きかんしぜんそく こども

気管支喘息(こども)

肺

目次

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概要

気管支喘息とは、空気の通り道である気管支に、慢性的な炎症が生じている病気です。気管支喘息では、外部からの様々な刺激に対して気管支が敏感に反応する状況に陥っています。その結果、咳や痰、喘鳴(ヒューヒュという呼吸音)、呼吸困難などの症状が慢性的に生じます。

国民全体で120万人ほどの患者さんがいると推定されており、そのうちの4割弱は20歳未満の方が占めると報告されています。子どもの気管支喘息の多くは、1歳〜2歳までに発症することが多く、3歳ほどにおよそ70%が発症します。

身体の成長と共に気管支喘息が治癒するお子さんが多い一方、3割ほどの方は成人になっても喘息を持ち越すと言われています。 治療方法の改善に伴い、長期的に症状を抑えながら生活を送ることができる方が増えてきていますが、今現在も気管支喘息を原因として亡くなる方もいらっしゃいます。気管支喘息においては、適切な治療・管理を行うことがとても大切です。 

原因

子どもの気管支喘息の多くは、アレルギー素因のあるお子さんに生じます。特に、ダニに対してのアレルギーと関連していると考えられています。アレルギー素因のあるお子さんが、ダニを始めとした物質を吸い込むと、気道に炎症を起こします。

その結果、気管支喘息のお子さんでは、気道が様々な刺激に対して過敏に反応しやすい状態(気道過敏性の亢進と言います)になっています。 気道過敏性の亢進をベースとして、例えばお子さんが風邪を引くと、気管支が過剰に反応を示し喘鳴や呼吸困難を生じる(気管支喘息の発作)ようになります。

気管支喘息の好発年齢に当たる乳児期のお子さんでは、年齢的に風邪をとてもひきやすい時期です。このことと関連して、子ども気管支喘息発作の誘因として、ウイルスを始めとした呼吸器感染症は最も頻度の高いものです。

その他、気管支喘息発作を誘発する原因には、運動や気圧の変化、冷たい空気、受動喫煙などを挙げることができます。誘因にさらされる度に呼吸器症状を繰り返すのは、気管支喘息における特徴的な経過です。

気管支喘息にはアレルギー素因が大きく関連していることから、気管支喘息と診断されるお子さんの中には、食物アレルギーやアトピー性皮膚炎といった他のアレルギー性疾患を既にお持ちのお子さんも多いです。また、ご両親を含めた家族内に気管支喘息の既往を持っている方がいると、お子さんが気管支喘息を発症する可能性が高くなるとも考えられています。 

症状

気管支喘息では、何かしらの誘因をきっかけとして気管支が狭くなり、咳や痰、喘鳴や呼吸困難を来します。気管支発作の程度が酷くなると、咳や喘鳴の影響から会話が出来なくなったり、睡眠が妨げられたりすることもあります。一方で。軽度の発作であれば普段の生活を支障なく送ることができます。

しかしながら、運動した後(体育の時間など)、大笑いをした後などに突発的に咳込むこともあります。これらの症状は気管支喘息の炎症・気道過敏性が生じていることを示唆しています。治療を考える上で、こうした軽微な変化に注目することはとても大切であり、恒常的な症状がない場合でも注意が必要です。

また、お子さんの気管支喘息においては呼吸器感染症をきっかけとして発作が生じることも多く、例えばインフルエンザが誘因となっている場合には、インフルエンザに伴う症状(倦怠感、筋肉痛、発熱など)も同時に認めることもしばしばです。 

検査・診断

咳や痰・喘鳴という症状は、気管支喘息の発作以外にも、呼吸器感染症でも認めることがある症状です。乳幼児期のお子さんは風邪を引きやすく、風邪をきっかけとして気管支喘息に似た症状を呈することはまれではありません。

そのため、一回の咳や喘鳴のエピソードだけで正確に気管支喘息を診断することは困難です。お子さんの経過を長期的に観察することが、正確な気管支喘息の診断のためには大切です。 成人を含めた学童期以降であれば、呼吸機能検査(スパイロメトリーやフローボリューム曲線など)が行われることがあります。

こうした病院で行う呼吸機能検査以外にも、ピークフローと呼ばれる簡易に呼吸機能を測定する方法もあります。自宅でも出来ることから、気管支の状態を把握するのにとても有用です。これらの検査は自発的に深呼吸や力強い呼吸をすることが求められ、乳児期のお子さんには適応になりません。その代わりに、喘鳴や咳が生じたエピソードなどを日記風に記録することがあり、治療方針の決定に活用されます。

その他、アレルギー素因を測る検査として血液中のIgEがあります。気道の炎症状況を推定するのに、喀痰中の炎症マーカー(好酸球や好中球、クレオラ体)を検索したり、呼気中の一酸化窒素(NO)が測定されたりすることもあります。

治療

気管支喘息の治療の考え方は、大きく二つに分けることが出来ます。一つは慢性的な気管支の炎症や気道過敏性を抑えることを目的とした「長期管理薬」、もう一つは気管支喘息の発作(喘鳴や咳など)が生じた際に症状を緩和させるための「発作治療薬」です。

治療の最終目標は、発作が生じないことはもちろんのこと、炎症や気道の過敏性をコントロールすることです。子どもの気管支喘息では、学校を休まずに登校できることや、運動も他のお子さんと遜色なく行う、などの社会的な面に目を向けることも大切です。

長期管理を目的としたものには、炎症を抑制する薬が主体となります。具体的には、吸入ステロイド、ロイコトリエン拮抗薬、クロモグリク酸ナトリウムなどがあります。補助的な薬剤に、テオフィリン、β2刺激薬等を追加することもあります。吸入ステロイドの投与方法はいくつかあり、年齢に応じて適切な方法が選択されます。

例えばパルミコートと呼ばれるステロイド吸入液は、ネブライザーを用いて霧状にして吸入させることができることから、乳児でも適応になり得ます。また吸入ステロイドは肺に直接投与できるものであり、経口薬に比べて全身的な影響は少ないです。

しかし、気管支喘息のコントロールが難しい場合は用量を増やすこともあり、副作用が懸念されるようになります。年齢的なものを加味しつつ、ロイコトリエン拮抗薬等その他の管理薬を使い分けることになります。

発作を抑制する薬としては、β2刺激薬吸入、イソプロテレノール、全身ステロイド、テオフィリンなどがあります。軽症の発作であれば、外来でβ2刺激薬の吸入をすることで症状の改善は期待できます。しかし中程度以上の発作においては、β2刺激約以外の治療や酸素の投与も必要になり、入院することもあります。 

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