さんごうつびょう

産後うつ病

同義語
産後うつ
最終更新日:
2024年07月23日
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2024/07/23
更新しました
2020/05/21
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概要

産後うつ病とは、出産後数か月以内に発生するうつ病です。

多くの女性は、出産後の経過が正常な場合でも何らかの精神的な変調を経験します。ホルモンの急激な変化、出産そのものによるストレスや疲労など、女性が“母になる”変化を経験します。このため、出産後の女性の約30~50%は、産後2~5日ごろに涙もろさや不安定な気分、抑うつ、イライラなどを経験しますが、多くの場合一過性で自然に軽快します(マタニティブルーズ)。ところが、抑うつ気分や過度の不安、興味または喜びの喪失、不眠、気力の減退などが2週間以上続く場合は、産後うつ病の可能性があります。

日本では出産を経験した女性の約10%が産後うつ病を発症するといわれており、誰にでも起こりうる病気です。母子双方に深刻な影響を及ぼす可能性があるため、妊娠~出産期に見逃してはならない病気の1つです。

原因

産後うつ病の原因は明らかになっていませんが、出産を経て女性ホルモンが急激に減少することが原因の1つと考えられています。

また、発症のリスク要因として、うつ病の既往、妊娠中のうつ症状や不安、パートナーや家族からのサポート不足、妊娠・出産に対する葛藤など、環境的な要因も大きいと考えられています。

症状

産後うつ病は産後2、3週間~3か月の間に発症しやすいとされています。“授乳がうまくいかず母親失格だと思う”、“周囲のサポートが乏しく疲労がたまり、睡眠不足が連続した”などの状況が重なり症状が現れる場合もあります。

産後うつ病では以下のような症状がみられます。

  • 寝ようと思っても眠れない
  • 食欲がなくなり体重の減少がみられる
  • 抑うつ気分
  • 興味または喜びの喪失
  • 集中力の低下
  • 気力の減退
  • 決断が困難
  • 赤ちゃんがかわいいと思えない
  • 消えてしまいたいと感じる(自殺念慮)

赤ちゃんのお世話や家事ができなくなったり、自殺念慮が現れたりする場合は、ためらわずに精神科や心療内科など専門科への相談や受診を検討し、治療を受けることが必要です。

検査・診断

産後うつ病は、一般のうつ病の診断基準を用いて診断します。

産後うつ病の一次スクリーニングとしては、産婦健診で使用される“エジンバラ産後うつ病質問票”などが挙げられます。エジンバラ産後うつ病質問票は10項目からなる自記式質問票で、合計点9点以上がスクリーニング陽性となりますが、確定診断のためには精神科医などによる検査・診断が必要です。

このほか、甲状腺や脳下垂体機能の異常などは産後に起こりやすい病気で、不安や集中力の欠如など産後うつ病に似た症状が現れます。そのため、産後うつ病のような症状がみられる場合は、別の病気が潜んでいないか血液検査やCT検査などの画像検査を行うことがあります。

治療

産後うつ病の治療は、薬物療法と精神療法が主体となります。

母乳育児中の服薬については、服薬によるメリットや、母乳や乳児への薬物の移行、母乳育児の負担などを総合的に判断して方針を決定します。母乳育児中の薬物療法への抵抗から精神科受診をためらう方もいますが、母乳移行が少ないタイプの薬剤や、医師や臨床心理士によるカウンセリングなどの治療もあります。本人が受診の判断をできない場合、家族のすすめで受診につながることもあります。

予防

近年、産後うつ病が一般的に周知されるようになりましたが、対策としては、妊娠中からの備えが大切です。ポイントは、“疲れすぎない”育児環境を作ることです。産後の女性が疲労を感じたら短時間でも安心して休めるように、パートナーと家事や育児のシェアについてあらかじめ話し合っておく、親族による支援だけでなく外部サービスの利用も検討するなどの準備をしておきましょう。パートナーが赤ちゃんの抱っこやおむつ替えなどの育児技術を知っておくことも産後の疲労緩和策に有効です。

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