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インタビュー

骨折治療の進歩

骨折治療の進歩
平出  周 先生

牧田総合病院 整形外科副部長

平出 周 先生

整形外科救急で多くみられる骨折では手術が必要になるケースもあります。高齢者の場合、骨折をきっかけに寝たきりになるといったことが心配されますが、骨の固定に使うプレートなどが進化したことにより、術後早期のリハビリも可能になっています。牧田総合病院副医局長・整形外科副部長の平出周先生に骨折の手術や治療技術の進歩についてお話をうかがいました。

骨折しても骨がずれていない場合、あるいは徒手整復(としゅせいふく)といって折れたところを手で戻して、その位置でギプスなどによる外固定でキープできる方は手術しなくても治るのですが、折れたところがずれていたり関節の面が潰れていたり、元に戻しても安定しない場合には手術が必要になります。

やはり骨幹部(こつかんぶ・骨の中央付近)で折れるよりも、骨端部(こつたんぶ・骨の端のほう)や関節で折れるほうが治療は難しくなります。ご高齢の方で肘をぶつけて関節がバラバラになってしまった場合などはプレートで固定します。昔はワイヤーだけで固定して、結局骨がうまくつながらないということもありましたが、今は固定に使うプレートが進化しているので術後の経過もよくなっています。

ご高齢の方の大腿骨頚部骨折でも、骨を固定するための器具自体が進歩しているので、骨粗しょう症で本当に骨がぼろぼろにもろくなってしまっていたりしなければ、手術の次の日からリハビリを開始できます。私が研修医だった頃は術後約3週間をベッドの上で過ごしていただいていましたが、今はもう次の日からリハビリができるので、筋肉が落ちてしまうようなことは少なくなっています。

骨癒合(こつゆごう)自体はそれこそ赤ちゃんや子どもの頃は早いのですが、ご高齢だからといって骨のくっつきが悪いということはそれほどないと思います。ですから、廃用症候群(体を動かさないことで起こるさまざまな障害)まで進んでしまうような方は、整形外科の領域よりもむしろ内科的な問題で動けなくなってしまった方や、脳梗塞でリハビリができないほど麻痺が重い方などのほうが多いとみています。

手術の手技だけでなく内固定材といって、金属自体の素材や器具自体も良くなっています。特に大腿骨頚部骨折などの場合は骨折しているところをギュッと圧縮して、手術中にすでに圧迫力がかかるようにしてします。昔は体重をかけることによる圧迫で骨の癒合をなるべく進めようとしていたのですが、今は手術中にがっちりと固定できるので、昔よりは早めにリハビリも開始できますし、治りもよくなっています。

大腿骨頚部骨折のX線写真を説明する平出周先生

日本では大腿骨頚部骨折が年間およそ20万人といわれていて、5年おきの調査でもどんどん増えています。高齢化に伴って骨折件数自体は増えているといえます。脊椎などの圧迫骨折は手術しないことが多いので統計が取りづらいのですが、おそらく同じように増えていると推定されます。不顕性(ふけんせい)骨折といって、痛くなくても骨がつぶれてきている方が少なからずいらっしゃって、いつの間にか背中が曲がってしまったとおっしゃる方も少なくありません。

骨粗しょう症の治療は世界中で進歩しており、今は骨の代謝を良くする薬がいろいろ出てきています。日本ではまだ大腿骨頚部骨折は増加傾向にありますが、海外ではどんどん減っています。骨粗しょう症の治療も整形外科の役割のひとつですが、日本は世界でも有数の超高齢化社会ですので、そのために骨折が減らないのだと考えられます。

 

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