ちっそく

窒息

概要

窒息とは、生きるために必要な呼吸ができなくなるため、からだに生命に関わる重大な危険を及ぼす状態です。ひとを構成する約60兆個の細胞は、酸素を利用して活動し、その結果作られる二酸化炭素を排出しますが、その大元として主に肺で空気を吸い込んで酸素を取り込み、息をはくことで二酸化炭素を吐き出す行為が呼吸です。

細胞ひとつひとつも厳密に言えば呼吸をしていますが、ここでは肺で行うガス交換ができなくなる状態を窒息とします。高齢者では食べ物の飲み込み(嚥下(えんげ))がうまくできなくなりやすいため、食事中に食べ物をつまらせて窒息してしまうことがよくみられます。

また、小さなお子さんでもあめ玉やこんにゃく、グミなどをつまらせてしまい死亡してしまう事例も発生しています。呼吸ができなくなれば脳や心臓などすべての臓器を構成する細胞の活動が停止してしまうため、放置すればやがて死亡に至ってしまいます。それゆえ、迅速に窒息を解除することが極めて重要となります。

原因

窒息の原因は空気の通り道である「気道」が閉塞してしまうことです。気道とは、口または鼻〜咽頭〜喉頭〜声帯〜気管、気管支〜肺という一連の空間をいいますので、このどこか1カ所でも何らかの異常があるだけでも窒息に陥ってしまいます。

  • 口または鼻:出血、重度の扁桃肥大など
  • 咽頭:異物(食べ物を含む)、頚部の外傷など
  • 喉頭:急性喉頭蓋炎(細菌感染によるもの)、異物、頚部の皮下出血など
  • 声帯:声帯まひ(反回神経まひ)、声帯腫瘍など
  • 気管、気管支:気管支ぜんそくの発作(ぜんそく重積発作)、異物など
  • 肺:重度の肺胞出血、溺水など

症状

窒息の症状は突然の呼吸困難で、しかも「呼吸しても苦しい」というよりも、「呼吸することができない」という極めて危険な状態となります。ますます苦しくなるため、必死な呼吸努力を行ったり、くびの辺りを抑えてまわりの方々に助けを呼ぶような身振りを行ったりします。

しかし、窒息が解除できないままでは脳や心臓で酸素不足となってしまうので、意識消失、皮膚の色が紫色に変化する、いずれ心停止などの危険な状態に陥ります。

検査・診断

窒息の検査は、患者さんが窒息に陥っていると判断された時点ですぐに救助を行うことが前提となりますが、そのときの状況をよく把握することが重要です。

たとえば、食事中ならば気道の異物を想定し、のどの痛みで唾液を飲み込めない状態であったならば急性喉頭蓋炎を、ぜんそくの既往があってぜいぜいという呼吸をしているならば気管支ぜんそく発作を疑う、というような形です。

治療

窒息の治療は、とにかくまず「気道確保」です。異物に対しては、医療従事者でなくてもすぐにできる対処法として、背中を叩いたり(背部叩打法)お腹の上側を圧迫して吐かせたり(ハイムリック法)するやり方があります。

最も確かな気道確保は、気管挿管による人工呼吸となります。そのうえで、それぞれの原因に対する治療を行います。異物であれば取り除く処置を、皮下出血であれば止血のための処置や手術を、急性喉頭蓋炎であれば抗生物質による治療を、ぜんそく発作であれば気管支拡張薬やステロイドによる治療を行います。

溺水や肺胞出血に対しては、治療は容易ではなく人工呼吸でも十分な呼吸補助ができない場合もありますので、体外循環装置による補助を一時的に行うことも必要となります。

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