概要
一般的に“あざ”といわれるものには、皮下出血と母斑の2つあります。
皮下出血とは、一般的には打ち身などによって皮膚の下(皮下組織)に出血が生じることにより、上から見て紫色や赤色に変色するものを指します。
あざ(皮下出血)は、それ自体は時間が経過すれば自然に消えていくため大きな問題となることはほとんどありません。しかし、血液が固まりにくくなる病気や血液をサラサラにする薬を服用中の場合はささいな刺激であざができ、さらに治りにくく、あざがどんどん大きくなっていくこともあります。
一方、母斑とは、先天性の原因により、皮膚の一部分の細胞・構造に異常が生じ、色や形が正常と違って見えるものを指します。基本的には生まれつきのもので、一生変化しないのが原則ですが、細胞が少し変化したり増殖したりすることによって、色や形が変化することもあります。生まれつきのものが多いですが、年齢とともに色が濃くなって、症状が後から現れてくるものもあります。まれに悪性化(癌化)するものもあります。
原因
皮下出血
皮下出血ができる原因は多岐にわたります。もっともよく見られるあざは、打ち身などのけがによって表皮の下の細い血管が損傷し、出血が広がることが原因でできるものです。このような外傷によるあざは、年齢に問わず健康上の問題がまったくない場合でも日常的によく見られます。基本的に問題となることはありませんが、血友病や白血病など出血しやすくなる病気の方や、抗凝固薬や抗血小板薬など血液が固まりにくくなる薬を服用中の方はささいな刺激であざができやすいのが特徴です。
母斑
原因は、それぞれの母斑によって異なります。赤あざの場合は、真皮毛細血管の拡張が原因で、茶あざは表皮メラノサイトの機能亢進が原因です。青あざの場合は、真皮メラノサイトの増殖と活性化が原因です。そのほかのあざでも、それぞれ異常が異なります。これら異常の元の原因は、ほとんど解明されていませんでしたが、近年では遺伝子レベルの解析により、かなり原因が分かってきたあざもあります。
症状
皮下出血
あざの症状はどのような原因で引き起こされたかによって大きく異なります。
打ち身などの外傷によるあざは、痛みや腫れ、熱感などを伴うことも多いですが、数日で自然に改善していくことがほとんどです。一方で、病気や薬の影響によって出血しやすい状態である場合はあざがどんどん大きくなり、関節の内部に出血が生じているようなケースでは関節運動などがスムーズにできなくなることも少なくありません。
母斑
皮膚の一部が赤くなる(毛細血管奇形)、青くなる(太田母斑・蒙古斑)、茶色くなる(扁平母斑)、黒くなる(色素性母斑)などの、皮膚の色の異常がみられることが多いですが、でこぼこしている(脂腺母斑・表皮母斑)、毛が多い(毛髪母斑)、赤みがない(貧血母斑)など、特殊な症状もあります。
検査・診断
あざ(皮下出血)の多くは、見た目の特徴や発症のきっけかなどから容易に診断を下すことができるため特別な検査が必要でないケースも少なくありません。
ですが、あざの広がりなどから出血しやすい状態であることが考えられる場合は、血小板数など、あざができやすい原因を調べるための血液検査が行われます。
また、あざ(母斑)の場合も、多くは専門医が一目みれば診断がつきます。ただし、珍しいものや非典型例では生検が必要になる場合もあります。
治療
あざの治療は原因によって大きく異なります。
外傷によるあざのほとんどは特別な治療は必要なく、自然に消えるのを待つだけで問題となることはほとんどありません。原因となる病気が見つかった場合には、その病気に対する治療が必要となります。
あざ(母斑)の場合も、多くは健康上問題とならないため、必ずしも治療が必要ではありません。ただし、目立つ部位にある場合には不都合になることもあるため、レーザー治療や手術治療が行われます。赤あざなど血管系のあざの場合には、パルス色素レーザーやNd:YAGレーザーが用いられます。青あざ・黒あざ・茶あざなどメラニン系のあざにはQスイッチルビーレーザーが用いられます。隆起性のあざには炭酸ガスレーザーが用いられます。もちろん、症状によっては他のレーザーが用いられることもあります。また、レーザー治療がうまくいかないあざの場合には、手術治療が行われます。
セルフケア
外傷によるあざは、打ち身など日常生活上の皮膚への刺激に注意することで発症を予防することができます。特に、出血しやすい病気の方、血液が固まりにくい薬を服用中の方は注意が必要です。あざ(母斑)は、生まれつきのものが多いため、予防方法はありません。
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