ひょうひぼはん

表皮母斑

最終更新日:
2024年04月24日
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2024/04/24
更新しました
2018/09/06
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概要

表皮母斑とは、生まれつきまたは幼少期から発生する褐色調のあざ(母斑)です。体幹や手足、首などに認めることが多く、表面はざらざらとしていて、細長く広がるように発生します。新生児の約1,000人に1人の割合で発生し、比較的発症頻度の高いあざとして知られています。

表皮母斑は自然に消失することはなく、体の成長に伴って拡大します。審美面(見た目のよさ)が懸念されるほか、まれに悪性化するケースもあります。

審美面への配慮と加齢に伴う悪性化のリスクを回避するため、治療としては原則的に外科的手術が考慮されます。完全にあざを切除することにより悪性化のリスクはなくなるものの、切除に伴い色素沈着瘢痕(はんこん)傷あと)が残ることがあります。

原因

表皮母斑が発生する明確な原因は不明ですが、表皮の過形成により発生するといわれています。皮膚は表面から表皮、真皮、皮下組織の大きく3層で構成されます。表皮母斑は、胎生期に皮膚が作られる過程で真皮の毛細血管の一部が異常に拡張したり増殖したりすることで発生すると考えられています。

症状

表皮母斑では、生まれつきまたは生後2〜3か月頃から皮膚に褐色調の盛り上がったあざがみられます。あざは体幹や手足、首などに認めることが多く、線状に広がるように発生します。また、自然に消失せず、成長に伴い大きくなることも特徴です。

また、表皮母斑は症状の違いから“限局型(疣状母斑)”“広範型(線状母斑・列序性母斑)”“炎症型”に分類されます。限局型では、一箇所またはさまざまな部位にあざが固まって発生します。広範型では、体幹や手足に線状のあざが認められます。炎症型では、線状に並ぶ硬く淡紅色のあざがみられ、強いかゆみを伴います。

一般的に、表皮母斑は悪性化するリスクが低いものの、まれに思春期以降に良性または悪性の腫瘍(しゅよう)が発生することがあります。さらに、骨や中枢神経に合併症を認めるケースもあります。

表皮母斑と類似のあざとして“脂線母斑”や“扁平母斑”が挙げられ、それぞれ形状や色調などが異なります。表皮母斑は褐色で盛り上がったざらざらとしたあざであるのに対し、脂線母斑は黄色調のあざで、多くは頭部に発生します。また、扁平母斑は表皮母斑と同様に褐色調を呈するものの、表面がさらさらとして平坦な形状をしていることが特徴です。

検査・診断

表皮母斑は、一般的に視診や触診により診断が可能です。このほか、場合によっては超音波検査やMRI検査、皮膚を拡大して観察する“ダーモスコープ”を用いた検査が行われることもあります。

治療

表皮母斑はまれに悪性化するリスクがあるため、治療では原則的に切除術が考慮されます。切除術には、手術やレーザー治療、皮膚剥離術(ひふはくりじゅつ)があります。

手術

手術では、局所麻酔を用いて外科的にあざを切除して皮膚を縫い合わせます。切除部位が広範囲に及ぶ場合には、ほかの部位の皮膚を移植するケースもあります。このほか、近年では皮膚を伸展させるシリコン製のバッグ(エキスパンダー)を皮膚の下に埋め込み、切除した部分を目立たなくさせる“皮膚組織伸展法”と呼ばれる術式も用いられています。

手術によるあざの切除はレーザー治療と比較して再発のリスクが低いものの、縫い合わせた部分が瘢痕になって残ることがデメリットとして挙げられます。また、皮膚組織伸展法は術後の瘢痕を最小限にとどめるなどのメリットがある一方、複数回の手術が必要になるため身体的な負担が大きくなる可能性があります。

レーザー治療・皮膚剥離術

レーザー治療や皮膚剥離術では、局所麻酔を用いてあざをレーザーやグラインダーと呼ばれる機器で削り取ります。

多少の色素沈着を残すことがあるものの、手術と比較して瘢痕の程度が少ない治療法です。一方で、再発のリスクがあることがデメリットとして挙げられます。

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