自閉症スペクトラムの方への支援――子どもの頃からの継続的なサポートが重要

自閉症スペクトラムの方への支援――子どもの頃からの継続的なサポートが重要
本田 秀夫 先生

信州大学医学部 子どものこころの発達医学教室 教授

本田 秀夫 先生

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この記事の最終更新は2015年07月08日です。

よく、自閉症スペクトラム「障害」という言葉が使われます。しかし、本田秀夫先生は「自閉症スペクトラム障害」と「自閉症スペクトラム」は異なる、とおっしゃいます。

自閉症スペクトラムは「マイペースでこだわりが強い」という個性なのです。それをうまく活かし、社会で大活躍している方も多くいます。しかし、それがうまくいかないと自閉症スペクトラム「障害」という形でさまざまな障害が出てきてしまいます。

本田先生は、自閉症スペクトラムの方に対し、子どもの頃からの一貫した継続的な支援を20年間にわたって実施してきました。その結果として、自閉症スペクトラムの子どもが自閉症スペクトラム「障害」にならないケースが増えてきました。こうした支援について、わかりやすくご説明いただきました。

ここまでの記事では、大人をテーマにお話してきました。ここからは、私が横浜市で20年間にわたって取り組んできた、子どもの頃からの自閉症スペクトラムの早期発見と早期支援、その効果について述べていきます。

この取り組みからまずわかってきたことは、自閉症スペクトラムは早期発見が大切であるということです。小さいときから対応すると、何が変わるのでしょうか? それは親御さんです。親御さんが自分のお子さんの特徴を分かることによって、否定的な目で見なくなるという効果があります。

現在私が診療している信州大学のある長野県は、まだ早期発見がそこまで進んでいない地域です。小学生以降になってからのトラブルを契機に、はじめて来院するケースがよくあります。その場合、親御さんがすでにお子さんに対して否定的な見方をしてしまっているケースがあります。幼児期のうちに親御さんが自閉症スペクトラムの特徴を理解していれば、お子さんに対して否定的な見方をすることを防ぐことができ、子どもとどう付き合ってよいかを親御さん自身が体得できます。

早期発見をした後には支援が欠かせません。そして支援にはどうしても親御さんの力が必要です。小さい頃から親御さんが自閉症スペクトラムの特徴に慣れているほうがスムーズに支援に入れます。早期発見によって着実に支援・療育へ入っていくことで、障害にならずに済むケースが少しずつ増えてきました。

今の世の中は特徴・個性が出しづらい世の中です。
例えば、子どもが子どもらしい特徴を出すことすら許されない社会になりつつあります。「まだ子どもなんだからいい」は通じません。電車で泣く赤ちゃんがいたらそれでも怒られてしまします。幼稚園がうるさいからクレームが来たというニュースもありました。

発達の過程にもさまざまなパターンがあります。どんどん発達していく子どももいれば、ゆっくりと発達していく子もいます。「発達が遅いように見えるけれど、まだ無理だからいいか」と思ってもらえればいいのですが、そうはいかないことも多くあります。小学生のときはできなくても、中学生くらいになるとできるようになることもよくあるのですが、できるようになる前にいじめの対象になり、変な目で見られてしまうことがあります。偏見をもたれ、引きこもりなどの二次的な問題に発展していってしまうことがあるのです。発達の遅い子に対しては保護的に扱うことも必要だと考えます。

この世界は、個性ある人・特徴ある人が牽引して進歩させてきたという側面があると考えます。自閉症スペクトラムも個性ですし、そのおかげで大活躍することもあります。ですからきちんと早期発見し、ストレスにさらされすぎないように保護してあげることが大切です。個性・特徴を見つけると積極的につぶしにかかるようなことのない社会になっていくことを願います。

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