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骨が折れたかもしれない!知っておきたい骨折の症状と応急処置-子どもから...
交通事故や転倒、スポーツ時など、「骨折」は様々な場面で起こり得ます。ご自身や周囲の方の骨が折れたかもしれない時、私たちはどのような点に注意をしながら応急処置を行えばよいのでしょうか。骨折の基礎知...
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骨が折れたかもしれない!知っておきたい骨折の症状と応急処置-子どもから高齢者の骨折まで

公開日 2016 年 08 月 01 日 | 更新日 2018 年 01 月 05 日

骨が折れたかもしれない!知っておきたい骨折の症状と応急処置-子どもから高齢者の骨折まで
須田 康文 先生

国際医療福祉大学三田病院教授・整形外科部長

須田 康文 先生

交通事故や転倒、スポーツ時など、「骨折」は様々な場面で起こり得ます。ご自身や周囲の方の骨が折れたかもしれない時、私たちはどのような点に注意をしながら応急処置を行えばよいのでしょうか。骨折の基礎知識やお子さん・お年寄りが骨折しやすい部位、予防法について、国際医療福祉大学三田病院整形外科部長の須田康文先生にお話しいただきました。

骨折の種類

「骨折」と一括りにいっても、骨折線の入り方や外力のかかり方により、様々な分類法や呼称があります。まずは、最も大きな骨折の分類法から解説していきましょう。

開性骨折と閉鎖性骨折-誤用されやすい「複雑骨折」

折れた骨が皮膚を貫いて体外に突出してしまっている骨折を「開放骨折」といいます。しばしば、骨が粉砕されるような折れ方を「複雑骨折」と呼ばれる方もいらっしゃいますが、これは誤った認識であり、複雑骨折とは正しくは開放骨折のことを指します。

※骨折線が複雑に入る骨折は「粉砕骨折」といいます。

開放骨折とは逆に、折れた骨が外気に触れていない骨折のことは「閉鎖性骨折(または単純骨折)」といいます。

骨折の程度や骨折線からみる骨折の種類

骨にヒビが入る程度の骨折を「不全骨折」、骨折線が骨の全周に及び、断裂が起きている骨折を「完全骨折」といいます。不全骨折の中には、ヒビが入っているだけの「亀裂骨折」や、骨髄には損傷が及んでいない「骨膜下骨折」があります。

また、骨折線の向きによって、「横骨折」や「縦骨折」、「螺旋骨折」と分類することもできます。

小さな外力で骨が折れることも-骨脆弱性骨折、疲労骨折

骨脆弱性骨折と疲労骨折は、小さなエネルギーが外からかかることによる骨折を指します。

もともと骨が弱っており、「転びそうになって踏ん張っただけ」「くしゃみをしただけ」でも骨が折れてしまうケースは、骨脆弱性骨折に分類されます。骨脆弱性骨折は特に高齢者の方によくみられます。

疲労骨折とは、軽微な外力が同じ部分にかかり続け、骨が耐えられなくなり折れてしまう骨折です。疲労骨折の原因となる外力は、一回かかった程度では骨折を来さない軽微な力です。疲労骨折の起こる部位はある程度決まっているため、レントゲン撮影で鮮明な骨折線がみえなくとも、痛みや腫れが生じている場合は疲労骨折を疑って診察をします。

骨折しやすい部位とは?高齢者の場合

高齢者の骨折の多くは、骨粗鬆症が背景にある(1)手首の骨折(橈骨遠位端骨折:とうこつえんいたんこっせつ)と(2)大腿骨頚部骨折(だいたいこつけいぶこっせつ)が占めています。

このほか、背骨が折れる椎体骨折も高頻度でみられます。骨粗鬆症により弱った骨が自身の体重を支え切れなくなることで骨折するため、メディアではしばしば「いつのまにか骨折」とも呼ばれています。

子どもが骨折しやすい部位-肘の骨折には注意が必要

お子さんの場合、転んだときに手をつくことによる「肘の骨折」が非常に多く見受けられます。お子さんの肘の骨折は神経麻痺を合併しやすく、また変形治癒(骨軸が合わない状態のまま治癒する)を起こしやすいため注意が必要です。

肘が変形治癒してしまうと、腕が外向きのくの字状に曲がった状態「内反肘(ないはんちゅう)」や、逆向きに曲がった状態である「外反肘」となることも多く、肘関節の動きが制限されてしまいます。

また、血管や神経が圧迫されることに伴い前腕部の筋肉への血液供給が障害され、指が図のように固まってしまう「フォルクマン拘縮」を合併するリスクもあります。

小児の肘の骨折の特徴には、大人に比べ腫れがひどく、時間と共にむくみが悪化していくという特徴もあります。そのため、骨折後は早期に整復して固定すること、もしくは挙上(腕をできる限り高く上げること)することが重要になります。親御さんなど、一般の方が子どもの肘の骨折を疑ったときには、まず患部を冷やし、痛がらない範囲で腕を心臓より高く上げましょう。

小児に多いモンテジア骨折とは

このほか、小児の肘の骨折では、尺骨骨折と橈骨(とうこつ)頭の脱臼を合併する「モンテジア骨折」も高頻度でみられます。骨折のみに目が行ってしまい脱臼を見逃すと、運動時の痛みや関節の動きの制限など後遺症がのこることもありますので、医療者も十分に注意して検査せねばなりません。最も痛がっている部位とは離れた部分の骨が折れていることもありますので、原則として、肘を骨折している場合はその上下の関節(肩と手首)までレントゲンを撮り観察しましょう。

骨折の症状-どのような症状がみられたら骨折を疑うべきか?

変形

皮膚がボコっと突き上げられているような「変形」が見てとれるときは、まず骨折を疑ってよいでしょう。

腫れ

外力がかかった部位などが腫れている場合は、骨折している可能性もあります。ただし、捻挫による腫れか骨折による腫れかを診断するためにはレントゲン検査が必要です。

痛み

骨折している場合、患部を押すと激しい痛みを感じます。骨折の痛みは、捻挫などの痛みよりも強いという特徴があります。

力が入らない

先述したように、肘が折れている場合は前腕の神経が圧迫され、手に力が入らないことがあります。いずれかの部位に麻痺症状が現れているときは、どこかで大きな骨折が起こっている可能性があります。

骨が折れている部分を動かすと「ポキポキ」というような音が聞こえます。

青あざ(数日後に現れる)

骨折した部分周辺の血管が損傷されて出血するため、捻挫などに比べて青あざが現れることが多くなります。

ただし、内出血が体表に青あざとして現れるのは、骨折してから2~3日後がほとんどです。不全骨折など骨折の程度が軽い場合、痛みなどがあまりなく足や手を使えてしまうこともありますが、何らかの外力がかかった数日後に青あざが出てきたという場合は、骨折を疑って病院を受診しましょう。

骨折により低血圧や冷や汗、めまいが生じることもある

骨折が引き金となる低血圧やめまいには2種類あり、対処法も異なるものとなります。ひとつは、一般的な腕や足の骨折時に自律神経性のショック症状として現れる低血圧やめまいです。この場合は、患者さんを安静にして気落ちを落ち着かせることで治まります。

もうひとつは、骨盤骨折などによる出血性ショック症状として現れる、バイタルサインの変動です。こちらは輸血が必要になる重篤な症状です。特に骨盤は容積が大きく、出血による圧迫感などの自覚症状が現れるのは相当量の血液が溜まってからとなります。骨盤骨折の原因は交通事故や高所からの転落など、大きなエネルギーがかかることがほとんどです。しかし、高齢者の場合は外傷を受けた直後は歩行などもできてしまい、数時間後に動けなくなり骨盤骨折とわかるケースもあります。そのため、骨盤骨折は特に高齢者においては非常に「怖い骨折」といえます。

骨折の応急処置-骨が折れたらどう対処すればよい?

骨折の応急処置は、(1)Rest:安静、(2) Icing:冷やす、(3)Compression:圧迫、(4)Elevation:挙上(骨折部位をなるべく心臓より高く上げること)の4点が重要です。ただし、一般の方が「圧迫」を行う場合には「軽く圧迫する程度」に留めておくことが大切です。これは、末端に血液がいかなくなるほど強く圧迫してしまうと血流障害を引き起こしてしまうことがあるからです。

また、骨折した部位が動かないよう副木(添え木)で固定することも大切です。段ボールや箸、板など何を使っても構いませんので、患部にあてがい包帯などで留めましょう。

腕の骨折が疑われる場合は、三角布を使用するのもよいでしょう。

明らかな変形がみられる場合、一般の方が無理やり患部を真っ直ぐに戻そうとすると出血や痛みが悪化することもあるため、変形したままの状態で副木をあてて固定してください。また、骨折が疑われる部位の上下2つの関節も共に固定することが理想的です。たとえば肘の骨折ならば、肩と手首も固定するとよいでしょう。

骨折の後遺症「変形治癒」-疑わしいときは放置しないこと

記事1「外反母趾の原因と低侵襲手術」では、足の第1中足骨を骨切りし、骨同士がくっつく力に委ねて外反母趾を治す「DLMO法」についてお話ししました。この手術のメカニズムからもわかるように、骨とはある程度安定をとることができれば自ずと癒合する力をもっており、軽度の骨折でも放置していると変形したまま治癒してしまうことがあります。

たとえばスネの骨折により足先の向きが外向きになってしまったり、関節に変形が起こる変形性関節症を引き起こすこともあります。こういった障害が残らないよう、骨折を疑ったときには必ず病院を受診し、レントゲンを撮って骨のずれが許容できる範囲のものか確認することが重要です。

より低侵襲なものへと変わる骨折治療

かつては手術時に大きく患部を開き、金属をあてがって折れた骨をガッチリと固定していたため、手術後の患者さんの動作や術者の技術など様々な要因により、骨がくっつかないといった後遺症もみられました。特に血流が悪い部分(下腿骨の真ん中など)は骨同士くっつく力が弱くなるため、骨癒合が進まないリスクは上昇します。

しかし、近年では患部の切開を可能な限り小さいものに留める技術が向上しました。

たとえば、大腿骨やスネの骨の骨折時には、「髄内釘(ずいないてい)」という棒状のインプラントを膝部分から挿入する手術法がとられることが増えています。髄内釘手術では、幹部には切開を加えません。

髄内釘

(下腿骨骨折と髄内釘による固定の様子 症例写真提供:須田康文先生)

また、大腿骨、下腿骨、前腕骨や上腕骨骨折などでは、患部を開かず皮膚下に「ロッキングプレート」を沿わせてネジで固定する手術法も用いられています。こういった技術の進歩により、元々骨のつきが悪い部分でも、侵襲性の低い手術で素早い骨癒合を目指すことのできるようになったのです。

微弱な刺激で骨の癒合を促す超音波骨折治療法の登場

また、かつては“骨折治療=徹底した固定”という考え方が主流でしたが、近年では微弱な刺激やある程度の動きを許容する考え方も登場しています。特に現在では、骨折部位に低出力超音波パルス(微弱な物理的刺激)を与えて骨癒合を促進する「超音波骨折治療法」が注目を集めています。超音波骨折治療法の効果は既に臨床試験でも明示されており、保険診療も認められています。

骨折しないために-須田先生からのアドバイス

まずは骨折の経験の有無に関わらず、ご自分の骨の強度を調べることが大切です。特に女性の場合は閉経を機に骨粗鬆症のリスクが上昇しますので、ある程度の年齢を迎えたら定期的に骨密度を検査することをおすすめします。検査の結果、骨折が起こりやすいといわれる数値まで低下しているとわかった場合には、骨密度を高める薬を処方します。

また、運動や日光を浴びること、カルシウムとビタミンDの摂取も大切です。

骨も肌などと同じように代謝を繰り返して新たなものに生まれ変わっています。日光を浴びることでビタミンDの代謝が活性化され、年齢とともに衰えてしまうカルシウムや骨の代謝を促進することができます。カルシウム自体が不足している方はあまりおられませんが、ビタミンDが不足している場合は薬で補うことも可能です。

また、ウォーキングなどの運動で刺激を与えることも骨の代謝を活性化します。運動をすることは骨だけでなく筋力強化にも繋がりますので、転倒などへの防御力も高まります。運動不足の状態では、古い骨は代謝されていくものの新しい骨は形成されていきませんので、歩く機会を増やすなど、意識的に運動習慣をつけることを心掛けましょう。

このほか、転倒する可能性が高い持病をお持ちの方のご家族は、患者さんが転んでしまわないよう日頃から注意し、危険な場所では支えるなどの手助けをすることも重要です。

 

外反母趾と骨折(須田康文先生)の連載記事

足の外科、膝関節疾患全般を専門とし、外反母趾については2,000例を超える手術実績を持つ。外反母趾手術の効果と限界を熟知しており、あらゆる術式の中でも侵襲性の低い手術であるDLMO法の第一人者として活躍している。
豊富な経験を踏まえて、患者さんの症状のみならずライフスタイルも考慮した治療を行っており、医療者・患者さん双方から高い評価を得ている。

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