新型コロナウイルス感染症特設サイトはこちら
インタビュー

脊椎損傷の原因-高齢者や高所での作業を行う職業の人に多い

脊椎損傷の原因-高齢者や高所での作業を行う職業の人に多い
朝本 俊司 先生

国際医療福祉大学三田病院 脊椎脊髄センター副センター長

朝本 俊司 先生

脊椎(背骨)は、体幹部と頭部を支え、二足歩行により私たちの体が受ける衝撃を吸収しています。このように、人間が日常動作や姿勢維持を不自由なく行うために重要な役割を果たしている脊椎が骨折したり脱臼してしまう「脊椎損傷」とは、どのような原因により起こることが多いのでしょうか。また、脊椎損傷のリスクが高い年齢や職業といったものはあるのでしょうか。国際医療福祉大学三田病院・脊椎脊髄センター副センター長の朝本俊司先生にお伺いしました。

背骨の骨折脱臼の総称「脊椎損傷」の原因のほとんどは、交通事故を含めた転倒・転落など、「偶発的事故」です。交通事故と転倒・転落をわけて統計をとる専門家もいますが、意図的に転落や事故を起こす人はごく少数ですから、私は偶発的という点で共通しているこれらの事故をひとかたまりとして考えています。この考えに基づいて自身の臨床経験から推測すると、おそらく脊椎損傷の原因の8~9割程度は偶発的事故が占めているのではないかと思われます。

脊椎損傷の患者さんの大多数は高齢者です。これは加齢により骨密度が低下し、骨が脆くなっているからです。高齢者の方の場合、偶発的事故による衝撃で骨折脱臼を来す「脊椎外傷」も多いのですが、稀に日常動作により骨折してしまう例もあります。

たとえば、入浴時に浴槽を跨ごうとしたときや咳込んだときに脊椎を損傷する方もいらっしゃいます。これらの動作や咳・くしゃみなどは、いずれも「しないように」と制限できる性質のものではないため、日常動作による脊椎損傷の予防法というものは残念ながらありません。

脊椎損傷に「男女どちらがなりやすい」といった性差はありません。しかし、壮年期(40~50代周辺)の患者さんには男性が多くみられます。この理由は、工事現場や建設現場など高所での作業を行う職業に就かれている方の多くは男性だからです。これらの仕事中に高所から転落し、脊椎を損傷して運ばれてくる患者さんも一定数いらっしゃいます。

記事3「脊椎損傷の検査と診断-情報を集め、多角的な視点で損傷部位を見極める」で詳しくお話ししますが、仕事中に転倒や転落事故が起こった場合は、「どのように落ちたか(転んだか)」を目撃された同僚の方の情報が、正しい診断に際し非常に重要になるため、患者さんと共に病院に来ていただくことをお願いしています。

また、頻度は極めて稀ですが、スポーツも脊椎損傷の原因として挙げられます。脊椎損傷の原因となるスポーツは、ほとんどがプレーヤー同士の激しい接触がある「コンタクトスポーツ」で、具体的にはラグビー、アメリカンフットボール、アイスホッケー、またプロレスなどの格闘技が挙げられます。とはいえ、プレー中に脊椎損傷が高頻度で起こっているとしたら、そもそもこれらはスポーツとして成り立ちません。

私は日本体育協会公認スポーツドクターとして、プロの方からアマチュアの方まで多くのアスリートの治療にもあたってきましたが、その経験を踏まえて考えても、脊椎損傷の原因がスポーツであるケースは全体の1割未満程度です。

これらをまとめると、繰り返しにはなりますが、脊椎損傷の原因の圧倒的多数を占めるのは“交通事故を含めた転倒・転落などの偶発的事故”になります。

 

受診について相談する
  • 国際医療福祉大学三田病院 脊椎脊髄センター副センター長

    朝本 俊司 先生

「メディカルノート受診相談サービス」とは、メディカルノートにご協力いただいている医師への受診をサポートするサービスです。
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。
  • 受診予約の代行は含まれません。
  • 希望される医師の受診及び記事どおりの治療を保証するものではありません。

関連の医療相談が11件あります

※医療相談は、月額432円(消費税込)で提供しておりますが、アプリからは初回のみ無料でご利用頂けます。初回利用後も、自動で課金される事はありません。

「脊椎骨折」を登録すると、新着の情報をお知らせします

処理が完了できませんでした。時間を空けて再度お試しください

「受診について相談する」とは?

まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。

  • お客様がご相談される疾患について、クリニック/診療所など他の医療機関をすでに受診されていることを前提とします。
  • 受診の際には原則、紹介状をご用意ください。