治療
喘息の治療では、気道の慢性炎症を抑えて、いかに発作が起きないような状態にコントロールできるかが重要です。発作を繰り返すと、気道の粘膜が徐々に厚くなり、狭くなった気道が元に戻らなくなるため治療が難しくなります。
喘息の治療薬は吸入薬や飲み薬、点滴とさまざまなタイプの薬が使われますが、発作が起きないようにコントロールする薬をコントローラー(長期管理薬)、発作が起きたときに緊急的に使用するリリーバー(発作治療薬)の2種類に分けられます。それぞれ、重症度によって使用する薬は異なります。
コントローラー(長期管理薬)
長期管理薬とは、喘息による気道過敏性を抑え、咳や呼吸困難の発作が生じないように気管支の状態を保つことを目的とした薬です。
主に気道の炎症を抑えるステロイドの吸入薬が使用されます。また、吸入薬のほかに状態に応じて抗ロイコトリエン薬や気道を広げるテオフィリン製剤、長時間作用型β2刺激薬(LABA)などを組み合わせた治療が行われます。
リリーバー(発作治療薬)
発作治療薬は、実際に発作が生じているときに使用し発作の症状を改善させる薬です。
喘息の発作が起こったときは、即効性のある短時間作用型β2刺激薬(SABA)を吸入し、狭くなった気管支を広げて発作の症状をおさえる治療を行います。症状が悪化する場合は再度SABAの吸入を行います。それでも症状が改善しない、苦しくて横になれないといった状態が続く場合には救急外来の受診が必要です。
強い発作が続く場合には、テオフィリンの点滴やステロイドの全身投与、アドレナリン皮下注射などが追加されます。また、血中酸素濃度が低い場合には酸素吸入も同時に行われます。このような治療を続けても発作が消失しない場合や、チアノーゼや意識消失が見られる非常に重い発作では人工呼吸器による治療が行われることもあります。
医師の方へ
Medical Note Expertでしか読めない、学会や医局の最新医療知見を得ることができます。
若手が「発表」で競い合う「ことはじめ甲子園」など新企画も盛りだくさん―第64回日本呼吸器学会学術講演会、4月5日から横浜市で開催
「ポストコロナ時代の呼吸器病学~みなと横浜から世界へ、そして未来へ~」をメインテーマに、第64回日本呼吸器学会学術講演会が2024年4月5~7日、横浜市のパシフィコ横浜ノースで開催される。COVID-19のパンデミックから日常を取り戻しつつあるなかで開催される学術講演会は、5年ぶりにライブ配信なしで
【第71回日本アレルギー学会レポート】PGAM2022改訂のポイント――診断と治療、ステップダウンまで(4000字)
喘息診療実践ガイドライン(PGAM)は、適切な喘息治療の推進や非喘息専門医の診療に役立つことを目標として、2021年に日本喘息学会が作成、2022年に改訂された。相良 博典氏(昭和大学医学部 内科学講座 呼吸器・アレルギー内科学部門 主任教授/昭和大学病院 病院長)は、第71回日本アレルギー学会学術
「喘息」を登録すると、新着の情報をお知らせします