喘息(ぜんそく)という病気を聞いたことがある方は多くても、具体的にどのような病気か知っている方は少ないのではないでしょうか。喘息は「体の弱い人がなるもの」「子どもがなるもので、大人には関係ない」と思っている方も多いかもしれませんが、喘息は主としてアレルギー反応によって起こる病気であり、年齢に関わらず発症します。喘息の中でも患者数の多い「気管支喘息」とはどのような病気なのでしょうか。国際医療福祉大学臨床医学研究センター教授/山王病院アレルギー内科の足立満先生にお話をお聞きしました。
気管支喘息は、気管支(気道)の粘膜に慢性的な炎症が起きる病気です。気管支の内側が狭くなり、外部からの様々な刺激に対して気管支が過敏になってしまった結果(気道過敏性の亢進)、咳や痰・呼吸困難・喘鳴(ぜんめい:ヒューヒューゼイゼイとした呼吸音が鳴ること)などの症状が起こり、それを慢性的に繰り返します。
典型的な喘息の症状は夜間~早朝にかけて突然起こる呼吸困難です。そして吸入ステロイドに非常によく反応します。その他には前述のとおり、咳や喘鳴などの症状が特徴です。また、急に動けなくなるほど胸の痛みが生じたり、息切れ・背中の張り・空咳なども気管支喘息の症状として見られます。
喘息にはアトピー型と非アトピー型があります。
アトピー型は、ダニやカビ、ペットの毛やフケなどのアレルゲンを空気と一緒に吸い込むことが原因となり、気道粘膜に炎症を起こすタイプです。成人患者の約60%および子どもの患者の約90%はこちらのアトピー型といわれています。
一方、非アトピー型はウイルス感染などが主な誘因で起こります。こちらはアトピー型と違い、アレルゲンを特定することができません。しかし気道で起こっている炎症はアトピー型と基本的に同じです。
前述のとおり、アレルゲンとは具体的ダニ・ハウスダスト・ペット・花粉・食物などで、これらは通常無害なものです。しかし体が誤って有害な物質と判断してしまうことから体が獲得性免疫を介してIgEという抗体を作り出し、再びその原因アレルゲンが気道に入ってくると様々なメカニズムにより喘息の症状を呼び起こします。
たくさんIgEがつくられた体の中ではマスト細胞(肥満細胞)や好塩基球(白血球の一種)が中心となって働き、アレルギー反応を起こす準備ができます。一度アレルギー性炎症により気道が過敏になると、かぜ(ウイルス感染)、運動・たばこ・過労やストレス・大気汚染・天候や気温の変化などのささいなことも喘息の誘因になると考えられています。これら喘息の誘因は非アトピー型の喘息でも全く同じです。
この世界には数え切れないほど多くのアレルゲンがあります。気管支喘息は、気道の粘膜を中心にアレルギー性炎症が起こることによって症状が現れます。
気道の粘膜には好酸球やリンパ球・マスト細胞・好塩基球・好中球という白血球の一種を中心とした細胞が集まっています。これらは炎症細胞とも呼ばれ、この炎症細胞がアレルギー反応を引き起こし、喘息発作を発生させます。
たとえば0.3ミリほどのダニ(ヒョウヒダニ)の死がい(数ミクロン)などをアレルゲンとして認識した結果、免疫系が情報をリンパ球(B細胞)に伝えて、ダニに対する特異的IgE抗体をつくります。これによってアレルギー反応が起き、喘息が現れるというわけです。
喘息の方の気管支では前述の細胞等が誘因となり、発作が起きていないときでも気道粘膜のむくみや上皮細胞のはがれやすさや気道過敏性が続いているため、些細な刺激でも筋肉が収縮し、気道粘膜もより一層のむくみを生じます。過分泌も起こります。このためさらに気道が狭くなり、ほんのわずかな刺激でも気管支を取り囲む筋肉が収縮して、空気の通り道が狭くなる状態が続いてしまいます(気道狭窄と言います)。
気管支炎や風邪など別の病気が原因で起こる気道の炎症は一過性のものであり、病気が治れば気道の炎症も治まります。しかし、喘息の方は気道粘膜の炎症状態がずっと続いてしまっています。
その他、「アスピリン喘息」というタイプの喘息もあります。これはアスピリン(アセチルサリチル酸)を含む痛み止め(生理痛薬や頭痛薬など)の市販薬などを飲むことによっておこる喘息発作です。アスピリン喘息は女性に多いのが特徴で、生理痛などで痛みどめを使う回数が多いからではないかともいわれています。
アスピリン喘息の特徴は、中年以降の女性に発症しやすく、鼻づまりなど嗅覚の異常を伴うことが知られています。成人喘息の約1割がアスピリン喘息であると考えられており、重症化しやすいため、自己判断で市販薬を服用するのは控えておきましょう。アスピリンだけではなくインドメタシンナトリウム水和物やロキソプロフェンナトリウム水和物など他の痛み止めでも発作を起こす可能性が高いので注意が必要です。また飲み薬だけではなく同じ成分の入った湿布薬を体に貼っても起こる場合があります。
喘息の重症度は、患者さんの症状から判定します。ある期間に喘息症状がどの程度、どのくらいの頻度で起こったかを指標にして、一週間に起こる喘息症状や発作の回数、発作の強度、夜間の症状、睡眠や生活に対する影響などを目安に、それに応じた治療法(治療ステップといいます)を選択していきます。(喘息予防・管理ガイドライン2015より)
国際医療福祉大学 臨床研究センター教授、山王病院 アレルギー内科、公益財団法人日本アレルギー協会 理事長
国際医療福祉大学 臨床研究センター教授、山王病院 アレルギー内科、公益財団法人日本アレルギー協会 理事長
昭和大学医学部卒。昭和大学医学部第一内科学助教授、ロンドン大学Royal post graduate medical school臨床薬理学教室研究員、昭和大学第一内科主任教授を経て、国際医療福祉大学臨床医学研究センター教授/山王病院アレルギー内科。自身が喘息であったという経験を活かし、気管支喘息をはじめとした呼吸器疾患に悩む数多くの患者を治療してきている。1993年のはじめの我が国の喘息管理予防ガイドラインから現在まで喘息管理予防ガイドライン作成委員として参加し「喘息管理・予防ガイドライン2018」(JGL2018)作成委員会においても顧問を務めている。
足立 満 先生の所属医療機関
関連の医療相談が29件あります
アレルギー症状で悩んでいます
よろしくお願いします。2年ほど前から近くの内科で喘息の治療を受けています。吸入と飲み薬を服用しています。最初の頃は喘息の意識はありませんでしたが、最近は時々、息苦しくなり鼓動がして、下半身がしびれたようになり、首廻りが熱を持ったように暑く感じて、どうにも気分が悪くなります。病院の先生に相談すると、吸入をすれば楽になります、といわれて毎回吸入をしています。確かに効果はあります。はじめの頃は30分ぐらいで落ち着いていましたが、最近は2時間から3時間続くようになりました。その時間の中で何度か症状に波があります。不安な気持ちで過ごしています。よろしくおねがいします。
息苦しさと 胸の不快感
三ヶ月ほど前から 息苦しさや 胸の不快感そして 脈が速く打つような動悸があります。心臓 胸部レントゲンなど診察してもらいましたが特に異常がありません。 喘息と診断され 飲み薬と 吸入薬を使用していますが あまり効果がありません。 ここ最近では 毎日のように息苦しさがあります。どうしたらいいかわかりません。 どうした方がいいか アドバイスをください。
薬を飲んでも変わらない息苦しさ
先日喘息かもと思い呼吸器内科を受診。 吸入器と飲み薬を貰いました。 それから3日目になるんですが、 心拍数が上がる感じと、息苦しさが有り。 薬の影響かもしれないと思い、 普段通りスーパーへ行き、帰宅後 息が苦しくなり、肩で呼吸するような感じに。 帰宅後約1時間程経過しましたが、先程よりは良くなったものの、若干の息苦しさと肩の呼吸は治らず。 熱はなく、強く息を吐くとゼーゼー(ヒーヒー?)音が鳴る。 因みに昨日も同じように動いたが 昨日はさほど苦しくは感じなかった。 呼吸器内科へ受診した際にはレントゲンも写したが、特に異常はないとのこと。 しかし今は気だるさも感じる。
喘息について
鼻鼻腔の手術して その後 咳が 止まらないので 呼吸器科に 診察したら 喘息と言われました しばらくは 通院していましたが 最近は 行っていません 診察に 行った方がいいのは わかっていますが 気道が せまいみたいです キュと閉めたら 死亡するみたいで わかっては いるのですが 診察時は 吸入薬と 飲み薬 していました 今は なにもしていないです 祖母が 喘息でした 吸入薬も あまり よくないと 聞いていますし 気道が 狭きで 硬いようです やはり 気道の 検査に 行くべきですよね 呼吸器科の 先生には 行っていないから 悪いと 思っています 風邪ひきますと 喘息みたいな咳が 出ます ここ 3年くらい 診察に 行っていないです
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