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インタビュー

倦怠感や食後の強い眠気を漢方医学では「気」の不足と考える-気血水について①

倦怠感や食後の強い眠気を漢方医学では「気」の不足と考える-気血水について①
貝沼 茂三郎 先生

九州大学大学院医学研究院地域医療教育ユニット 准教授

貝沼 茂三郎 先生

漢方医学の世界では、心身に現れる様々な不調を、「気・血・水」いずれかの不足や滞りによるものと考えます。たとえば、体が酷くだるいと感じる場合や、夕方になると人よりも疲労感が強く出てしまう方は、「気」が不足している状態であると、九州大学大学院医学研究院地域医療教育ユニット准教授(九州大学病院総合診療科漢方専門外来担当)の貝沼茂三郎先生はおっしゃいます。本記事では、「気」という概念と、気の過不足に関わる諸症状についてご説明いただきました。

漢方医学では、陰陽虚実(※詳しくは記事3をご覧ください)と同時に「気・血・水(き・けつ・すい)」を考えることが非常に重要です。現代医学的には神経・免疫・内分泌で生体の恒常性が保たれていると考えられているが、漢方医学的には、「気血水」全てが過不足なく働くことで生体の恒常性は保たれていると考えます。まずは、やや捉えにくい「気」について解説します。

気とは、生命活動の根源となるエネルギーのことを指し、漢方医学においては大変重要な概念とされます。気には、親から受け取った遺伝的なエネルギーと、呼吸活動や食事により後天的に得られるエネルギーの2種類があります。前者のエネルギーには限りがありますが、後者は食事や呼吸で補うことが可能です。

しかしながら、胃腸が弱い方は食事を十分に消化吸収できないため、エネルギーを十分に生み出す力が弱く、漢方医学では「気虚」(ききょ:気の不足)と分類されます。より簡潔にいうと、気虚はエネルギー不足の状態といえます。具体的には、健康な人と同じ活動(仕事など)をしていても、夕方頃には疲れ切ってぐったりしてしまう方や、食後の眠気が非常に強く起こる方が気虚に該当します。食後の眠気は正常なサーカディアンリズムにより引き起こされるものですが、胃腸が弱い場合は食事を消化吸収すべく血流が一か所に集中するため、強い眠気が起こるとされます。このほか、やる気が出ず強い倦怠感を感じる方や、集中力が不足している方も「気虚」に分類されます。

気とは本来、体の中を常に巡っているものです。これが滞っている状態を「気鬱(または気滞)」といいます。典型的な気鬱の例には、「咽喉頭異常感症(いんこうとういじょうかんしょう)」が挙げられます。咽喉頭異常感症は喉に種が詰まったような異物感を感じる疾患で、耳鼻咽喉科や消化器内科の検査では異常所見がみられないことが多く、西洋医学的な治療方法も確立されていません。漢方医学ではこれを気の滞りによるものと考え、気の巡りを促す漢方薬を処方します。実際に咽喉頭異常感症は漢方治療により改善がみられる例が多いという特徴があります。

このほか、便ではなくガス溜まりによりお腹が張っている方や、ストレスが原因で頭に重石をのせたような鈍い頭痛を抱える方も気鬱に該当します。

気は、本来体内を上から下へと循環しているもので、これが下から上へと逆行している状態を「気逆」といいます。更年期に多いホットフラッシュや、パニック状態も気の逆行と考えます。このような方は、頭部には熱を感じており、足先は冷たく冷えているという特徴があります。

また、「ストレス社会」ともいわれる現代日本で増えている自律神経の乱れも、気逆に対する治療でよくなることがあります。特に、緊張や興奮したときに優位になる交感神経優位の状態が一日中続いてしまい、夜間眠っているつもりが、悪い夢を見て何度も目覚める方は気逆の病態に属すると捉えられます。

このように、気とは目にはみえないエネルギーです。気が目にみえる形で体の中を巡行しているものが、次の記事「PMS(月経前症候群)やむくみを漢方ではどう分類する?-気血水について②」で解説する血(けつ)と水(すい)です。

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