漢方医学の世界では、心身に現れる様々な不調を、「気・血・水」いずれかの不足や滞りによるものと考えます。たとえば、体が酷くだるいと感じる場合や、夕方になると人よりも疲労感が強く出てしまう方は、「気」が不足している状態であると、九州大学大学院医学研究院地域医療教育ユニット准教授(九州大学病院総合診療科漢方専門外来担当)の貝沼茂三郎先生はおっしゃいます。本記事では、「気」という概念と、気の過不足に関わる諸症状についてご説明いただきました。
漢方医学では、陰陽虚実(※詳しくは記事3をご覧ください)と同時に「気・血・水(き・けつ・すい)」を考えることが非常に重要です。現代医学的には神経・免疫・内分泌で生体の恒常性が保たれていると考えられているが、漢方医学的には、「気血水」全てが過不足なく働くことで生体の恒常性は保たれていると考えます。まずは、やや捉えにくい「気」について解説します。
気とは、生命活動の根源となるエネルギーのことを指し、漢方医学においては大変重要な概念とされます。気には、親から受け取った遺伝的なエネルギーと、呼吸活動や食事により後天的に得られるエネルギーの2種類があります。前者のエネルギーには限りがありますが、後者は食事や呼吸で補うことが可能です。
しかしながら、胃腸が弱い方は食事を十分に消化吸収できないため、エネルギーを十分に生み出す力が弱く、漢方医学では「気虚」(ききょ:気の不足)と分類されます。より簡潔にいうと、気虚はエネルギー不足の状態といえます。具体的には、健康な人と同じ活動(仕事など)をしていても、夕方頃には疲れ切ってぐったりしてしまう方や、食後の眠気が非常に強く起こる方が気虚に該当します。食後の眠気は正常なサーカディアンリズムにより引き起こされるものですが、胃腸が弱い場合は食事を消化吸収すべく血流が一か所に集中するため、強い眠気が起こるとされます。このほか、やる気が出ず強い倦怠感を感じる方や、集中力が不足している方も「気虚」に分類されます。
気とは本来、体の中を常に巡っているものです。これが滞っている状態を「気鬱(または気滞)」といいます。典型的な気鬱の例には、「咽喉頭異常感症(いんこうとういじょうかんしょう)」が挙げられます。咽喉頭異常感症は喉に種が詰まったような異物感を感じる疾患で、耳鼻咽喉科や消化器内科の検査では異常所見がみられないことが多く、西洋医学的な治療方法も確立されていません。漢方医学ではこれを気の滞りによるものと考え、気の巡りを促す漢方薬を処方します。実際に咽喉頭異常感症は漢方治療により改善がみられる例が多いという特徴があります。
このほか、便ではなくガス溜まりによりお腹が張っている方や、ストレスが原因で頭に重石をのせたような鈍い頭痛を抱える方も気鬱に該当します。
気は、本来体内を上から下へと循環しているもので、これが下から上へと逆行している状態を「気逆」といいます。更年期に多いホットフラッシュや、パニック状態も気の逆行と考えます。このような方は、頭部には熱を感じており、足先は冷たく冷えているという特徴があります。
また、「ストレス社会」ともいわれる現代日本で増えている自律神経の乱れも、気逆に対する治療でよくなることがあります。特に、緊張や興奮したときに優位になる交感神経優位の状態が一日中続いてしまい、夜間眠っているつもりが、悪い夢を見て何度も目覚める方は気逆の病態に属すると捉えられます。
このように、気とは目にはみえないエネルギーです。気が目にみえる形で体の中を巡行しているものが、次の記事「PMS(月経前症候群)やむくみを漢方ではどう分類する?-気血水について②」で解説する血(けつ)と水(すい)です。
富山大学附属病院 和漢診療科 診療科長・特命教授
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今月の始めからめまい、喉の異物感
私は不安事や心配事を溜めやすい方です。 今月の始め頃からクラっとするめまい、喉に異物感、たまに頭痛を感じています。 少し前までは下半身がダルいのもありましたが、市販の半夏厚朴湯を3回程服用して消えました。 めまい、喉の異物感、頭痛はウォーキングや入浴、足浴、手浴等、体を温めると症状が和らぎます。何もしていない時や自分が病気にかかってしまったのではないかと不安に思った時に症状が出やすいです。便の色、形はほぼ正常で食欲も普通にあり、軽い運動を毎日しています。これは精神の問題でしょうか。
喉の痛みが3ヶ月続いてます。
3ヶ月前から喉の痛みがあります。 喉仏の下付近が喉仏を動かした時に痛みます。 その付近の固いところ触っても痛みます。 病院では咽頭炎と診断され薬を飲みましたが治りませんでした。 その後、喉の痛みなど色々な不調が重なり抗生物質を飲み続けました。 さらに今痛い場所があり、喉の食道に近いところだと思いますが首の付け根に近い部分です。 飲み込んだ時に痛みますが、何もしなくてもズキズキすることもあります。 痛む時は首の後ろに熱を持ち、首がこるような感じになります。 喉や胸の詰まりのようなものが多少あります。 食べカスが喉から出ることがあります。 こちらも病院では咽頭炎と診断され薬を飲んでました。 3週間経っても治らなかった為、病院を変えてファイバーで見てもらったところ、できものなどはなく問題なしと判断されました。 痰は何故か多いとの事で鼻水を止める薬を出されました。(鼻水はほとんど出てません。) 今痛いのは、2箇所で喉仏の下付近の触っても痛い痛み。 首の付け根付近のズキズキする痛み(クビがこるような感じ)があり喉が詰まったような感じです。 過去に逆流性食道炎を経験しており、今は胃酸が逆流する感覚がないのですが喉がつまったような感じになるので疑っています。 熱は全然ありません。 何か食べれない程の痛みではありません。 なんの病気の可能性がありますか?
喉の異物感
今年の3月くらいからずっと喉の異物感を感じています。最初の頃は痰が絡まり、息がしづらく、他の人からは言われませんが、自分では声が変だと感じていました。 そこで耳鼻科を受診したところ、スギの花粉症だと診断を受け、今まで3回ほど通院しました。 薬のおかげで喉の異物感も多少は良くなり、たんの絡まりはなくなり、息もしやすくなりました。 しかし、薬がなくなると喉の異物感と息のしづらさが戻ってきます。 ネットで検索するとストレスが原因でヒステリー球というものがある、と知りました。今、仕事で精神的につらい状況にあり、やめようと考えています。その仕事を始めた時期も去年の1月から。 症状が出た時期と一致しており、ヒステリー球の可能性もあるのでは、と考えています。 本当に花粉症なのでしょうか。 ヒステリー球かどうかというのはどうやって確かめたらいいですか。 耳鼻科の先生にはストレスの話をしてないので、話をした上でもう一度診断を頼んだらいいのでしょうか。
2、3年続く喉の違和感
2、3年ほど前から痰が絡むような感覚が喉にずっとあります。 一日中咳払いをしている状態で、咳払いをした時に痰が上がってくる感覚はありますが、元々排痰が上手くできないため痰が出たことはありません。 ネットで色々調べてもしかして上咽頭炎ではないかと疑い、Bスポット治療のできる病院を探して行きました。 検査をしてもらいましたが炎症もなく痰も見られず、鼻が若干狭くなっているとだけ言われ、恐らくアレルギー性鼻炎による後鼻漏だろうと診断されました。 1年ほど前にも別の病院で同じことを言われ、薬をもらいましたが結局あまり効果は見られませんでした。 他には乾いた咳、急に喉が痒くなってむせる、鼻が片方常に詰まっている、後鼻漏が見られます。 また症状が出始めた頃からストレスを割と感じるようになった気はします。 何が原因でこうなっているのでしょうか。 ずっと気になって気持ちが悪いです。 よろしくお願いします。
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