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子どもがかかる病気と治療⑪ さかさまつげ/気道異物/消化管異物/ねんざ/骨折/中毒など

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  • 公開日:2016/11/27
  • 更新日:2016/12/02
子どもがかかる病気と治療⑪ さかさまつげ/気道異物/消化管異物/ねんざ/骨折/中毒など

目次

さかさまつげ

さかさまつげは、乳幼児に比較的多く見られます。乳幼児のまつげは、細くて柔らかいため問題のないことが多いですが、角膜を刺激するような症状が出る場合は手術も考えます。

さかさまつげが眼球を刺激するため、いつも目が潤んでいる、充血している、光をまぶしがる、まばたきが異常に多い、目を痛がる、目やにが出やすいなどの症状が出ます。眼科では、前眼部の写真撮影でまつ毛の生え方や角膜表面の障害の程度などを診断しますが、肉眼でもある程度確認できます。1歳をすぎるころから、まぶたの皮膚のふくらみが減ってまつげが前方を向くようになり、自然に治ることも多いため、程度が軽い場合は、目をこすらせないよう注意しながら経過を見ます。ひどい目やには、ぬるま湯で絞ったガーゼでそっとふき取ります。角膜の障害の程度が強い場合や、4〜5歳になっても症状がある場合は、手術を考えます。

(澤田こどもクリニック 院長 澤田雅子先生)

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気道異物(きどういぶつ)(異物誤嚥 いぶつごえん)

異物や食べ物が誤って飲み込まれ、気管や気管支にとどまっている状態で、ゼーゼーとした呼吸音が特徴です。自然に出ることが期待できない場合は取り出します。事故予防が大切です。

異物や食べ物が誤って飲み込まれ、気管や気管支にとどまっている状態です。異物はビニール片などが多く、食べ物は枝豆やピーナッツなどが多いです。せきこみやゼーゼーとした呼吸音が見られます。完全に窒息している場合は、背中を叩いたり、おなかを突き上げたりして異物を出しますが、少しでも声が出ている場合はやってはいけません。刺激せずに急いで医療機関へ行きましょう。異物確認のためにレントゲン撮影や、全身麻酔下で内視鏡検査を行い、自然排出が期待できない場合は取り出します。異物となる可能性があるものを子どもの手の届くところに置かない、誤嚥(ごえん)しがちな食べ物を食べさせないといった予防が大切です。

(さいわいこどもクリニック 黒澤照喜先生)

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消化管異物(しょうかかんいぶつ)(異物誤飲 いぶつごいん)

誤って飲み込んだ異物が、食道・胃・腸管にとどまっている状態です。症状と何がどこに存在するかを確認したうえで、取り出すかどうかを決定します。事故予防が大切です。

誤って飲み込んだ異物が、食道・胃・腸管にとどまっている状態です。嘔吐、腹痛、ゼーゼーという呼吸音、顔色不良、血を吐くなどの症状が見られます。何がどこにあるかを確認するためにレントゲンを撮ることが多く、硬貨やボタン電池のような金属、ビー玉のようなガラスは写ります。症状や異物のある場所によって、取り出すか排便されるのを待つかを判断します。診察の参考のために、誤飲したものと同じものを医療機関に持参しましょう。異物誤飲は、生後半年以降、行動範囲が広がる時期に、子どもの身近にあるもので起こります。幼児が口を開けたときの最大口径39㎜より小さいものは手の届かない場所に片付けましょう。

(さいわいこどもクリニック 黒澤照喜先生)

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ねんざ

ねんざは足首に多く起こりますが、けがによってが伸びたり切れたりする状態で、痛みと腫れが起こります。早く治し、再発を予防するために、RICEと呼ばれる初期治療が大切です。

ねんざとは、関節に無理な力が加わり、関節を支えている靱帯が伸びたり切れたりしている状態です。スポーツのけがで起こることが多く、足首(外くるぶし付近)のねんざが多いようです。ねんざをすると、靱帯に沿って痛みが起こり、周囲が腫れます。早く治し、再発を予防するには、早期に、ねんざで痛めたところを安静にして(Rest)、冷やします(Icing)。腫れを少しでも防ぐために、包帯などで圧迫(Compression)します。患部を下に下げずに高い位置に保っておくこと(Elevation)も重要です。これらの頭文字を取ってR‌I‌C‌E治療と呼んでいます。ほとんどはこの治療で治りますが、靱帯が切れている場合には手術を行うこともあります。

(東京大学大学院医学系研究科 外科学専攻感覚・運動機能医学講座リハビリテーション医学分野 教授 芳賀信彦先生)

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骨 折

子どもの骨折の多くは手首や肘の近くに発生します。折れた部分には腫れ、変形、痛みが起こりますので、早めの固定が必要です。治療には、シーネなどによる固定と、手術があります。

骨折は、転倒やスポーツでのけが、事故などによって起こります。子どもでは、転倒して手をついたときに、手首の近くや肘の周りを骨折することが多いようです。骨が折れるとその部分から出血するため、徐々に腫れが強くなります。痛みが強く、また骨がずれていると外からでも変形がわかります。骨折した部分が不安定だと、痛みが強いばかりか、周りの血管や神経にも悪い影響を及ぼすため、早めに固定します。固定にはシーネと呼ばれる添え木などを使い、包帯で巻きます。骨折の治療法は、折れた部位やずれの程度などによって変わります。ずれが少なければシーネやギプスの固定で治しますが、手術のほうが結果が良い場合もあります。

(東京大学大学院医学系研究科 外科学専攻感覚・運動機能医学講座リハビリテーション医学分野 教授 芳賀信彦先生)

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中 毒

日本では、タバコの誤飲が最も多いようです。薬品の場合、種類、量、経過時間によって対応が変わります。整理整頓をして、事故が起こらないように予防することが大切です。

中毒とは、毒性をもつ物質を誤飲し、体の正常な機能が妨げられることです。日本ではタバコ誤飲が最も多いです。嘔吐、せき、腹痛、下痢、血を吐く、頭痛、けいれん、意識障害などの症状が見られます。吐かせるべきか、牛乳などを飲ませるのか、そのまま様子を見るのか、受診すべきなのかといった対応は、誤飲したものの種類、量、経過時間や症状によって変わります。近くの医療機関か中毒110番(大阪072–727–2499、つくば029–852–9999)などに問い合わせましょう。医療機関では、胃洗浄、点滴、解毒剤がある場合はその投与、入院での経過観察などを行います。事故を起こす可能性があるものは必ず手の届かない場所に保管しましょう。

(さいわいこどもクリニック 黒澤照喜先生)

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放射線被ばく(ほうしゃせんひばく)

弱い(低線量の)放射線被ばくでは、被ばく直後には症状は現れませんが、数年後にがんや白血病を発症することがあります。放射線についての正確な情報と知識をもつことが大事です。

強い放射線に被ばくすると、傷ついた細胞が死んでしまうため、嘔吐、下痢、やけどなどの症状や、白血球減少などの血液障害が、被ばく後数時間から数日以内に発生します。弱い放射線の被ばくでは、このような症状は現れませんが、放射線が遺伝子を傷つけるため、被ばく後数年以上たって白血病やがんを発症することがあります。このため、とくに放射線の影響を受けやすい子どもの被ばくは、できるだけ避けることが大切です。しかし、弱い放射線被ばくを怖れすぎて、逆に強い精神的ストレスがかかると、放射線被ばく以上に健康を損ないます。放射線の被ばく線量についての正確な情報と、障害についての正しい知識をもつことが大切です。

(広島大学原爆放射線医科学研究所 細胞修復制御研究分野 教授 田代 聡先生)

※この記事は2012年当時の情報に基づいて記載しております。

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五十嵐 隆

五十嵐 隆先生

国立成育医療研究センター理事長 日本小児科学会前会長

東京大学小児科教授、東京大学医学部附属病院副院長を経て現在は国立成育医療研究センター理事長を務める。日本小児科学会では前会長、現在は監事を務め小児腎臓病学を専門とする。これからの小児科医のあり方についても提唱を行うとともに、後進の教育や日本の小児医療をより良くするためのアウトリーチ活動にも積極的に取り組んでいる。

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