概要
蒙古斑とは、赤ちゃんのお尻や腰に生じる青いあざのことを指します。日本人ではほぼ100%にみられるとされていますが、ほとんどは10歳頃までに自然に消えていくため、基本的に治療は必要ありません。一方で、お尻や腰以外にできる青いあざのことを異所性蒙古斑と呼び、通常の蒙古斑のように自然に消えることは少ないといわれています。基本的に蒙古斑は良性とされていますが、広範囲に発生していたり、なかなか薄くならなかったりする場合は代謝異常や毛細血管奇形など全身性の病気が併発している可能性があるため注意が必要です。
原因
蒙古斑は、メラニン色素を作り出す細胞であるメラノサイトが原因で起こります。通常、メラノサイトは皮膚の浅い部分にしか存在しませんが、表皮よりも深い真皮という部分に存在することで皮膚が青く見えます。
発達過程の異常によってメラノサイトが真皮に残るために蒙古斑が生じるといわれていますが、明確な原因は分かっていません。
症状
一般的な蒙古斑は生後1週間~1か月くらいにかけてお尻や腰に青いあざとして現れます。2歳頃まではあざの色が濃くなっていきますが、それ以降は徐々に薄くなり、10歳頃までにはほとんどが消失します。一方で、3%程度の蒙古斑は大人になっても残ったままであることも知られており、このような蒙古斑を持続性蒙古斑と呼びます。
また、蒙古斑の中にはお尻や腰以外の部位に発生するものもあり、このような蒙古斑を異所性蒙古斑と呼びます。異所性蒙古斑は成長しても自然に消えにくく、目立つ部位に生じた場合は整容面での観点から精神的負担を引き起こしているケースもあります。
検査・診断
蒙古斑は皮膚症状の見た目で診断が下されるため、通常、特別な検査を行うことはありません。一方で、先天性の代謝異常などほかの病気との併発が疑われるような蒙古斑の場合は、血液検査やX線検査など想定される病気に応じた検査が行われます。
治療
お尻や腰にできる通常の蒙古斑はほとんどが成長と共に消えていくため、治療の必要はありません。一方、11歳以降も残る蒙古斑や異所性蒙古斑は自然に消えにくく、患者が整容面の改善を希望する場合にはレーザー照射によって真皮のメラノサイトを破壊する治療を実施します。
レーザー治療は開始年齢が早いほど治療効果が高いとされていますが、治療協力が得られにくい年齢の場合や、治療を行う場所・範囲によっては全身麻酔が必要になることもあるため医師とよく相談することが大切です。
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