ぜんそく

喘息

(気管支喘息)

最終更新日
2021年04月06日
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2021/04/06
更新しました
2017/04/25
掲載しました。

概要

気管支喘息(喘息)とは、空気の通り道である気管支(気道)が慢性的に炎症を繰り返すことで気管支が狭くなり、呼吸時にヒューヒュー、ゼーゼーといった音が聞こえる喘鳴(ぜんめい)や呼吸困難などの発作が生じる病気です。

発症年齢は幼児期と40~60歳代に2つのピークがあり、子どもから大人まで幅広い年齢層の方に発症します。小児喘息の多くは思春期の頃には症状がよくなっていきますが、そのうちの約30%は成人喘息に移行するといわれています。また、大人になってから初めて症状が現れる成人喘息は40~60歳代に多く、成人喘息の発症年齢の半数以上を占めています。

症状は、軽症なものから適切な処置が行われないと命に関わるような非常に重いものまでさまざまです。治療方法は発作の頻度や強さによって異なります。発作の頻度が少なく症状も軽い咳といった程度であれば、適切に気管支拡張薬を使用します。発作の頻度が多く、夜間の睡眠中にもしばしば発作が生じるようであれば、ステロイドなどの治療薬を使用することもあります。

原因

喘息の原因には以下のようなものが挙げられます。

遺伝的要素

アトピー性素因、気道の粘膜がさまざまな刺激に対して敏感に反応しやすいことなど、いくつかの遺伝的素因が重なって発症すると考えられています。

アレルギー

ハウスダストやダニなどの特定のアレルゲン吸入によるアレルギー反応の症状として、気管支喘息を発症することがあります。

気道の刺激

刺激性のガスや粉塵(ふんじん)など、アレルゲンではない物質を吸入することでも気道が過剰に刺激され、交感神経が緊張して気道の収縮が起こることがあります。

アスピリンが原因となるアスピリン喘息のほかに、高血圧の治療などに使用されるβ遮断薬、ヨード造影剤、アルコールなどが原因となることもあります。

症状

気管支喘息の症状としては、呼吸困難を伴う咳が挙げられます。特に、就寝後に咳や息苦しさで目が覚める、あるいは朝方に咳が出て目が覚めることが多いのも気管支喘息の特徴です。そのほか、運動した直後や笑った後などに咳が誘発されることもあります。喘息の程度が強くなると、安静時であっても咳が出たり、呼吸をするとゼーゼーと雑音を発する喘鳴を生じたりします。

重症例では気道が狭くなり、気道に喀痰(かくたん)が詰まるため十分な酸素を取り込むことができず、チアノーゼ(皮膚や粘膜などが青みがかった紫色になること)や意識障害が起きることもあります。体内に二酸化炭素がたまることもあります。

咳喘息と呼ばれる、咳のみが主症状である喘息が近年多くみられます 。咳は出るものの呼吸機能は正常で、呼吸困難も喘鳴もなく軽い喘息といえます。しかし、咳喘息の方が気管支喘息になってしまう場合がありますし、その逆が起こることもあります。

検査・診断

喘息は、症状の経過や家族の病歴、生活環境などの聴取を行う問診のほかに以下のようなさまざまな検査が行われます。

肺機能検査

喘息の診断には欠かせない検査です。息を思いきり吸ったり吐いたりする検査で、肺活量や1秒間に吐き出せる息の量を評価し、1秒率という指標を調べます。喘息では肺活量と1秒率の低下が見られます。

呼気ガス検査

喘息は気道に慢性的な炎症が生じている状態であり、炎症を起こしている気道からは一酸化窒素が産生されています。呼気ガス検査は、この一酸化窒素に着目した検査であり、吐いた息の中にどれだけ一酸化窒素が含まれるかを調べ、気道の炎症の程度を評価する目的で行われます。

血液検査

気道の炎症やアレルギー反応の程度を評価することができます。喘息では、気道が炎症を起こし白血球が増加します。また、アレルギーが原因の喘息では白血球の中の好酸球やIgE抗体も増加します。これらの値を検査することでアレルギーのなりやすさや原因となるアレルゲンを調べるこことができます。

喀痰検査

痰を顕微鏡で調べる検査です。喘息では、痰に含まれる好酸球が増加しており、喘息に特異的な物質が観察されます。喀痰検査は結核などの除外を行ううえでも重要な検査です。

画像検査

主にレントゲン検査が行われます。呼吸困難や咳の原因となるような、器質的な肺疾患や心疾患がないかを調べる目的で行われます。

治療

喘息の治療では、気道の慢性炎症を抑えて、いかに発作が起きないような状態にコントロールできるかが重要です。発作を繰り返すと、気道の粘膜が徐々に厚くなり、狭くなった気道が元に戻らなくなるため治療が難しくなります。

喘息の治療薬は吸入薬や飲み薬、点滴とさまざまなタイプの薬が使われますが、発作が起きないようにコントロールする薬をコントローラー(長期管理薬)、発作が起きたときに緊急的に使用するリリーバー(発作治療薬)の2種類に分けられます。それぞれ、重症度によって使用する薬は異なります。

コントローラー(長期管理薬)

長期管理薬とは、喘息による気道過敏性を抑え、咳や呼吸困難の発作が生じないように気管支の状態を保つことを目的とした薬です。

主に気道の炎症を抑えるステロイドの吸入薬が使用されます。また、吸入薬のほかに状態に応じて抗ロイコトリエン薬や気道を広げるテオフィリン製剤、長時間作用型β2刺激薬(LABA)などを組み合わせた治療が行われます。

リリーバー(発作治療薬)

発作治療薬は、実際に発作が生じているときに使用し発作の症状を改善させる薬です。

喘息の発作が起こったときは、即効性のある短時間作用型β2刺激薬(SABA)を吸入し、狭くなった気管支を広げて発作の症状をおさえる治療を行います。症状が悪化する場合は再度SABAの吸入を行います。それでも症状が改善しない、苦しくて横になれないといった状態が続く場合には救急外来の受診が必要です。

強い発作が続く場合には、テオフィリンの点滴やステロイドの全身投与、アドレナリン皮下注射などが追加されます。また、血中酸素濃度が低い場合には酸素吸入も同時に行われます。このような治療を続けても発作が消失しない場合や、チアノーゼや意識消失が見られる非常に重い発作では人工呼吸器による治療が行われることもあります。

予防

発作の予防

チリ、ダニ、動物のフケ、カビなど発作を引き起こす原因物質が分かっている場合には、それらを避ける対策を行うことが有効です。具体的には部屋の掃除や枕や布団などの寝具の洗濯などが挙げられます。また、布張りの家具、ぬいぐるみ、カーペット、カーテンを少なくとも寝室からは除去し、ペットの飼育は避けるのが理想です。

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