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しせんぼはん

脂腺母斑

最終更新日
2017年04月25日
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2017/04/25
掲載しました。

概要

脂腺母斑とは、出生時もしくは幼少時から見られる黄色調もしくは蒼白調をしたあざの一種です。顔面や頭部に生じることが多く、頭部に生じた場合はあざの部分に髪の毛を認めなくなるため、円形脱毛のような見た目を呈することになります。

0.3%ほどの新生児において脂腺母斑を認めるとの報告もあり、同時に知的障害や中枢神経形の異常、眼や心臓の奇形、骨格異常などを併発している場合には「Schimmelpenning症候群」と呼ばれます。

脂腺母斑は、時間経過と共に腫瘍化することもあり、時に基底細胞癌を代表とした悪性腫瘍を発生することもあります。特に思春期以降に腫瘍化するリスクがあり、低年齢のうちに切除することを推奨されることもあります。その一方、腫瘍の発生率そのものは必ずしも高くないとする考えもあり、予防的な切除に対して慎重な姿勢がとられることもあります。

原因

脂腺母斑で見られるあざは、正常な皮膚でも存在する細胞や組織によって構成されています。具体的には、過剰に増えている上皮や脂腺(皮膚に脂を分泌する組織です)、アポクリン腺、毛包などがあざの部位には存在しています。

脂腺母斑は、上皮系の細胞が発生する「外胚葉」と呼ばれる細胞群における異常であると考えられています。脂腺母斑を呈している部位は、その他の健常部位とは異なった遺伝子様式を呈することもあります。本来は、一つの受精卵から発生した一人の人には、一種類のみの決まった遺伝子情報のみが有されることになりますが、脂腺母斑のように同じ人物・個体の中で異なった遺伝子形式を有する細胞が混在していることもあり、この状況のことを「モザイク」と呼びます。脂腺母斑を呈する細胞の遺伝子を調べると、PTCH遺伝子やHRAS遺伝子と呼ばれる遺伝子にモザイクとして異常が生じている場合もあることが知られています。

症状

脂腺母斑では、出生時もしくは幼少時から見られる黄色調もしくは蒼白調をしたあざを呈することになります。あざを認める部位としては、顔面や頭部などに認めることが多いです。頭部に脂腺母斑が発生した場合には、髪の毛が生えている部位が脱毛を来たしてしまい、円形脱毛のような状態を呈することになります。

見た目の特徴としては、乳幼児期の段階であれば周囲の皮膚からの凹凸状の変化は強くなく平らな傾向があり、形も円形状もしくは線状の形態を呈しています。

脂腺母斑の見た目は年齢を重ねるにつれて変化することも知られており、思春期になる頃には母斑の大きさも身体の成長に比例して大きくなります。また周囲の健常部位からの盛り上がり傾向も見るようになり、小さなイボが集まったような様相ででこぼこの形状が出てくるようになります。

脂腺母斑はそのものでは良性のあざなのですが、時間経過と共に基底細胞癌を始めとした悪性腫瘍を発生することがあります。脂腺母斑には、皮膚に存在する様々な細胞が混在して存在するあざであるため、その他にも汗を出す器官に関連した腫瘍、脂を分泌する組織、毛髪に関連した細胞などからの腫瘍が発生することがあります。

さらに、脂腺母斑では同時に知的障害や中枢神経形の異常、眼や心臓の奇形、骨格異常などを併発していることもあり、この病気を特別に「Schimmelpenning症候群」と呼ばれます。

検査・診断

脂腺母斑の診断は、皮膚病変の見た目を元に診断されることになります。より正確な診断を行うことが求められる場合には、皮膚の組織を実際に採取する「皮膚生検」と呼ばれる検査が必要になります。皮膚生検で見られる病理学的な変化として、年少期におけるものであれば、より未熟な傾向のある毛包や脂腺が観察されることになります。成人に近づくにつれて毛包組織は成熟傾向が強くなり、脂腺も突出するように観察されます。さらに表皮の厚さもより分厚くなります。また、経過中に基底細胞癌を始めとした悪性腫瘍や種々の良性腫瘍も発生することになります。こうした腫瘍に特徴も、病理検査では同定することも出来ます。

治療

脂腺母斑は、その母斑があること自体で健康的な害となるという訳ではありません。しかしながら、年齢を経るにつれて、母斑部位が盛り上がったりすることでの美容的な悪影響を来すこともあります。さらに、基底細胞癌を始めとした悪性腫瘍や、その他の良性腫瘍を経過中に合併するリスクもあることが知られています。

美容的な観点、がんの予防観点から、ある年齢に達する前に(例えば思春期前)手術的に脂腺母斑を摘出することが推奨されることもあります。その一方、特に悪性腫瘍の観点について考えた際に、必ずしもがんが続発する可能性は高くはないとの考えから、予防的な摘出については推奨されないこともあります。したがって、母斑部位の変化に注意をしながら、形態学的な変化が生じないかどうかを注意深く観察することが重要になります。

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