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気管支喘息の原因や特徴的な症状とは?

気管支喘息の原因や特徴的な症状とは?
杉山 温人 先生

国立国際医療研究センター病院 院長

杉山 温人 先生

目次
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気管支喘息は、子どもに多い病気ですが、大人になってから初めて発症するケースも多く、特に40〜60歳代での発症が多いといわれています。多くの方に起こりうる病気ですが、どのようなことが原因で発症するのでしょう。また、どのような症状がみられるのでしょうか。今回は、国立国際医療研究センター病院の院長である杉山温人先生に、気管支喘息の原因や症状についてお話しいただきました。

気管支喘息とは、気管支(気道)の粘膜に慢性的な炎症が起こる病気です。気管支喘息では、外部からの刺激に対して気管支が過敏になったり、気管支の内側が狭くなったりすることで、呼吸症状が繰り返し起こるようになります。

気管支喘息の主な原因は、ダニ、カビ(真菌)といった、家のほこりの主成分になっているものです。これらを吸入することで、体が異常な免疫反応を起こし、気管支が過敏に反応してしまうのが、気管支喘息のメカニズムです。また、イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、ウサギなどのペットの毛に付着するフケ(たんぱく質)も気管支喘息の原因となります。

そのほか、桃やきのこなどの特定の花粉、ホヤの体成分、塗装工場で使われるイソシアネートを吸入することで、気管支喘息が生じることもあります。アメリカでは、住環境の悪い地域でゴキブリが原因となり、気管支喘息を発症するケースも報告されています。

また、特殊な喘息であるアスピリン喘息*では、非ステロイド性抗炎症薬、食品の着色剤、コハク酸エステル化合物の添加物などが原因となります。

*アスピリン喘息……一部の解熱鎮痛剤を内服することで、喘息発作を主体とする症状が現れる病気

気管支喘息の直接的な原因ではないものの、症状を悪化させる原因として、風邪や過労、喫煙、ストレスが挙げられます。

そのほか、線香の煙やパーマをかける際に使う薬剤に含まれている揮発性の有機溶媒が、もともとある喘息を刺激することがあります。また、温泉の二酸化硫黄や、PM2.5などの環境汚染物質も喘息を悪化させる恐れがあるので、地域によっては注意が必要でしょう。

もともと、アトピー性皮膚炎食物アレルギーを持っている方の場合、気管支喘息を発症しやすいといわれています。

気管支喘息で起こる気管支の炎症は、原因物質を吸入した際に、好酸球やIgE抗体といった物質が体内で産生されることによって起こります。アトピー性皮膚炎の方は、この好酸球やIgE抗体を作りやすい体質のため、気管支喘息を発症しやすいといえます。

ただし、アレルギー体質だからといって、必ずしも気管支喘息になるわけではありません。

また、花粉症が直接的に気管支喘息を引き起こすとなることもありません。喘息が起きやすい気管支直径は2~5μmであり、花粉の粒子は5μm以上あるので気管支まで入ることはできないためです。

咳をしている女性

代表的な症状は、咳や(たん)、呼吸困難です。特に、就寝中や明け方に咳や息苦しさで目が覚めることが気管支喘息の特徴です。痰は、無色で粘り気が強いことが多いです。

また呼吸時に「ヒューヒュー」、「ゼーゼー」という喘鳴(ぜんめい)が聞かれることがあります。ただし、喘鳴は心臓の病気でも聞こえることがあるため、それだけで気管支喘息と判断することはできません。

気管支喘息と似たような症状がみられる病気に、咳喘息があります。咳喘息は、咳は出るものの呼吸機能は正常であり、喘鳴や呼吸困難を伴いません。気管支喘息とは別の病気ですが、咳喘息を発症したあとに、気管支喘息へ移行することがあります。

胃食道逆流症GERD:ガード)とは、胃酸を多く含む内容物が食道内に逆流する病気です。胃酸の逆流が刺激となり、慢性的に咳がでることがあるため、気管支喘息と見分けづらい場合があります。

ウイルスや細菌などの感染症にかかり、感染症が治癒したあとも咳が長引く「感染後咳嗽(がいそう)」も、気管支喘息と似たような症状であるため、診断の際には鑑別が必要です。

百日咳とは、主に百日咳菌やパラ百日咳菌により引き起こされる、激しい咳を特徴とした感染症です。乳幼児期に百日咳の予防接種を行うため、発症することは多くはありませんが、気管支喘息としっかり鑑別すべき感染症です。

気管支喘息は、吸入薬や飲み薬などでコントロールできていれば、基本的に症状が出ることはありません。そのため、就寝中や明け方に咳が出るなどの症状がみられる場合には、コントロールが不十分といえます。

また、十分なコントロールができていれば、運動により発作が起きることは基本的にありませんが、気管支喘息のなかには「運動誘発性喘息」というタイプの喘息もあります。これは、運動時に過度に呼吸を繰り返し、気管支粘膜の浸透圧が変化することで喘息発作が起きるものです。運動誘発性喘息の場合には、過度な運動を行わないなどの対策も必要でしょう。

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