インタビュー

子どもがかかる病気とその治療① 突発性湿疹/感冒/ウイルス性胃腸炎/インフルエンザ/気管支炎/肺炎など

子どもがかかる病気とその治療① 突発性湿疹/感冒/ウイルス性胃腸炎/インフルエンザ/気管支炎/肺炎など
五十嵐 隆 先生

国立研究開発法人国立成育医療研究センター 理事長

五十嵐 隆 先生

この記事の最終更新は2016年09月06日です。

乳児期、とくに生後6カ月〜1歳前後の赤ちゃんが、初めて急に38度以上の熱を出すときは突発性発疹であることが多いです。高熱のわりに比較的機嫌がよいのが特徴のひとつです。

急に38度以上の高熱が出ます。ほかに困る症状はあまりなく、比較的機嫌もよく、食欲もある程度あり、時々遊ぶ余裕もあります。熱は3〜4日続いたあと自然に下がり、半日ほどたってから、おなかや背中にあせものような発疹が出て、次第に顔や手足にも広がります。発疹が出てからは、機嫌が悪くなったり下痢になったりしやすいですが、その症状も2〜3日で戻り、発疹もきれいに消えます。

とくに治療の必要はありませんが、熱性けいれんを起こすこともあるので、安静と水分補給に気をつけて、快適に過ごせるようにしましょう。発疹が出るまでは診断がつかないため、高熱のあいだはほかの病気の可能性も考えながら様子を見ましょう。

(澤田雅子 先生)

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感冒(風邪)とは、子どもが最もよくかかる一般的な病気です。原因となる病原微生物の80〜90%がウイルスです。水分補給と安静のみで1週間ほどで自然に治ることがほとんどです。

病原微生物が、鼻やのどの粘膜に入り炎症反応を起こすため、鼻水・鼻づまり、のどの腫れや痛み、せきやたんなどの症状が出てきます。発熱や頭痛、関節痛、だるさなどの全身症状も起こります。とくに、赤ちゃんでは鼻づまりのためミルクが飲みづらくなり、また気管支が狭いためゼーゼーしやすくなるので、脱水症や合併症として細菌感染を起こすことが多く、注意が必要です。

ウイルスに対する特効薬はなく、症状に合わせてたんを切るなどの対症療法を行い、水分補給をして安静にします。ウイルス以外の細菌やマイコプラズマが原因の場合や、肺炎中耳炎などの可能性が高い場合は、それぞれに有効な抗生物質を選択して治療します。

(澤田雅子 先生)

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ウイルス感染による胃腸炎で多いものは、冬に2歳くらいまでの乳幼児に多く見られるロタウイルスによる白色下痢便症(はくしょくげりべんしょう)と、幼児から大人にも大流行する流行性嘔吐下痢症(りゅうこうせいおうとげりしょう)です。

ウイルス性胃腸炎は、吐き気や嘔吐で始まり、1〜2日ひとしきり嘔吐して落ち着いたころに下痢が始まります。水様性の下痢が3〜4日から1週間ほど続き、発熱や腹痛、頭痛、だるさが起こります。この間、食事はとらなくてもよいですが、水分補給をして脱水にならないよう注意する必要があります。

水分は、症状が軽ければ水やお茶でよいですが、水を飲んでも吐く場合は、経口補水液が子どもにも大人にもおすすめです。必要な電解質が含まれており、最も身体に負担なく吸収されます。ロタウイルスやノロウイルスによる胃腸炎はとくに症状が激しく、危険な脱水症になることもあるので、水分補給ができない場合は点滴が必要です。

(澤田雅子 先生)

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インフルエンザウイルスの感染症で、冬に流行します。症状は、熱、せき、のどの痛み、関節痛、けいれん、脳症、胃腸症状、肺炎などです。抗ウイルス薬を使うこともあります。

インフルエンザウイルスによる感染症で、冬に流行します。以前から見られる季節性インフルエンザでは、熱、せき、鼻水、のどの痛み、関節痛、けいれん、脳症、せん妄状態(異常なものが見える、異常言動・異常行動)、嘔吐、下痢、腹痛が起こります。2009年以降の新型インフルエンザは、肺炎やぜんそくのような発作が特徴的です。

鼻に綿棒を入れる迅速検査が一般的ですが、発熱後8時間〜半日程度しないと正しい結果が出ません。抗ウイルス薬が使われることもありますが、使わないでもほとんど完治します。予防にはワクチンがある程度効果的です。手洗い・うがい・マスク、流行しているときは人ごみに行かないなど、予防を心がけましょう。 

(黒澤照喜 先生) 

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のどの奥にある気道(下気道)で炎症が起きている状態です。炎症が起こっている場所によって気管支炎肺炎と分類します。ほとんどがウイルスや細菌などの病原体の感染で起きます。

のどの奥の気道(下気道)は気管・気管支・細気管支・肺胞(はいほう)に分かれています。炎症が気管支で起きている場合を気管支炎、肺胞で起きている場合を肺炎と呼びます。子どもではウイルスや細菌などの病原体による感染からの炎症がほとんどですが、食べ物や異物のむせこみが原因の場合もあります。

炎症が起きると、発熱、せき、鼻水などの症状が見られます。とくに、発熱が4〜5日続き、せき、鼻水を伴っている場合は、気管支炎や肺炎を疑い、胸のレントゲン写真、血液検査、培養検査などで診断します。病原体に応じて抗生物質やせき止めなどの薬を使うこともあります。水分をたくさんとって脱水にならないように気をつけましょう。

(黒澤照喜 先生) 

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生まれて半年ほどの新生児から乳児期の早い時期に、ゼーゼーして呼吸が苦しくなったり、哺乳ができなくなったりする病気です。ほとんどがRSウイルスの感染によるものです。

気管支と肺胞(はいほう)のあいだにある細気管支を中心に炎症が起きた状態です。新生児や、生後半年ほどの乳児が、冬に流行するRSウイルスに感染して起こることが多いです。大きな子どもや大人ではRSウイルスに感染しても、せき、鼻水が出るだけですが、乳児では細気管支炎になり、喘鳴(ぜんめい)(ゼーゼー)が起き、呼吸が苦しくなったり哺乳力が落ちたりします。

吸入薬、酸素の投与、点滴などで治療を行いますが、症状がひどい場合には人工呼吸器が必要なこともあります。抗生物質は効かないため、治るまでに時間がかかります。流行時期に毎月注射で予防する方法もありますが、対象が限定されています。家族が手洗い、うがいで予防しましょう。

(黒澤照喜 先生)

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ダニやほこり、風邪がきっかけで気管支が細くなり、呼吸が苦しくなる病気です。発作をくり返すと気管支内の壁が厚くなるため、発作のない状態が続くように予防することが大切です。

子どもの気管支ぜんそくはアレルギーの関与が強く、ダニやほこり、動物の毛などのアレルギーを起こす物質(アレルゲン)を吸いこむと、気管支が刺激され、細くなったり気管支の粘膜が腫れたりします。息を吐くときには「ゼーゼー」という音が聞こえます。

また、風邪をひいたときも同様の発作が起こりやすくなります。ひどくなると体の酸素が不足して顔色が悪くなります。発作時は、気管支を広げる薬の吸入で治療します。また、予防が大切と考えられており、抗ロイコトリエン薬などの内服、ステロイドの吸入などで気管支の炎症を抑えます。部屋をきれいに掃除する、カーペットや羽布団は避けるなどアレルゲン対策をとりましょう。

(西本創 先生)

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空気の通り道である気管支が狭くなり、呼吸がしにくくなる病気です。子どもは気管支が細いため、軽い風邪でも狭くなります。くり返すと気管支ぜんそくと診断されます。

風邪をひくと、気管支の粘膜が腫れ、たんが出ることにより、空気の通り道が狭くなります。そのため、息をする音が「ゼーゼー」と聞こえたり(喘鳴(ぜんめい))、苦しそうに肩で息をする(努力呼吸)ようになったり、横になるのを嫌がったり(起坐(きざ)呼吸)するようになります。

細いストローで息をしているような状態です。せきがひどいときや、たんが出せないときは、気管支を広げる薬やたんの切れを良くする薬で治療します。赤ちゃんはたんを自分では出せないため、たんが切れやすいように、水分補給をこまめにして、部屋の加湿を行いましょう。くり返す場合やアレルギー体質がある場合には、気管支ぜんそくと診断されることがあります。

(西本創 先生)

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のどの入口の喉頭(こうとう)が腫れて空気の通り道が狭くなり、息を吸うときにゴーッと音がして苦しくなります。おもな原因は風邪で、特徴的なひどいせきをして声がかれることもあります。 

声帯の近くが腫れて空気の通り道が狭くなり、呼吸が苦しくなります。オットセイや犬の遠吠えのようなケーンという特徴的な乾いたせきをし、声がかれてきます。日中は元気でも、夜寝ているときに突然このような症状を起こすことが多いです。多くは風邪に伴うもので、数日で治まりますが、悪化すると進行が早いため、すぐに医療機関を受診し、腫れをとる薬の吸入、ステロイドの内服などの治療を受けます。冬にかかりやすく、空気が乾燥しているとせきが出やすいため、水分を十分とって、加湿することが有効です。似ている病気に急性喉頭蓋炎(きゅうせいこうとうがいえん)があります。非常にまれですが、危険な病気です。ヒブワクチンで予防できます。

(さいたま市民医療センター 小児科 科長 西本 創先生)

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