
骨盤と頭蓋骨を繋ぐ「背骨」は、私たちの体重や姿勢を支え、あらゆる動作を可能にしている非常に重要な存在です。背骨は正式には「脊椎(せきつい)」といい、背骨が折れたり脱臼してしまうことを、医学の世界では「脊椎損傷」と呼びます。本記事では、脊椎の構造と役割、脊椎損傷の概要について、国際医療福祉大学三田病院・脊椎脊髄センター副センター長の朝本俊司先生にお話しいただきました。
人間の体は、成人の場合200個以上(基本的には206個)もの骨により構成されています。このうち、体幹部を支える「脊椎(背骨)」は、
●7個の頚椎(首の部分の骨)
●12個の胸椎(胸の部分の骨)
●5個の腰椎(腰の部分の骨)
●仙骨(5個の骨が癒合した1つの骨)
●尾骨(3~5個の骨が癒合した1つの骨)
これら合計26個の骨により形成されており、衝撃を吸収するために生理的弯曲といわれるゆるやかなS字カーブを描いています。
人間特有の直立姿勢や二足歩行によって体が受ける衝撃は、このS字カーブ(脊柱弯曲)のおかげで、一点へと集中することなく吸収・分散されています。そのため、何らかの原因により脊椎を損傷してS字カーブが崩れてしまうと、姿勢に悪影響が出たり腰や背に慢性的な痛みが生じることがあります。
脊椎の中には脳からの指令を全身へと届け、感覚器官から受け取った刺激を脳へと伝える脊髄(せきずい)神経が通っており、これにより人間は「動く」ことが可能になっています。
脊椎の主な役割には、体幹や頭部を支えることのほか、上記のように非常に重要な神経である脊髄を守ることもあります。
脊椎損傷とは脊椎が骨折や脱臼してしまうことであり、体外からの大きなエネルギーが脊椎にかかることが主な原因となります(脊椎外傷)。また頻度は稀ですが、骨が脆くなっている高齢者の方が体幹部をひねるような日常動作をとることにより骨折してしまうこともあり、これも脊椎損傷に含まれます。
脊椎損傷は、多くの場合その内部を通る脊髄の損傷も伴います。そのため、脊椎損傷はしばしば脊髄損傷と共に語られますが、本記事では脊椎損傷の理解を深めていただくために、脊椎損傷と脊髄損傷をわけ、前者について解説していくものとします。
「背骨の骨折」と聞くと非常に怖いといったイメージを持たれる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、脊椎のみを損傷した場合は、適切な治療を受けることにより大きな後遺症なく治癒し、ほとんどの方が以前と変わらない生活を送られています。ですから、脊髄損傷などの重篤な合併症を伴っていない場合には、大きな不安を抱く必要はありません。
また、治療に入る前には、合併症があるか否かを受傷時の情報収集と検査により素早く診断し、脊椎以外の損傷を見逃さないよう注力することも大切です。
このほか、手術をするか否かを決める重要な要素として、患者さんの年齢やバックグラウンド(職業や家庭の事情など)が挙げられます。
次の記事「脊椎損傷の原因-高齢者や高所での作業を行う職業の人に多い」では、脊椎損傷の原因と、患者さんにはどのような年齢層、職業の方が多いのかをお話しします。
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事故による腰椎圧迫骨折
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