吸入ステロイドは気管支喘息を治療する際の基本となる薬ですが、ステロイドという言葉に抵抗がある方も多いかもしれません。また、妊娠への影響を気になさる方もいらっしゃるでしょう。そこで今回は、吸入ステロイドを適切に使用するためのピークフローメーターと喘息日誌による自己管理の方法と、妊娠への影響について説明します。
吸入ステロイドの問題点はドロップアウト率が高いということです。これは、気管支喘息が良くなると症状がなくなり、病識もなくなってしまいがちだからです。しかし、吸入ステロイドを止めてしまうと約1ヶ月で気管支の過敏性が治療前の状態に戻ってしまい、それ以降はいつ発作が起きてもおかしくはありません。
気管支喘息は完治しない病気ですので、たまたま発作が起きていないとしても、それは治ったわけではありません。飲み薬に比べると吸入は少しテクニックが要るものですが、コストパフォーマンスも一番良いものであり、吸入を続けることが急な発作を起こさないためには重要です。
吸入ステロイドの使用にあたっては、携帯用ピークフローメーターを利用して呼吸機能を評価し、喘息日誌に記録をして自己管理することが大切です。医師はこの結果をもとに、ステロイドを使用する、または受診をするタイミングを計ることができ、きめ細かな対策を立てることができます。ピークフロー値は症状の客観的な指標となり、喘息日誌は主観的な指標となります。
吸入ステロイドは気管支から全身へはほとんど吸収されないため、吸入での治療に関しては全身的な副作用はまず考えなくてよいと思います。局所的には嗄声といって声がかすれることがありますが、この場合は吸入ステロイドの種類を変えたり、吸入のタイミングを変えたりして対応します。ただし、しっかりうがいをしていただくことは重要で、これをしないと口腔カンジダ症を起こすことがあります。
経口ステロイドに関しては全身的な副作用が出ることあるため、使用は短期間で中止します。ずっと使い続けなければならない方は1%もいないので、長期の服用についてはあまり考えなくてよいでしょう。
ちなみに、吸入ステロイドは妊娠中の方でも問題なく安全に使えます。そもそも、喘息の方が妊娠すると中期以降は喘息の症状が落ち着きますが、これがなぜかというと、胎児の副腎でステロイドが生産されるからです。逆に、胎児由来のステロイドがなくなってしまうため、産褥期に症状が悪くなる方はいます。β2刺激薬についても、かつては子宮の収縮を抑制して流産の予防に使われていたものであるため、ある程度親和性はあるかと思います。
記事1:気管支喘息の原因とは?ストレスにホコリやペットの毛も原因に
記事2:気管支喘息の吸入ステロイドは安全?ピークフローメータ ーと喘息日誌による自己管理の方法と妊娠への影響
記事3:気管支喘息の症状。呼吸困難や咳が就寝後や朝方に出る
記事4:気管支喘息の発作が起きないように日常生活で注意すべき5つのこと
記事5:気管支喘息は治るのか―喘息の治療方法と、発作を抑える吸入薬・飲み薬など処方薬まとめ
記事6:気管支喘息は何科に行けばいい?検査項目と診断のポイント・救急車を呼ぶタイミング・合併症について
中部国際医療センター 病院長
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