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インタビュー

アスペルガー症候群の症状―コミュニケーションなどが苦手な発達障害

アスペルガー症候群の症状―コミュニケーションなどが苦手な発達障害
太田 晴久 先生

昭和大学 発達障害医療研究所 講師

太田 晴久 先生

アスペルガー症候群は、自閉症スペクトラムと呼ばれる発達障害のひとつで、典型的な自閉症とは異なり、知的発達と言語発達の遅れがみられないものを指します。自閉症スペクトラムには2つの特徴があり、1.コミュニケーションや対人関係の困難、2.限定的な興味やこだわりが強い点が挙げられます。しかしながら知的発達・言語発達の遅れがないために表面上はコミュニケーションが取れることも多いことから、大人になって初めてアスペルガー症候群と診断される方も多いです。アスペルガー症候群の症状やADHDとの違いなどについて、昭和大学発達医療障害研究所 講師の太田 晴久先生にうかがいました。

運動が苦手な子ども

アスペルガー症候群とは、自閉症をはじめとする自閉症スペクトラムのひとつです。自閉症とよく似た特性を持ちます。しかしながら典型的な自閉症と異なり、知的発達の遅れと言語発達の遅れの双方がみられない点が特徴です。

  • コミュニケーションや対人関係が苦手
  • 興味の偏りやこだわりの強さ
  • 感覚の偏りや動きのぎこちなさ

アスペルガー症候群自閉症スペクトラムのなかでも知的発達や言語発達の遅れがみられないため、表面上は会話ができているようにみえます。しかし、あいまいな表現や行間を読むことが苦手なため、何となく話が通じにくいという面があります。言外のコミュニケーション(相手の表情を読み取る、身振り手振りなど)もうまく理解することができません。

  • あいまいな言葉や指示が苦手
  • 指示されたこと以外ができない(想像することが苦手)
  • 相手の表情を読み取る、身振り手振りを理解することが苦手

友人とうまくかかわれない子ども

アスペルガー症候群を含む自閉症スペクトラムの患者さんは、他者への関心が薄いことから相手の気持ちを理解することが苦手です。そのために、会話が一方的だったり、自分の興味のない話だとまったく関心を示さなかったりといったことが起きます。

  • 会話が一方的
  • 自己中心的な行動をしてしまう
  • 空気が読めず、場にそぐわない発言や行動をしてしまう
  • 他人に対する興味が薄い

興味や関心が限定的な点も、アスペルガー症候群など自閉症スペクトラムの方の特徴です。関心があることに対しては、類まれな記憶力や集中力を発揮します。

一方、こだわりが強く自分が納得できるまで物事に取り組むことから、要領があまりよくない、急なスケジュール変更などに対応しにくいという面もあります。

  • 記憶力や集中力が非常に高い
  • ルールを忠実に守る
  • 融通を効かせることが苦手
  • 要領があまりよくない

アスペルガー症候群含む自閉症スペクトラムの患者さんは、ある感覚が過敏だったり、鈍感だったりすることがあります。また、手先が不器用、球技が苦手など動きのぎこちなさがみられることもあります。感覚の偏りや動きのぎこちなさから、以下の行動がみられます。

  • 偏食
  • 特定の音や感触を嫌う(好む)
  • 暑さや寒さ、痛みに対して鈍感
  • 姿勢が崩れがちである
  • 細かい作業が苦手
  • 文字の読み書きが苦手

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アスペルガー症候群の症状は、大人と子どもで共通していて差はありません。発達障害であることから、子どものころから症状が持続しています。ただ、幼いころに周囲のサポートなどが密で症状があまり問題とならない環境だと、アスペルガー症候群と気づかれないまま大人になってしまうことがあります。

授業についていけない学生

アスペルガー症候群は、知的発達や言語発達の遅れがない自閉症スペクトラムです。そのため、一見すると何も問題がないようにみえ、表面上のコミュニケーションは取れることから発見が遅れがちです。発見が遅れると、仕事のミスや人間関係の悪化から自尊心が低下し、うつ病などの二次障害に発展する場合があります。

アスペルガー症候群は知的発達や言語発達の遅れがなく、また学業が得意な場合もみられることから、学生時代にはあまり問題視されることなく過ごせることがあります。しかし、大人になって就職活動や仕事においてコミュニケーション能力が要求されると、アスペルガー症候群の症状による困難が顕在化して社会生活に影響が出てしまうのです。

現在(2017年)、アスペルガー症候群を含む自閉症スペクトラムには、ADHDのように症状に対して効果のある薬はありません。そのため、基本的にはソーシャルスキルトレーニングなどコミュニケーション能力を高めるトレーニングや、周囲へのサポートを厚くすることでアスペルガー症候群の症状で生じる困難を緩和していきます。

アスペルガー症候群の患者さんが、自身でできる症状への対処法は3点あります。

  • 自分の障害特性について理解すること
  • 学校・職場など、自身の特性に合った環境を選択できること
  • 特性によって困った際に、周囲に助けてもらえる環境を整えること

アスペルガー症候群の特性は出てしまうものとしてとらえ、なるべく特性によって生活が妨げられることのないよう、周囲の手を借りながら生活していくことが大切です。

走り回る子ども

アスペルガー症候群ADHDの違いについて、疑問に思われる方も多いことでしょう。ADHDは、アスペルガー症候群とちがい、不注意・衝動性・多動性の3つを主症状とする発達障害です。

どちらの発達障害も対人関係に困難をきたしますが、その理由は異なります。アスペルガー症候群が相手の気持ちをうまく理解できないために対人関係に困難が生じるのに対し、ADHDは相手の気持ちは理解できるものの、衝動性による失言、不注意によるケアレスミスの多発などで最終的に対人関係に困難が生じます。

なかには、不注意・衝動性・多動性の症状がみられる発達障害であるADHDとアスペルガー症候群の両方の特徴がみられる方もいます。

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