インタビュー

頭を打った時のCT検査-必要なとき、必要でないとき

頭を打った時のCT検査-必要なとき、必要でないとき
徳田 安春 先生

群星沖縄臨床研修センター センター長 、筑波大学 客員教授、琉球大学 客員教授、獨協大学 特任...

徳田 安春 先生

Choosing Wisely

この記事の最終更新は2016年03月08日です。

頭部の強打は怖いものです。外傷はひどくなくとも、脳震盪(のうしんとう)、脳内出血、また頭蓋骨骨折を伴うことが時々あります。

あなた、もしくはあなたのお子さんに脳震盪の恐れはないか、また他の損傷がないかを、医師に診せて確認することは非常に重要です。頭部を強く打つことで脳が損傷を受けることがあります。

医師は、頭蓋骨骨折や脳の重大な損傷がないかを確認するために、脳のCT検査を行うことがあります。しかし、CT検査はほとんどの場合必要がありません。この理由は以下の通りです。
 

CTスキャンでは、脳の画像を撮ることができます。骨折や出血はスキャンをすればわかります。またMRIなら、脳の組織を鮮明に画像化できます。

しかし、これらの画像検査で脳震盪かどうかはわかりません。脳震盪は骨折や出血とは異なります。脳震盪は脳の働きに影響を与えます。そして、ほとんどの人が数週間で回復します。

医師による以下のような診察によってのみ、脳震盪の診断を下すことができます。
● 事故についてたずねます。
● 記憶、会話、バランス、また協調運動をチェックします。
● 頭部、眼、耳、首のチェックをします。
● 脳震盪の症状がないかを診ます。
 ○ 頭痛、嘔吐、吐き気
 ○ めまい、バランスをうまくとれるか
 ○ 視力低下
 ○ 耳鳴り
 ○ 軽い錯乱、記憶の喪失、集中力の低下
 ○ 光や音への敏感性
 ○ 一過性の意識消失

CTスキャンは、発がんリスクを高める放射線を使用します。小児、とくに乳児は、脳が成長段階にあるので、発がんリスクはより高くなります。幼い小児の場合、スキャン検査のときに動かないよう鎮静剤を使うことがあります。こうした薬にはリスクがあります。時には画像診断の結果が鮮明でないことがあります。この場合はさらに検査が必要になり、専門医にかかることになります。

HealthCare-BlueBook.comによると、標準的な脳のCTスキャン検査の費用は約485ドルです。またMRI検査の費用は約930ドルです。もし、検査結果がはっきりしない場合は、さらなる検査や医師にかかるための費用を支払わなければなりません。

CTスキャン検査は、一般的には医師が頭蓋骨骨折や脳内出血を疑った際に最初に行う最も適切な検査です。医師は、徴候がないかを確かめ、さらに事故について質問するでしょう。

頭蓋骨骨折や脳内出血がある場合にみられる症状は、以下のとおりです。
● 顔の半分、もしくは体の片側の筋力の低下
● 会話や聞き取り、また嚥下に問題がある
● 視野の狭窄
● 発作
● 嘔吐をくりかえす
● ひどい頭痛
● 片方の瞳孔が大きく開いている
● 耳か鼻から液体や血液が流れでる
● 頭蓋骨の圧痛

医師は、以下の場合にもCTスキャン検査を行います。
● 意識を失った場合
● 自動車事故の場合
● 3フィート以上の高さから転落した場合

MRI検査は、受傷から症状が48時間以上続く場合、また症状が悪化している場合に役立ちます。
 

症状がおさまるまで、じっくりと体をやすめましょう。
● ぐっすり寝ましょう。
● スポーツ、運動、また重労働などの身体活動は避けましょう。
脳震盪をおこすといつもより光や音に敏感になることもあるので、部屋は薄暗く、静かにするのが良いでしょう。

パソコンでの作業、テレビゲーム、文章を書く、テレビや騒々しい音楽の鑑賞、読書、学校の勉強、会計などの仕事は控えましょう。

アルコール類を飲む前には医師に確認をしましょう。アルコールは回復を遅らせます。また、損傷を悪化させることもあります。

頭痛がある場合は、アセトアミノフェンを用いましょう。
● アスピリン、イブプロフェン、またナプロキセンは使用しないよう、医師から指示されるでしょう。

家族や友人に症状が悪化していないかを気にかけてもらうようにしましょう。新たな症状の出現、症状の変化、行動の変化、その他心配なことがあれば医師に伝えてください。

● 職場復帰、復学、自動車や自転車の運転、その他の身体活動を再開するときは、事前に医師に相談しましょう。
● まずは、半日から働いてみましょう。
● 子どもの場合は、最初は学校を休むか、数時間だけにとどめた方がいいでしょう。いつもよりもテストや宿題に時間がかかることがあります。
● 主治医がOKを出すまでは、スポーツは再開しないように。また、医師の指示に従ってゆっくりと再開しましょう。

※本記事は、徳田安春先生ご監修のもと、米ABIMによる “Choosing Wisely” 記事を翻訳し、一部を日本の読者向けに改稿したものです。

翻訳:Choosing Wisely翻訳チーム

監修:小林裕貴、徳田安春先生

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  • 群星沖縄臨床研修センター センター長 、筑波大学 客員教授、琉球大学 客員教授、獨協大学 特任教授、聖マリアンナ医大 客員教授、総合診療医学教育研究所 代表取締役、Choosing Wisely Japan 副代表、Journal of General and Family Medicine 編集長

    徳田 安春 先生

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