きゅうせいこうとうがいえん

急性喉頭蓋炎

最終更新日:
2023年06月27日
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2023/06/27
更新しました
2017/04/25
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概要

急性喉頭蓋炎とは、気管の入り口にある喉頭蓋(こうとうがい)と呼ばれる箇所が主に細菌感染によって腫れてしまう病気です。

喉頭蓋は、飲食物が気管に入り込むことがないように飲食物の流れを左右に分け、飲食物が正しく食道へ流れるように誘導する役割を担っています。急性喉頭蓋炎は、急激に危険な呼吸困難を引き起こし命に関わることもあるため、早急に治療を行うことが大切です。

原因

急性喉頭蓋炎の原因の多くは、インフルエンザ菌などによる細菌感染です。インフルエンザ菌b型(Hib)に対するワクチンが広まったことで、小児の患者は激減しました。

感染以外の原因としては、糖尿病や自己免疫性疾患などの病気、頸部(けいぶ)への放射線照射などの治療、さらには喫煙などが関与していることがあるといわれています。

さらに、火災による気道のやけどや薬剤によるアナフィラキシーショック、魚の骨などの異物による刺激が発症の原因になることもあります。

症状

急性喉頭蓋炎は感冒に続発することが多く、初期症状としては発熱やのどの痛み、ものの飲み込みにくさなどがあります。

進行すると、嚥下時痛(えんげじつう)(飲み込むときの、のどの痛み)が強くなり、飲食物だけではなく、唾液を飲みこむことができないほどの痛みを訴えます。喉頭蓋の腫れが強くなると、くぐもった声となり、呼吸も苦しくなります(呼吸困難)。

息苦しさにも段階があり、はじめのうちは息を吸う際にゼーゼー、ヒューヒューといった音がなるような症状が現れます。それらの症状は急速に進行し、処置が遅れた場合には窒息死に至る可能性もあります。症状が出現してから1日未満で呼吸困難に陥る、劇症型といわれる危険な病態もあることから、医療機関を受診し、速やかに適切な診断と治療を受ける必要があります。

検査・診断

急性喉頭蓋炎が疑われる場合に用いられるのは、一般的に喉頭ファイバースコープ検査です。また、補助的な検査として頸部造影CT検査や血液検査などが選択されることもあります。

のどの強い痛みがあるにもかかわらず、口腔内所見として中咽頭(ちゅういんとう)の炎症所見に乏しい(患者の訴えと口腔咽頭所見の乖離)場合には喉頭蓋炎が疑われます。喉頭蓋炎が疑われる場合には、急性喉頭蓋炎であるかを確認するために喉頭ファイバースコープ検査を行います。また、患者の症状や状態に応じて頸部造影CT検査や血液検査が行われることもあります。

喉頭ファイバースコープ検査

喉頭ファイバースコープ検査とは、喉頭蓋を検査するときに用いられる一般的な方法で、胃カメラよりも細いファイバースコープを鼻から挿入して行う検査です。喉頭蓋の炎症や腫れの状態・程度、そして空気の通り道が十分確保されているかを観察し、確定診断を行うことができます。

なお、なんらかの理由で喉頭ファイバースコープ検査が行えない場合には、X線検査で喉頭蓋の腫れの状態を確認することもあります。

頸部造影CT検査

頸部造影CT検査とは、喉頭蓋周辺の様子を細かく観察することができる検査です。

頸部を触ったときの明らかな痛みや腫れのような症状がみられる場合に用いられることがあります。急性喉頭蓋炎の診断に加え、合併していることもある扁桃周囲や頸部(けいぶ)(のうよう)の診断にも役立ちます。

血液検査

急性喉頭蓋炎における血液検査とは、炎症がどのくらい起こっているのかを確認するために行われる検査です。白血球数や炎症の程度の目安となるタンパク質の一種であるCRPの数値を確認するために用いられます。さらに、糖尿病があると病気が重症化しやすく、また副腎皮質ステロイドを用いることで血糖値が変動する場合があるため、血糖値やHbA1cといった項目の検査も行います。

治療

急性喉頭蓋炎は、進行すると窒息して命に関わる状態に陥るリスクがあります。したがって、診察を受けた段階では症状が軽い場合であっても入院での治療が基本です。そのうえで、抗菌薬や副腎皮質ステロイドを用いた点滴を行いますが、進行している状態では気道の確保や瘍を開放する手術治療が必要となることもあります。

一般的には4〜5日程度で改善する傾向がみられますが、症状が重い場合には改善までに2週間程度かかります。

薬物療法

抗菌薬や副腎皮質ステロイドを点滴して喉頭蓋の粘膜の炎症や腫れを抑えます。また、副腎皮質ステロイドに粘膜を収縮させるアドレナリンを合わせた薬剤を、ネブライザーを使って吸入することもあります。

手術治療

喉頭蓋の腫れがひどく、窒息の恐れがある場合に選択されるのが緊急気管切開術です。

緊急気管切開術では、外科的な治療による気道確保を目的としています。また、頸部造影CT検査などで扁桃周囲や頸部に膿瘍が見つかった場合には、切開排膿術といわれる手術を検討します。

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