インタビュー

気管支喘息は治るのか―喘息の治療方法と、発作を抑える吸入薬・飲み薬など処方薬まとめ

気管支喘息は治るのか―喘息の治療方法と、発作を抑える吸入薬・飲み薬など処方薬まとめ
杉山 温人 先生

中部国際医療センター 病院長

杉山 温人 先生

この記事の最終更新は2015年04月06日です。

「気管支喘息は治る」と思っている方はいらっしゃるでしょうか。残念なことではありますが、実は気管支喘息は治りません。では、どのような治療をして、どのように病気と関わっていけばいいのでしょうか。今回は気管支喘息の治療方法と、発作を抑える処方薬についてまとめました。

繰り返しにはなりますが、気管支喘息は治りません。喘息は高血圧や高脂血症などと同じく体質です。しかし、治療によってコントロールすることはできるため、そのような意味では生活習慣病と同じように考えることができるでしょうか。

気をつけなければならないのが、薬を飲んで全く症状が出なくなってしまうと、喘息が治ったかのように錯覚してしまうことです。しかし薬を止めてしまうと、また元に戻ってしまいます。完治させる薬はないということは、忘れずに覚えておきましょう。

基本的に、気管支喘息の治療は吸入薬と飲み薬です。気管支の病気なので、気管支だけに薬が到達する吸入薬がベストで、飲み薬はその次です。可能であれば吸入ステロイドだけ、コントロールが不十分な場合には吸入ステロイドと長時間作用型β2刺激薬の入った合剤を使います。より少ない薬剤、より少ない量で維持することが一番の目標です。

また、喘息の治療は市販薬では不可能なので、市販薬は使わないほうがいいでしょう。抗生剤は基本的には必要ありません。

以下、喘息の治療薬をまとめます。

  • ロイコトリエン拮抗薬:飲み薬。非常に軽症な場合のみに使います。副作用はほとんどありません。
  • テオフィリン:飲み薬、注射薬。内服用の錠剤は使いづらく、最近は少量にして投与します。点滴は発作時に使います。副作用として頭痛、吐き気があります。
  • 長時間作用型β2刺激薬:吸入薬。基本的には吸入ステロイドと併用し、単剤で使うことはしません。張り薬もありますが、高齢者の方など吸入薬がうまく使えない方に使うことが多いです。
  • 短時間作用型β2刺激薬:吸入薬。あくまで発作時に使用するので、使いすぎる場合は基礎の治療を考え直します。副作用として、動悸は減ってきているものの、手の震えはまだ出ます。飲み薬もありますが、ほとんど使用しません。
  • 経口ステロイド:飲み薬。よく使います。hit and awayの戦法で、1週間以内の使用で効いたらすぐに中止します。副作用として、不眠が起こります。
  • 分子標的薬:注射薬。アレルギー反応を示すIgE値が高く、アレルギー性の要因がある重症の方に注射します。
  • 抗コリン剤:吸入薬。肺気腫COPDの合併があるような方、通常の治療が難しい方に、吸入ステロイドに追加して使うことがあります。
  • 抗アレルギー薬:通年性の花粉症があるような場合、それを抑えるために使ったりしますが、喘息の治療薬として使うことはほとんどありません。副作用の眠気はかなり抑えられています。

記事1:気管支喘息の原因とは?ストレスにホコリやペットの毛も原因に
記事2:気管支喘息の吸入ステロイドは安全?ピークフローメータ ーと喘息日誌による自己管理の方法と妊娠への影響
記事3:気管支喘息の症状。呼吸困難や咳が就寝後や朝方に出る
記事4:気管支喘息の発作が起きないように日常生活で注意すべき5つのこと
記事5:気管支喘息は治るのか―喘息の治療方法と、発作を抑える吸入薬・飲み薬など処方薬まとめ
記事6:気管支喘息は何科に行けばいい?検査項目と診断のポイント・救急車を呼ぶタイミング・合併症について

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