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インタビュー

気管支喘息の治療

気管支喘息の治療

国立成育医療研究センター 小児医療系総合診療部レジデント

久貝 太麻衣 先生

石黒 精 先生

国立成育医療研究センター 教育センター センター長  臨床研究センター 副センター長・臨床研究...

石黒 精 先生

気管支喘息の治療は、どのように行われるのでしょうか。この記事では、重症化を防ぐための注意点、そして重症度別の治療法について説明します。

気管支喘息の発作が起きたときは、気管支を広げる吸入薬を使えば良くなることが多いです。その後も “たまたま”刺激が加わらず、しばらく症状なく過ごせる場合もあります。しかし気道の弱い炎症はずっと続いていて、風邪やホコリなどの刺激があれば、すぐに発作が起きてしまう状態です。

左は通常時、中央・右はそれぞれ気管支喘息の発作がないとき・発作時

発作を繰り返すと気道を構成している組織が変形して、治療後も気道の狭い状態がもとに戻らなくなります。そのため、常に呼吸がしにくい状態となり運動や日常生活が制限されてしまう可能性や、感染を契機に呼吸不全となり死に至る場合もあります。現在でも亡くなっている方がいる怖い病気です。しかし,正しい治療に取り組むことで重症化を防ぎ、症状なく日常生活を送ることが可能です。

気管支喘息の治療は、現在の重症度を知ることから始まります。これは発作が起きた時の治療のため、そして発作を防ぐ治療のためです。

発作の強度は、下記の表にある4つに分けられます。「小発作」の場合、自宅に発作薬があれば対応することも可能です。「中発作」以上の場合は必ず医療機関を受診するようにしましょう。

また、「小発作」を起こしている場合も徐々に悪化する場合があるため、自宅で対応して改善が見られない場合にはためらわずに医療機関を受診してください。

  小発作 中発作 大発作 呼吸不全
呼吸の状態        
  瑞鳴 軽度 明らか 著明 減少/消失
陥没呼吸 なし~軽度 明らか 著明 著明
呼気延長 なし あり 明らか 著明
起坐呼吸 横になれる 座位を好む 前かがみ  
チアノーゼ なし なし 可能性あり あり
呼吸数 軽度増加 増加 増加 不定
覚醒時の正常呼吸数

<2か月 <60/min  2-12か月 <50/min

1-5歳 <40/min  6-8 <30/min

呼吸困難感 安静時 なし あり 著明 著明
歩行時 急ぐと苦しい 歩行時著明 歩行困難 歩行不能
生活の状態 話し方 一文区切り 句で区切る 一語区切り 不能
食べ方 ほぼ普通 やや困難 困難 不能
睡眠 眠れる 目を覚ます 障害される  
意識障害 興奮状況 なし やや興奮 興奮 錯乱
意識低下 なし なし ややあり あり
SpO2   ≧96% 92-95% ≦91% <91%
PaCO2   <41mmHg <41mmHg 41-60mmHg >60mmHg
PEF 吸入前 >60% 30-60% <30% 測定不能
吸入後 >80% 50-80% <50% 測定不能

気管支をとりまく筋肉を拡張させて、空気の通り道を広げ呼吸を楽にすることができます。「吸入」「内服」「貼付」の3種類がありますが、最も短時間で効果が出るものは吸入用です。また、β2刺激薬の副作用として知られる動悸、頻脈、不整脈、嘔気・嘔吐なども、吸入のタイプでは少ないことが特徴的です。ただし、啼泣(声をあげて泣くこと)が激しくて吸入が困難な子どもに対しては内服用や貼付用も役に立ちます。また、貼付のタイプは効果が出るまでに4~6時間かかります。皮膚への刺激を避けるため、毎回貼付する場所を変えましょう。

気管支の炎症を抑える最も効果的な薬で、内服薬と注射薬があります。炎症を起こしている免疫細胞の働きを抑えますが、数日間の使用であれば感染に対する抵抗力を落とすことはありません。また、自分自身が作るステロイドホルモンを少なくしたり、顔が丸くなったりする副作用の心配もありません。

次に重症度について説明します。これまでの発作の様子や頻度を総合的にみて、以下の表のように5つに分類し、適切な治療と組み合わせます。

重症度 症状、頻度
間欠型 年に数回咳嗽、季節性の瑞鳴
β刺激薬吸入で改善
軽症持続型 月に1-3回の咳嗽・瑞鳴
呼吸困難の持続はなく、日常生活に支障ない
中等症持続型 週に数回の咳嗽・瑞鳴
月1回ほど中・大発作で日常生活、睡眠に支障来す
重症持続型 毎日、咳嗽・瑞鳴
週1-2回、中・大発作で日常生活に支障がある
最重症持続型 頻回に中・大発作を来し、日常生活が制限される
  現在の治療
▼症状のみの重症度 STEP1 STEP2 STEP3 STEP4
間欠型 間欠 軽症 中等症 重症
軽症持続型 軽症 中等症 重症 重症
中等症持続型 中等症 重症 重症 最重症
重症持続型 重症 重症 重症 最重症

このようにして、現在受けている治療と症状の重症度を合わせて考え、真の重症度を判定します。そのうえで本当に必要な治療を決めます。

  STEP1 完結型 STEP2 軽症持続型 STEP3 中等症持続型 STEP4 重症持続型
基本 発作の強度に応じて

・LTRA拮抗

・吸入PSL低用量

・吸入PSL中用量

・吸入PSL高用量

・LTRA

・テオフィリン

・長時間作用β刺激薬

追加

・LTRA拮抗

・DSCG

 

・LTRA拮抗薬

・長時間作用β刺激薬

・テオフィリン

・経口ステロイド

・吸入ステロイド増量

・高用量SFC

気道を収縮させる化学伝達物質である「ロイコトリエン」の働きを抑え、気管支を拡張させ、気道炎症を抑えます。一日に1~2回内服します。副作用は発疹、下痢・腹痛、肝機能障などですが、多くの方が安全に使用しています。

吸入したステロイドが直接気道に到達することで、気道の炎症を強く抑えます。吸入薬なので、全身への影響は比較的少なく、長期管理において最も重要な薬です。以下のように、年齢に応じた吸入の方法(器具)があります。

「ネブライザー」のイメージ

 

「スペーサー」のイメージ

 

「ディスカス」のイメージ
「ディスカス」の使用法

 

副作用として、のどへの刺激や、咳・声がかれるといった症状が出たり、口の中にカンジダというカビが付着しやすくなったりします。そのため、吸入後にはうがいをしましょう。うがいが難しい小さいお子さんに対しては、水分を飲ませても構いません。使用開始後1年で身長の伸びが1cm程度少なくなる可能性がありますが、それ以降は大きな影響がなく、大人になる頃には差がなくなっているという研究結果があります。

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