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成人喘息(大人の喘息)の特徴

成人喘息(大人の喘息)の特徴
三島 渉 先生

横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック 理事長

三島 渉 先生

目次
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この記事の最終更新は2018年09月27日です。

喘息は子どもの病気だと考える方もいるかもしれません。しかし実際は、40〜60代を中心に大人の喘息患者さんもいます。大人の喘息のことを成人喘息といいます。

成人喘息には大人になって初めて発症する場合と、子どもの頃治ったと思っていた喘息が再発してしまう場合とがあります。また、成人喘息は小児喘息と比較して重症度が高い場合が多く、生涯に渡って治療となるケースがほとんどです。

今回は成人喘息の特徴や、小児喘息との違い、検査方法などについて横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック院長の三島渉先生にご説明頂きました。

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咳

喘息には大きく分けて2つの種類があります。

<喘息の種類>

  • アトピー性喘息
  • 非アトピー性喘息

以下ではそれぞれの喘息について詳しくご紹介します。

ダニ・ホコリ・花粉などのアレルゲン(抗原)が関係している喘息をアトピー性喘息といいます。

アレルゲン(抗原)が原因ではない喘息を非アトピー性喘息といいます。非アトピー性喘息は原因を特定することが難しい喘息です。排気ガスの吸入や喫煙などが関係しているのではないかといわれています。

大人マスク

成人喘息(大人の喘息)は、アトピー性喘息と非アトピー性喘息の比率が7:3程度といわれています。一方で小児喘息では、70~90%がアレルギーからくるアトピー性喘息といわれています。このように、大人になると非アトピー性喘息の割合が増加するのは、大人の方が非アトピー性喘息と関係の強い排気ガスやたばこの煙にさらされる時間が長くなると考えられているからです。

「喘息は子どもの病気だ」と思っている方もいるかもしれません。しかし、大人になっても喘息にかかってしまう方はいます。

大人になってから初めて喘息にかかる方は、成人喘息患者さんの70〜80%といわれています。つまり、子どもの頃に喘息にかかったことがない大人が喘息にかかる可能性も十分にあるといえます。

また、子どもの頃の喘息が大人になって再発してしまうケースもあります。記事1『喘息の症状とは?-風邪の後、治まらない咳にも注意』でも述べましたように、子どもの頃喘息の症状があったにもかかわらず、大人になるにつれ発作が出なくなり「喘息が治った!」と思っている方はしばしばいらっしゃいます。しかし、喘息患者さんの気道は発作がないときでも炎症を起こしている可能性があり、発作が出ないからといって完治しているかどうかはわかりません。また、1度は発作が出なくなり「治った!」と感じても、大人になってから再度発作が起き、喘息が再発してしまう人もいます。実際、厚生労働省による2004〜2006年度の調査によれば、子どもの頃喘息にかかっていた患者さんで1度は発作が起きなくなった方でも、そのうち30%弱は大人になってから再発していることがわかっています。

60歳前後の女性

以下の図は2014年度厚生労働省による年齢別・性別の患者調査の結果です。成人喘息(大人の喘息)にかかりやすい年齢は40歳代〜60歳代以降です。また、小児喘息は男性の患者さんが多い一方で、成人喘息(大人の喘息)は女性の患者さんのほうが多いという特徴があります。

また、この図からもわかるように、喘息にもっともかかりにくいのは20〜30代といわれています。

喘息

成人喘息(大人の喘息)は重症であることが多いといわれています。これは発症してからの期間が長く、病気が進行してしまっていたり、悪化の原因となる要素をなかなか取り除けなかったりするためです。

また、治療を開始しても小児喘息と比較して症状が改善されにくいという特徴があります。

小児喘息は重症である場合を除いて、治療を継続していれば自然寛解*を見込めることがあります。これは成長していくに連れて免疫力が高まり、自然に発作が出なくなることがあるからです。しかし前述の通り、発作がなくなっても喘息が完治したわけではないので、自然寛解後、大人になってから再発する恐れもあります。

一方で成人喘息(大人の喘息)は基本的には自然寛解が難しく、継続的な通院・治療が必要です。

寛解……病気の症状が、一時的あるいは継続的に軽減した状態

救急車

成人喘息(大人の喘息)の症状が現れたら、まずは呼吸器内科を受診することが大切です。記事1『喘息の症状とは?-風邪の後、治まらない咳にも注意』でもお話しましたように、喘息には発作時・非発作時と大きく分けて2つの症状があります。発作時は咳き込みや息苦しさから、動けないほど辛い思いをすることもあります。状況によっては救急車を呼ぶことも視野に入れて検討するとよいでしょう。

また、長引く咳の症状が喘息の非発作時の症状であることも考えられます。風邪やインフルエンザにかかったあと、熱が下がっても咳だけが残り、なかなか治らないといったことが数回に渡って続く場合、1度呼吸器内科を受診することをおすすめします。

問診

喘息の診断や重症度を判断するには、まず症状を把握するための問診が大切です。医師は問診によって、患者さんが抱えている症状を詳しく聞きます。

喘息の診断には下記のようなさまざまな検査方法が用いられます。

<主な喘息の検査方法>

  • 呼吸機能検査(スパイロメトリー)
  • 気道過敏性試験
  • 血液検査
  • 皮膚反応テスト
  • 胸部レントゲン検査
  • 呼気NO検査 など

次項で、2018年2月現在当院の診断で用いられる呼気NO検査について説明します。

従来、喘息の確定診断にはスパイロメトリー、気道過敏性試験などが用いられてきました。しかし、スパイロメトリーは咳喘息の患者さんではほとんどの場合に異常が検出できないこと、気道過敏性試験は限られた医療機関でしか行えない検査であることから、咳喘息の診断は多くの場合、診察した医師が症状から推測して行うしかありませんでした。

そのため、診断の見落としや逆に咳喘息ではないのに咳喘息と診断されてしまうことがたびたび生じており、日常診療においては簡便でかつ診断能力の高い検査方法の開発が望まれていました。

呼気NO検査(こきえぬおーけんさ)は、呼気(呼吸時の吐いた息)に含まれる一酸化窒素(NO)を測定する検査です。喘息によって気道が炎症をおこすと一酸化窒素が多く産生されます。そのため、この検査で多くの一酸化窒素が検出された場合、喘息の疑いが強いと考えられます。

しかし注意すべき点は、この検査の数値が低いからといって喘息を否定できるわけではないということです。検査の数値だけでなく、問診やそのほかの検査から総合的に病気を考えることが大切です。

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