治療
血友病は次のような方法で治療が行われます。
補充療法
不足している血液凝固因子製剤を補充する治療法です。出血が止まらないときに製剤を補充し止血を図る“オンデマンド療法”のほか、現在では重症型や一部中等症型の方の標準治療として出血を防いで関節症などの発症を予防するため、症状がなくても定期的に製剤投与を行う“定期補充療法”も取り入れられています。
血友病Aに対するデスモプレシン投与
尿量を調節するデスモプレシンと呼ばれるホルモンには、体内に蓄えられている第Ⅷ因子を放出させる作用があります。このため、軽症型や中等症型の血友病Aではデスモプレシン製剤を投与する治療が行われることがあります。しかし、重症なケースでは十分な治療効果を得ることはできず、長期間投与を続けることで体内に蓄えられていた第Ⅷ因子が使い尽くされて治療効果が薄くなっていくとされています。
自己抗体に対する治療
後天性血友病以外に、生まれつきの血友病で大量の凝固因子製剤の投与を続けていると、凝固因子を攻撃する自己抗体(インヒビター)が形成されることもあります。このようなケースでは、多量の凝固因子製剤を頻回に投与して自己抗体の産生を抑える“免疫寛容導入療法”や出血が止まらないときには、より大量の凝固因子を投与して出血を止める“中和療法”などが行われます。
また、自己抗体を多量に持っている場合には”バイパス療法”が行われることもあります。バイパス療法とは、血友病によって異常が起きている第Ⅷ凝固因子や第Ⅺ凝固因子ではなく、それ以外の凝固因子を使用して血液を固めようとする治療方法です。自己抗体を多量に持っていると、第Ⅷ凝固因子や第Ⅺ凝固因子を投与しても効き目がなくなってしまいます。そのため、バイパス療法ではそれ以外の凝固因子を投与することで、自己抗体に邪魔をされずに血液を固めようとします。
血友病Aに対する抗体製剤投与
血友病Aに対する治療の場合、第Ⅷ凝固因子と似たようなはたらきをする”エミシズマブ”と呼ばれる抗体製剤を注射で投与することもあります。エミシズマブは2018年から販売された比較的新しい治療薬で、自己抗体を持つ方にも効果があります。
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