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けつゆうびょう

血友病

最終更新日
2020年05月20日
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2020/05/20
更新しました。
2020/04/14
更新しました。
2017/04/25
掲載しました。

概要

血友病とは、血液を固めるのに必要な12種類の“血液凝固因子”と呼ばれるたんぱく質の中の第Ⅷ因子または第Ⅸ因子が不足していたり、はたらきが悪かったりする病気のことです。性染色体(性別を決定する染色体)の遺伝子の変異によって引き起こされるため、生まれつき発症することがほとんどであり、血液が固まりにくくなることから些細なことで出血する、出血が止まりにくいといった症状が幼少期から繰り返されます。

血友病には第Ⅷ因子が不足している“血友病A”と第Ⅸ因子が不足している“血友病B”と呼ばれる二つのタイプがあり、血友病のうち80%は血友病Aであるとされています。いずれも遺伝の関係で男性に発症しやすいのが特徴です。

かつては命に関わることも多い病気でしたが、現在ではよりよい治療法が確立されているため、健常者とほぼ変わらない生活を送っているケースも多いとされています。

なお、血友病の多くは遺伝性の病気ですが、まれに加齢や妊娠・出産、関節リウマチ全身性エリテマトーデスSLE)などの自己免疫性の病気が引き金となって血液凝固因子を攻撃する抗体が体内で産生され、成人になってから発症する“後天性血友病”が引き起こされることがあります。

原因

血友病は血液凝固因子の中の第Ⅷ因子または第Ⅸ因子が不足することによって引き起こされる病気です。その原因は大きく分けると次の二つのパターンがあります。

生まれつきによるもの

血友病の多くはX染色体と呼ばれる性染色体の一種の遺伝子の異常によるものです。X染色体は男性では1本、女性には2本存在します。性染色体が“XY型”の男性はX染色体が1本しかないため、1本のX染色体に異常があれば100%発症します。一方、“XX型”の女性はX染色体が2本あり、1本のX染色体に異常があっても、もう片方になければ発症しないことが一般的です。このため、血友病の多くは男性が発症するとされています。

生まれつき血友病である人のうち3割は遺伝子の突然変異によって生じるため、血縁者に血友病の人がいるなどの家族歴がなくても発症します。

免疫の異常によるもの

生まれつき血友病を発症していなくても、血液凝固因子を攻撃する“自己抗体”が形成されることによって後天的に血友病を発症することがあります。このような血友病を後天性血友病と呼びます。発症する引き金となりうるのは加齢、妊娠・出産、自己免疫性疾患などと考えられています。なお、生まれつきの血友病の発症率は100万人あたり40~60人ですが、後天性血友病は100~400万人に1人と非常にまれな病気です。

症状

血友病の症状の特徴は、関節内や筋肉内など体の深い部位に些細な刺激があっただけで出血を生じやすいことです。このため、幼少時から出血を繰り返すことで関節内の構造が破壊され、関節の変形や動きが悪くなるなどいわゆる“血友病性関節症”を引き起こしやすくなります。また、時に脳内やお腹の中などで出血が起こることがあり、命に関わるケースもあります。さらに、血友病にかかっている人は、けがや抜歯・手術などの治療時に出血が止まりにくくなることが予想されるため、計画的な管理が必要となります。

なお、出血の止まりにくさなどの程度は、凝固因子が不足している程度に影響されることが分かっています。このため、血友病は凝固因子の不足の程度によって三つの重症度に分類され、正常値の5~40%未満は“軽症型”、1~5%未満は“中等症型”、1%未満は“重症型”とされます。軽症型では、外傷がない場合に出血が生じることは少なく、発症に気付かないケースも珍しくありません。一方、重症型の場合は、新生児期から乳児期に脳内出血など命に関わる出血を起こすリスクが高まり、幼少期から関節内や筋肉内に原因がはっきりと分からない出血を繰り返します。

検査・診断

血友病が疑われる症状が見られたり、家族歴から血友病が疑われたりするときは、第一に血小板数、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)、プロトロンビン時間(PT)といった一般的に出血のしやすさを評価するための指標となる項目を調べる血液検査が行われます。これらの結果から血友病の可能性が高いと考えられるときは、血液中の第Ⅷ因子や第Ⅸ因子の量を調べる特殊な検査が行われ、確定診断が下されます。

また、血友病性関節症などの合併症が疑われる場合は、関節内の状態を詳しく観察するため、エコー(超音波)検査やCT・MRI検査などの画像検査を行うことも少なくありません。

治療

血友病は次のような方法で治療が行われます。

補充療法

不足している血液凝固因子製剤を補充する治療法です。出血が止まらないときに製剤を補充し止血を図る“オンデマンド療法”のほか、現在では重症型や一部中等症型の方の標準治療として出血を防いで関節症などの発症を予防するため、症状がなくても定期的に製剤投与を行う“定期補充療法”も取り入れられています。

血友病Aに対するデスモプレシン投与

尿量を調節するデスモプレシンと呼ばれるホルモンには、体内に蓄えられている第Ⅷ因子を放出させる作用があります。このため、軽症型や中等症型の血友病Aではデスモプレシン製剤を投与する治療が行われることがあります。しかし、重症なケースでは十分な治療効果を得ることはできず、長期間投与を続けることで体内に蓄えられていた第Ⅷ因子が使い尽くされて治療効果が薄くなっていくとされています。

自己抗体に対する治療

後天性血友病以外に、生まれつきの血友病で大量の凝固因子製剤の投与を続けていると、凝固因子を攻撃する自己抗体(インヒビター)が形成されることもあります。このようなケースでは、多量の凝固因子製剤を頻回に投与して自己抗体の産生を抑える“免疫寛容導入療法”や出血が止まらないときには、より大量の凝固因子を投与して出血を止める“中和療法”などが行われます。

また、自己抗体を多量に持っている場合には”バイパス療法”が行われることもあります。バイパス療法とは、血友病によって異常が起きている第Ⅷ凝固因子や第Ⅺ凝固因子ではなく、それ以外の凝固因子を使用して血液を固めようとする治療方法です。自己抗体を多量に持っていると、第Ⅷ凝固因子や第Ⅺ凝固因子を投与しても効き目がなくなってしまいます。そのため、バイパス療法ではそれ以外の凝固因子を投与することで、自己抗体に邪魔をされずに血液を固めようとします。

血友病Aに対する抗体製剤投与

血友病Aに対する治療の場合、第Ⅷ凝固因子と似たようなはたらきをする”エミシズマブ”と呼ばれる抗体製剤を注射で投与することもあります。エミシズマブは2018年から販売された比較的新しい治療薬で、自己抗体を持つ方にも効果があります。

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