よく、自閉症スペクトラム「障害」という言葉が使われます。しかし、本田秀夫先生は「自閉症スペクトラム障害」と「自閉症スペクトラム」は異なる、とおっしゃいます。
自閉症スペクトラムは「マイペースでこだわりが強い」という個性なのです。それをうまく活かし、社会で大活躍している方も多くいます。しかし、それがうまくいかないと自閉症スペクトラム「障害」という形でさまざまな障害が出てきてしまいます。
本田先生は、自閉症スペクトラムの方に対し、子どもの頃からの一貫した継続的な支援を20年間にわたって実施してきました。その結果として、自閉症スペクトラムの子どもが自閉症スペクトラム「障害」にならないケースが増えてきました。こうした支援について、わかりやすくご説明いただきました。
ここまでの記事では、大人をテーマにお話してきました。ここからは、私が横浜市で20年間にわたって取り組んできた、子どもの頃からの自閉症スペクトラムの早期発見と早期支援、その効果について述べていきます。
この取り組みからまずわかってきたことは、自閉症スペクトラムは早期発見が大切であるということです。小さいときから対応すると、何が変わるのでしょうか? それは親御さんです。親御さんが自分のお子さんの特徴を分かることによって、否定的な目で見なくなるという効果があります。
現在私が診療している信州大学のある長野県は、まだ早期発見がそこまで進んでいない地域です。小学生以降になってからのトラブルを契機に、はじめて来院するケースがよくあります。その場合、親御さんがすでにお子さんに対して否定的な見方をしてしまっているケースがあります。幼児期のうちに親御さんが自閉症スペクトラムの特徴を理解していれば、お子さんに対して否定的な見方をすることを防ぐことができ、子どもとどう付き合ってよいかを親御さん自身が体得できます。
早期発見をした後には支援が欠かせません。そして支援にはどうしても親御さんの力が必要です。小さい頃から親御さんが自閉症スペクトラムの特徴に慣れているほうがスムーズに支援に入れます。早期発見によって着実に支援・療育へ入っていくことで、障害にならずに済むケースが少しずつ増えてきました。
今の世の中は特徴・個性が出しづらい世の中です。
例えば、子どもが子どもらしい特徴を出すことすら許されない社会になりつつあります。「まだ子どもなんだからいい」は通じません。電車で泣く赤ちゃんがいたらそれでも怒られてしまします。幼稚園がうるさいからクレームが来たというニュースもありました。
発達の過程にもさまざまなパターンがあります。どんどん発達していく子どももいれば、ゆっくりと発達していく子もいます。「発達が遅いように見えるけれど、まだ無理だからいいか」と思ってもらえればいいのですが、そうはいかないことも多くあります。小学生のときはできなくても、中学生くらいになるとできるようになることもよくあるのですが、できるようになる前にいじめの対象になり、変な目で見られてしまうことがあります。偏見をもたれ、引きこもりなどの二次的な問題に発展していってしまうことがあるのです。発達の遅い子に対しては保護的に扱うことも必要だと考えます。
この世界は、個性ある人・特徴ある人が牽引して進歩させてきたという側面があると考えます。自閉症スペクトラムも個性ですし、そのおかげで大活躍することもあります。ですからきちんと早期発見し、ストレスにさらされすぎないように保護してあげることが大切です。個性・特徴を見つけると積極的につぶしにかかるようなことのない社会になっていくことを願います。
信州大学医学部 子どものこころの発達医学教室 教授
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IQ検査の結果
5歳の息子が1歳半検診で指摘され結果、軽度知的障害と診断され、その後自閉スペクトラム症とも診断されました。 療育にも通い、4月から小学生になる事で療育でかかりつけのクリニックでIQの検査を受け結果IQ91でした。 同じ時期に療育手帳更新で、指定された子供センターでIQ検査をした所、IQ79でした。 IQに差がありすぎて混乱しています。 学校や保育園も境界知能か平均かで支援の仕方も変わってくるので、どちらを伝えたら良いのかも分かりません。 このように検査する場所で違った場合はどうすれば良いのでしょうか?
自閉スペクトラム症と自閉症のちがいについて
3歳3ヶ月の娘についてです。 娘ですが、先日発達センターより 『軽度の発達障害で自閉スペクトラム症』と診断されました。 そう診断された主な理由として、 ●言葉の遅れ ●コミュニケーション能力の欠如 の2つが認められるからです。 この自閉スペクトラム症と自閉症というのは別物なのでしょうか。 この診断があった際、私は自閉スペクトラム症という言葉を初めて聞いたのでいまいち理解できずに、先生に『うちの子は自閉症ということなのでしょうか?』と聞いたところ『いえ、自閉症ではありません。』との事でした。 今後、娘が成長するにあたり、自閉スペクトラム症と周りに話す機会があるかと思うので、その辺の違いについてきちんと理解をしたいと思い投稿しました。 (ネットで調べてもいまいち分かりませんでした。私が無知なのもあるかも思うのですが。)
発達障害だと思います。
仕事が長く続きません。仕事が出来ないと思われて、3カ月か半年しか続きません。 発達障害だと思います。
不登校、聴覚過敏
小さい時から、爪かみをし、指の皮膚を噛んで指先がぼろぼろになったりしていました。10歳くらいから、対人関係(大人)で悩むことが多く、学校の先生に対しての対応かしにくく、自分が嫌と思う先生には口も開けないようになったりしていました。嫌なことがあったり、親の私が怒ったりすると自室にこもり、手首をカッターで軽く切るなど自傷行為もありました。この時、小児科から精神科、カウンセラーと話す機会がありましたが、本人は拒否して、親の私だけが通いました。成績はそれなりによく、中学も友達との関係は良好で過ごせました。中学の担任の先生は女性で理解があり優しい穏やかな方だったのでなんとかやり過ごせましたが、公立の高校に入り、生徒会にはいり頑張っていましたが、担任(女性)が嫌過ぎて二学期から学校に行かなくなりました。耳なりや、聴覚過敏を訴えたので耳鼻科に行くと、自閉症ではないかといわれました。 学校での立場は、彼女的には頑張っている自分が当たり前のようにしているので かなり疲れるのだと思います。 目がうつろで暗く落ち込んでいたのですが、学校に無理に行かなくても大丈夫と関わると穏やかに笑顔も見せるようになりました。自閉症スペクトラムかもと考えて様子を見ていくべきでしょうか?
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