ぜんそく

喘息

肺

目次

項目をクリックすると該当箇所へジャンプします。

概要

喘息とは、気管が慢性的に炎症を繰り返すことで粘膜が厚くなり、さらに痰などの分泌物が増加して気道が狭くなって、喘鳴(ぜんめい)や呼吸困難などが生じる病気です。多くは気管支喘息のことを指します。症状は軽症なものから、適切な処置が行われないと命にかかわるような非常に重いものまでさまざまです。発症年齢は幼児期と40~60歳代に2つのピークがあり、どの年齢でも発症することがあります。小児喘息の半数以上は自然に治るといわれていますが、成人での発症は自然に治ることは少ないとされています。

気管支喘息以外の喘息

アスピリン喘息

アスピリン喘息は、アスピリンなどの酸性非ステロイド薬などの服用によって喘息様症状が引き起こされるもので、気管支喘息の中でも注意すべき状態とされています。アスピリン喘息は成人喘息の10%を占めており、治療薬により重度の呼吸困難などの症状が現れる可能性があるため、投薬には注意が必要です。

咳喘息

激しい咳だけが現れる咳喘息は、気管支喘息と同じく気道の狭窄(きょうさく)や気道の過敏性によって起こるものですが、呼吸困難や喘鳴などは伴わず、気管支喘息とは区別されています。しかし、咳喘息患者の3人に1人は気管支喘息に移行すると言われており、適切な治療が必要となります。

そのほかにも、喘息と名のつくものに心臓喘息がありますが、心臓喘息は急性心不全によって呼吸困難が出現した状態のものであり、気管支喘息とは別の病気です。

 

原因

喘息の原因は、大きく分けて以下の4つが挙げられます。

遺伝的要素

アトピー性素因、気道の粘膜がさまざまな刺激に対して敏感に反応しすいことなど、いくつかの遺伝的素因が重なって発症すると考えられています。

アレルギー

ハウスダストやダニなどの特定のアレルゲン吸入によるアレルギー反応の症状として、気管支喘息を発症することがあります。

気道の刺激

刺激性のガスや粉塵など、アレルゲンではない物質を吸入することでも、気道が過剰に刺激され、交感神経が緊張して気道の収縮が起こることがあります。

アスピリンが原因となるアスピリン喘息のほかに、高血圧の治療などに使用されるβ遮断薬、ヨード造影剤、アルコールなどが原因となることもあります。

また、咳喘息は、基本的には気管支喘息と同様の要因で発症しますが、特にかぜやインフルエンザなどにかかり、気道に炎症が起こることで刺激に対して過敏になって発症することが多いとされています。

症状

喘息の主な症状は呼吸困難ですが、発作性に生じるのが特徴です。十分に息を吐きだすことができなくなり、喘鳴が生じ、一回の呼出時間(息をはくのに必要な時間)が長くなります。同時に、気道の分泌物が増えて、粘り気のある痰が出やすくなり、痰の排出を促すためにひどい咳がみられることもあります。

重症例では気道が狭くなり、気道に喀痰がつまるために十分な酸素を取り込むことができず、チアノーゼ(皮膚や粘膜などが、青みがかった紫色になること)や意識障害が起きることもあります。体内に二酸化炭素が溜まることもあります。

咳喘息は、呼吸困難や喘鳴はないものの、空咳が1か月以上続き、温度差やタバコの煙の刺激が加わると激しい発作のような咳がでます。咳発作がひどくなると、のどの痛みや声の枯れだけではなく、嘔吐や失神することもあります。

検査・診断

喘息は、以下のようなさまざまな検査が行われます。

肺機能検査

喘息の診断には欠かせない検査です。息を思いきり吸ったり吐いたりする検査で、肺活量や一秒間に吐き出せる息の量を評価し、一秒率という指標を調べます。喘息では、肺活量と一秒率の低下が見られます。また、気管支を拡げるβ2刺激薬を吸入して再度検査を行い、一秒率が改善するかを評価することもあります。

呼気ガス検査

喘息は気道に慢性的な炎症が生じている状態であり、炎症を起こしている気道からは一酸化窒素が産生されています。呼気ガス検査は、この一酸化窒素に着目した検査であり、吐いた息の中にどれだけ一酸化窒素が含まれるかを調べ、気道の炎症の程度を評価する目的で行われます。

血液検査

気道の炎症やアレルギー反応の程度を評価することができます。喘息では、気道が炎症を起こしているので、白血球が増えます。また、アレルギーが原因の喘息では白血球の中の好酸球が増加し、アレルギー反応が起きているかを判断することができます。咳や喘鳴を起こす百日咳やマイコプラズマ肺炎を除外するために、抗体検査が行われることもあります。

喀痰(かくたん)検査

痰を顕微鏡で調べる検査です。喘息では、痰に含まれる好酸球が増加しており、Crushmannらせん体やCharcot-Leyden結晶のような喘息に特異的な物質が観察されます。喀痰検査は結核などの除外を行ううえでも重要な検査です。

画像検査

主にレントゲン検査が行われます。呼吸困難や咳の原因となるような、器質的な肺疾患や心疾患がないかを調べる目的で行われます。

アレルゲン検査

アレルゲンの吸入による喘息では、原因となるアレルゲンの特定が必要になります。アレルゲン検査にはさまざまな方法がありますが、主に行われるのは血液でIgE RASTを調べる検査です。アレルゲンを直接皮膚に貼付して反応を見るパッチテストが皮膚科で行われることもあります。

治療

喘息の治療でもっとも重要な目的は、気道の慢性炎症をコントロールして、いかに発作が起きないようにするかです。発作を繰り返すと、気道の粘膜が徐々に厚くなり、狭くなった気道が元に戻らなくなり、治療が難しくなります。喘息は吸入薬や飲み薬、点滴とさまざまなタイプの薬が使われますが、発作が起きないようにコントロールする薬をコントローラー、発作が起きたときに緊急的に使用する薬をレリーバーと呼びます。それぞれ、重症度によって使用する薬は異なります。

コントローラー

主に吸入薬が使用されます。吸入薬には気道の炎症を抑えるステロイドと気道を広げるβ2刺激薬があります。軽症例ではステロイドのみの吸入薬が使用されることもありますが、一般的にはステロイドとβ2刺激薬を合わせた薬が使用されます。また、一秒率が60%以下のような重症例では、吸入薬の他にテオフィリンや抗ロイコトリエン薬、ステロイドや長時間作用型β2刺激薬の経口投与が行われます。

レリーバー

軽度~中等度の発作には、β2刺激薬吸入やステロイドの内服・点滴が行われます。症状が改善しない場合には、アミノフィリンの注射やエピネフリン皮下注射などが追加されます。また、血中酸素濃度が低い場合には酸素吸入も同時に行われます。このような治療を続けても発作が消失しない場合や、チアノーゼや意識消失が見られる非常に重い発作では、気管挿管して人工呼吸器管理が行われます。

「喘息」に関連する他の記事
もっと見る