とうこつえんいたんこっせつ

橈骨遠位端骨折

最終更新日:
2018年09月11日
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2018/09/11
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概要

橈骨遠位端骨折(とうこつえんいたんこっせつ)とは、転倒して手をついたときなどに、前腕を構成する骨のひとつである橈骨が手首の付近で折れる骨折のことです。

骨折部の偏位によって、コーレス骨折、スミス骨折、バートン骨折があります。

  • コーレス骨折:遠位部の骨片が手の甲側に突き出して、手首がフォークを伏せて置いたような形になります。
  • スミス骨折:コーレス骨折の逆の変形を生じます。
  • バートン骨折:橈骨の遠位端が手首の関節を巻き込んで骨折を生じるものです。

骨粗鬆症(こつそしょうしょう)を患う高齢女性に生じやすい骨折であり、骨折のなかでも頻度が高いもののひとつです。

発症すると、骨折による痛みや腫れが生じます。骨の偏位が激しい場合には、周辺を走行する神経にダメージが加わってしびれや運動麻痺を生じることもあります。

原因

前腕は、尺骨(しゃっこつ)と橈骨という2本の骨で構成されており、親指側にある太い骨を橈骨と呼びます。

橈骨は太く、硬い構造をしていますが、多少の外力が加わっただけで骨折する骨粗鬆症を患う高齢女性などでは、転倒して軽く手をついただけで橈骨の遠位端に骨折を生じることがあります。

また、高齢者でなくても、転落や交通事故などで非常に強い外力が加わった場合には骨折を生じることもあります。骨折部位の大きな偏位を伴うような重症のケースも少なくありません。

症状

骨折部位の偏位と痛み、腫れ、発赤などを生じます。手首の関節が正常に機能せず、手関節運動が困難になります。

手首を走行する正中神経にダメージが加わると、親指の運動障害や、親指から薬指にかけての感覚低下、しびれが引き起こされることもあります。骨折の影響で長母指伸筋腱などの腱が後日断裂することもあります。

さらに、不完全な偏位部の整復や、長期間にわたる過度な固定により、関節が硬くなり骨が委縮するような後遺症を遺したり、不自然なほどの非常に激しい痛みが生じる「複合性局所疼痛症候群(Complex regional pain syndrome: CRPS)」という神経障害を引き起こしたりして、治療に非常に苦労してしまうことがあります。

検査・診断

転倒後の手首の変形や痛み、腫れなどから、骨折していることは外見から容易に判断できることも多いです。病院を受診して第一に行われる検査は、レントゲン検査です。レントゲン検査は、もっとも簡便に行える画像検査であり、骨折の有無や骨の偏位を明瞭に観察することができます。

また、手首の関節に多数の骨片を伴う場合など、レントゲン検査だけでは全貌を観察することができない場合には、CTやMRIによる精査が行われることもあります。

レントゲンでは診断できないような細かい骨折の場合、MRIを追加することで診断がつく場合もあります。

治療

転位の大きな橈骨遠位端骨折の場合、整復しないまま骨が癒合すると、手首の変形や運動障害を残すこともあります。このため、偏位の修正を第一に行います。

麻酔をして医師の手で体表から転位した骨を元の位置に戻す徒手的整復を行い数週間ギプスなどで固定する保存療法と、手術をして主にプレートで転位を修正・固定する方法があります。

しかし、転位が大きい骨折・バートン骨折のような関節内骨折である場合や、骨片が多数あるような場合には、徒手的整復だけでは十分な整復・整復位の保持が得られないため、手術を行うこととなります。

痛みが強い場合には、消炎鎮痛剤の内服などの対症療法が行われます。

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