ふくごうせいきょくしょとうつうしょうこうぐん

複合性局所疼痛症候群

同義語
CRPS
最終更新日:
2024年04月23日
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2024/04/23
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概要

複合性局所疼痛症候群(ふくごうせいきょくしょとうつうしょうこうぐん)とは、外傷(場合によっては些細なけが)などで損傷した部位が治った後も強い痛みが続く状態です。主な症状として長引く強い痛みのほか、患部の腫脹や骨萎縮、皮膚が接触に極めて敏感になるアロディニア、発汗の増加または減少などが挙げられます。

複合性局所疼痛症候群はまれな病態で、人口10万人あたり年間5.46~26.2人に発症するといわれています。原因や発症のメカニズムは解明されていません。骨折捻挫、手術が原因で発症することが多く、男性よりも女性の発症が多いといわれています。

確立された治療法はないため、機能回復に重点を置いて早期からリハビリテーションを中心とした集学的・多角的な治療を進めることが大切です。具体的な治療としては運動療法、薬物療法、神経ブロック療法、場合によっては脊髄刺激療法(せきずいしげきりょうほう)などがあります。

原因

複合性局所疼痛症候群の原因や発症のメカニズムはまだ解明されていないものの、患部組織に血液が十分に供給されないことや交感神経が過剰にはたらくことなどが一因になっているとする説があります。

骨折捻挫、手術をきっかけに発症する症例が多く報告されていますが、脳卒中心筋梗塞(しんきんこうそく)がんに続いて発症するケースもあります。

症状

複合性局所疼痛症候群の主な症状は、長引く強い痛みです。うずくような痛みや焼けつくような痛み、ピリピリする痛みなど、痛みの感じ方や程度に個人差はありますが、動かすと痛みを感じることが多く、患部を動かさないことで関節の可動域が制限されたり関節が固まったりすることもあります。

ほかにも、以下のような症状がみられることもあります。

  • アロディニア(患部の皮膚が接触に極めて敏感になる)
  • 皮膚が赤くなる、青白くなる、斑点ができる
  • 皮膚の温度が1℃以上、上昇または低下する
  • 皮膚が乾燥する、発汗が多くなる
  • 限局性のむくみ
  • 皮膚や骨の萎縮
  • 毛髪や爪の成長障害
  • 骨萎縮
  • 運動障害(筋力の低下・振戦*攣縮(れんしゅく)ジストニア**)など

また、抑うつや不安、怒りなどの心理的苦痛を経験する人もいます。

*振戦:手など体の一部が自分の意思とは関係なくリズミカルに震えること

**ジストニア:自分では制御できない、異常な姿勢・異常な運動を起こす状態

検査・診断

複合性局所疼痛症候群は、厚生労働省の研究班が作成した“複合性局所疼痛症候群の判定指標”に基づき、痛みや皮膚の萎縮性変化などといった特定の症状がみられるかを確認して診断されます。

判定指標で診断がはっきりしない場合は、X線検査や骨シンチグラフィーのほか、痛みの原因が筋肉にあるか神経にあるかを判断するために神経伝導検査*や筋電図検査**などを行います。

*末梢神経に電気刺激を与えて、神経に伝わる刺激の速度を算出する検査。

**細い電極針を筋肉に刺して、力を入れたり抜いたりした際に筋肉に生じる電気的活動を記録する検査。

治療

複合性局所疼痛症候群の治療は痛みの緩和よりも機能回復が基本となります。そのため、患部の運動・感覚機能を回復させるために運動療法(他動関節可動域訓練や筋力強化訓練など)を行います。

同時に、症状に対する不安や痛みを避けるために動かさないという“回避行動”が症状悪化の要因になることから、痛みの理解を促す教育や行動を改善する認知行動療法などを行います。また、痛みの悪循環が治療を妨げる要因にもなることから、痛みを和らげるために病態に合わせて薬物療法や神経ブロック療法、脊髄刺激療法などを組み合わせて行います。

薬物療法

皮膚温度の上昇やむくみなどがある急性期の場合は非ステロイド性抗炎症薬やステロイド薬などの投与が検討されます。神経障害の痛みを伴う際には神経障害性疼痛治療薬(プレガバリン、ミロガバリンベシル酸塩など)やアミトリプチリン塩酸塩を使用することもあります。また抑うつ症状を伴う場合は抗うつ薬などの使用を考慮します。

患部の骨萎縮を伴う場合にはビスホスホネート製剤などの使用も考慮します。

神経ブロック療法

末梢神経やその周囲に局所麻酔薬を注入(神経ブロック)し、当該神経の興奮性を一時的に沈静化させることで局所の痛みに伴う悪循環を改善する治療法です。

脊髄刺激療法

薬物療法や神経ブロック療法などでも痛みの緩和が不十分である場合などに検討されます。手術で約5 cmほどの大きさの刺激装置を体内に植え込み、脊髄に微弱な電気刺激を与えることで痛みの緩和を図ります。

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