記事1『子どもの気管支内視鏡とは? 大人の気管支内視鏡との違い』では、気管支内視鏡がどのような器械なのかをご説明してきました。今回は、子どもに対する気管支内視鏡検査の具体的な方法をご紹介します。子どもの気管支内視鏡検査は大人と比べて大掛かりになる場合も多く、麻酔の種類も様々であるといいます。東京都立小児総合医療センター 呼吸器科の石立誠人先生にお話しいただきました。
以下の場合には気道(のどや気管、気管支)に問題が起きていることが多いため、気管支内視鏡検査が適応されます。
●ぜいぜい(喘鳴:ぜんめい)としているとき
●異物(ピーナッツ・枝豆などの豆類)などが気管支に入ってしまったと疑われるとき
●喉頭軟化症など小児特有の病気が疑われるとき
●苦しそうで授乳がうまくいかない、体重が増えないとき
●睡眠時、いびきがひどいとき
●気管支などにレントゲンで気管狭窄が疑われるとき
●胸部レントゲン写真やCT写真で肺に異常陰影がみられ、肺癌や感染症、炎症などが疑われるとき
また、肺炎や気管支炎を発症したあとになっても咳などの症状が改善しないというときは、先天性疾患があるために肺炎を起こしたり気管支炎を繰り返す場合がまれにあります。喘息の治療をしても状態が改善しない場合は、気管が狭くなっているなど生まれつきの肺の病気を持っていることが多く、その部分に感染を繰り返してしまいます。この場合も、CTや気管支内視鏡検査が用いられます。
検査時、基本的な体位はベッドで仰臥位(仰向け)になる形です。子どもは検査時に恐怖感を覚え、泣いたり動いたりするため、補助担当が体を押さえなければなりません。東京都立小児総合医療センターでは、子どもの体にタオルを巻いて手が出ないようにして頭を固定する者、体全体を抑える者、内視鏡検査を行う者の3人体制で行います。また、頭を持って顔を固定する者は、検査中に子どもの顔色が悪くなっていないかを見るよう注意します。(下図参照)
また検査時は、検査を受ける子どもの呼吸状態が悪くならないように、吸引器・酸素・モニターの3つを準備して行い、何よりも安全管理を大事に考えます。
子どもの内視鏡は1対1では検査ができません。観察しやすい状況を作り、早く必要な検査を終えることが、子どもの苦痛を減らす最善の策と考えています。
大人で気管支内視鏡を行う風景は、イメージとして思い浮かぶものがあるかもしれません。しかし、子どもの場合はそのイメージが当てはまりません。第一に、子どもは検査を素直に受け入れられない場合がほとんどです。10歳程度まで成長すると、起きたまま麻酔をかけて検査が受けられる子どももいますが、10歳未満であれば検査一つをとってみても大人と同様にはいきません。
観察をするだけであっても、子どもの場合は、鼻から内視鏡を入れられて動いてしまうことは珍しくありません。その際は鎮静剤を使って眠らせたうえで、のどに麻酔をかけます。
内視鏡時に用いられる麻酔は局所麻酔です。のどは敏感な器官であり、内視鏡でわずかに刺激するだけでも、ただちにのどがけいれんを起こし、呼吸困難となり、顔色も悪くなってきます。こうなると検査を行う猶予はありません。そのため、のどには必ず局所麻酔をかけます。
このように、下気道を検査する際は、細心の注意が必要となるのです。
内視鏡検査に伴う麻酔に関しては全身麻酔から局所麻酔まで様々な方法があります。どのような方法を選択するかは、みたい場所や内容によって異なります。たとえば気道内異物を取るときは硬性気管支鏡を用いるため、全身麻酔をかけて、かつ肺の中の洗浄も行います。
たとえば喉頭軟化症という病気(喉頭の軟骨が柔らかく出来ていて、喉頭という声門の近くの軟骨が気管に吸い込まれる形で声門の入り口をふさいでしまい、呼吸に支障をきたす病気)は、レントゲンでは診断できません。のどの動きをリアルタイムでみる必要があります。
喉頭軟化症のように喉頭が動いたり吸い込まれたする、動きを伴う器官の観察には気管支内視鏡が適しています。勿論写真撮影も行いますが、動画を保存してそれをまたみなおすことにより、診断もスムーズに行うことができます。もし、子どもが同時に心臓の病気を持っていると、呼吸によってのどが変動したり、泣くと同時ににいきんで内圧が上がって気管が潰れることもあります。内視鏡は、気管の潰れ具合を見たい場合に最適な検査方法です。
気管支内視鏡は静止画では判断がつかない状態が分かるため、呼吸器の疾患を診断するために必要な器械だと考えています。
ただし全身麻酔をかけると自発呼吸がなくなり、これも診られなくなってしまいますから、状況に応じて使い分ける必要があります。
東京都立小児総合医療センター 呼吸器科 医長
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