さんじょく

産褥

目次

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概要

分娩後から非妊娠時の状態に戻るための期間のことをいいます。産褥期は出産後約6~8週間とされます。産褥期は身体的、精神的に大きな変化が起きる時期なので、それに伴う問題や疾患が起きやすい時期でもあります。今回は産褥期に起こる異常について説明したいと思います。

  • 乳腺炎
  • 産褥期精神障害

産褥期に起こる精神障害には「マタニティーブルーズ」と「産褥精神病(産褥うつはここに含まれる)」があります。

マタニティーブルーズ

産褥7~10日以内に発症します。主に2〜4日をピークにする一過性の抑うつ状態のことをいいます。産褥婦の30~50%みられます。症状は軽度であることが多く、通常2週間ほどで消失します。しかし、症状が重症化することがあり、その結果産後うつ病に移行することがあります。

産褥精神病

多くは産褥1か月以内に発症します。発症頻度は約3%と推定されています。産褥精神病は大きく分けて、産後うつ病、神経症様状態、非定型精神病様状態があります。産褥精神病は約1/3の例に再発があるとされています。不眠、不安、気分変調、食欲不振などの前駆症状に引き続いて発症することが多いです。

1) 産後うつ病

約半数を占めます。強い抑うつ症状を呈します。

2) 神経症様状態

約20%を占めます。神経衰弱様症状を呈します。

3) 非定型精神病様状態

意識レベルが低下し、幻覚、妄想など精神症状を呈します。

子宮復古不全

通常、産褥期には一定の経過で子宮が収縮していきます。これに対し、子宮復古の遅延が認められる状態を子宮復古不全といいます。

産褥熱

分娩時や産褥期において、子宮を中心とした骨盤内感染によって発症した熱性疾患の総称です。分娩後24時間から産褥10日までの間に38℃以上の発熱を2日以上きたすものと定義されていますが、診断基準を満たさないものもあります。

原因

産褥期精神障害

マタニティーブルーズ

身体の急激な変化と、育児への不安、夜間授乳を行うことによる睡眠不足などがあると考えられています。

子宮復古不全

さまざまありますが、子宮内に胎盤や卵膜(胎児が入っていた袋)が遺残している場合が多いです。

症状

産褥期精神障害

マタニティーブルーズ

精神的症状として、涙もろさ、不安感、焦燥感、緊張感、抑うつ気分、集中力の欠如などが現れます。身体的症状としては、易疲労感、食欲不振、頭痛などがあります。

子宮復古不全

正常な場合では産褥数日経過すると子宮は固く、徐々に縮小していきます。また、悪露(子宮の中から出てくる血液のこと。子宮復古の過程で排出される)は血性から黄色に徐々に変化し、出血が止まります。しかし、子宮復古不全の場合、子宮はやや柔らかく、場合によっては体壁型では子宮がどこにあるのかわからない場合もあります。また、子宮の縮小が確認できないこともあります。血性悪露が産褥1~2週間を経ても続き、コアグラ(血の塊)が排出される場合もあります。

産褥熱

2日以上にわたって38℃以上の発熱、下腹部痛、子宮体部の圧痛、悪臭を伴う悪露の排泄

検査・診断

産褥熱

細菌培養検査、血液検査

治療

産褥期精神障害

マタニティーブルーズ

特に治療は必要ありませんが、十分な休息や食事、水分摂取ができるよう環境を整えます。ときには児と離れ、ゆっくり休むことも効果的です。

産褥精神病

発症を疑った場合は精神科医を紹介します。また、夫や実母、義母、地域の保健師などサポートをしてもらう環境を作る必要があります。育児は母親にとって楽しいものでなくてはなりません。楽しく感じるためには母体の健康が一番重要です。ストレスや不安を感じた場合は一番相談しやすい人に相談しましょう。また、相談できる人がいなければ、各自治体に育児の相談窓口もあります。直接出向くのが大変であれば、電話で相談することができる無料の育児相談窓口も開設されていますので、利用しましょう。

子宮復古不全

胎盤や内膜の遺残がある場合、可能であれば子宮内容除去術を行う場合があります。

産褥熱

抗生剤の投与