じへいしょう

自閉症

目次

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概要

自閉症とは、社会性発達の質的障害、コミュニケーションの質的障害、興味や活動の偏りの3つを特徴とした、先天的な脳の機能障害です。自閉症は、通常、3歳頃までに判断されることが多いです。

近年では、発達障害の一つであるアスペルガー症候群と合わせて、「自閉症スペクトラム障害」として一つの疾患概念に含めて考えられるようになってきています。自閉症とアスペルガー症候群は、従来は別の病気として分けて考えられていました。しかし、両者には重複する部分も多く、個々人において明確に分類することが困難であることから、このような疾患概念ができたのです。

自閉症を始めとする、自閉症スペクトラム障害の患者さんは、不適切な環境におかれてしまうと日常生活にさまざまな障害を及ぼしてしまうことがあります。

原因

自閉症を含む自閉症スペクトラム障害において、現状では断定されている原因はありません(2017年時点)。自閉症スペクトラム障害は、先天的な脳の機能異常により引き起こされていると考えられています。

これまでの研究結果からは、ある種の遺伝子異常が複雑に関与していると推定されていますが、特定の原因遺伝子はまだ明らかになっていません。

さらに、自閉症になりやすい体質を持って産まれるお子さんもいると推定されていますが、何がきっかけとなって自閉症を発症しているかは不明です。また、一部の先天性の病気になると、自閉症を発症しやすいことがわかっています。具体的には、脆弱X症候群、結節性硬化症、先天性風疹症候群、フェニルケトン尿症などの病気が挙げられます。

症状

自閉症では、社会性発達の質的な障害、コミュニケーションの質的な障害、興味や活動の偏り、の3つを特徴とした症状が現れます。

社会性発達の質的な障害

自閉症の患者さんは、対人関係を構築するのに困難を感じることがあります。成長の過程に沿ってみてみると、自閉症の赤ちゃんはお母さんに抱っこをされても喜ぶことがなかったり、手遊びなどであやしても喜ぶことがなかったりします。

幼児期以降、集団生活が始まると、自閉症の症状はより目立つようになってきます。自分の世界にこもるようにみえたり、ルールを守りながらみんなで遊んだりすることが難しくなります。また、その場の空気を読み取ることが苦手で、たとえば、怒られているのにもかかわらず笑ってしまうことがあります。

コミュニケーションの質的な障害

自閉症では、子どもの知的な発達そのものが遅れる傾向にあります。また、言葉を発するようになったとしても、相手が話している内容が理解できずにおうむ返しをすることがあります。言葉の持つニュアンスに対する理解も乏しく、状況に合った適切なコミュニケーションをとることができないこともあるでしょう。言外の意味を理解することに、困難を覚えることもあります。

また、自分のしてもらいたいことを上手く表現できないために、自分の手ではなく他人の手を動かして、してもらいたいことを伝えることもあります(クレーン現象)。

興味や活動の偏り

自閉症では、興味や関心を寄せるものがとても限定的かつパターン的です。ひとつのものごとに強い愛着を示したり、いつも決まった行動パターンを取ったりする傾向にあります。具体的には、数字に異常なほど興味を示し、カレンダーや時刻表を、その意味をわからずに暗記したりします。また、学校に通うときに、普段と違った道を通ることが極端に苦手であり、同じ道を同じように通ろうとします。

検査・診断

自閉症を確実に診断できる検査方法はありません。自閉症は、3つの主要症状(社会性発達の質的な異常、コミュニケーションの質的な異常、興味や活動の偏り)がないかどうかをもとにして、診断されます。そのため、普段の日常生活の様子、発達歴、既往歴、神経学的な身体所見などを詳細に検討することがとても大切です。心理検査を併用することもあります。

自閉症は特別な病気(先天性風疹症候群など)と関連して発症する場合もあります。このため、それらを除外するために、それぞれの病気に特化した検査(聴力検査や染色体検査、CTやMRIなどの画像検査など)を組み合わせることもあります。また、自閉症ではてんかん(発作的にけいれんなどの症状が現れる脳の病気)を合併することも多いことから、脳波検査が適宜併用されます。

治療

子どもの自閉症に対する治療において大切なことは、早期発見と、関連した障害に対する早期介入です。早期発見によって支援・療育へ入っていくことができれば、社会生活における困難を軽減することができます。

また、自閉症への介入とは、患者さんに対する介入だけではなく、周囲にいる人たち(両親や学校関係者など)に対する介入も含みます。それは、自閉症の治療では、周囲の大人がその特徴を理解し対応を工夫することが大切になるからです。

たとえば、自閉症の方は、想像力を働かせることが苦手な場合があります。そのため、直接的、具体的に「これをしてください」と指示を与えることが必要になることがあるのです。また、言葉で自分の気持ちを表現することも苦手な場合があります。コミュニケーション能力を延ばすためにも、周囲の方が自閉症の方のいうことを聴く姿勢を示すことも大切です。

以上のような取り組みは、年齢や発達段階などによって大きく異なるため、個々の治療プログラムを設定することがとても重要です。

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