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インタビュー

破傷風の症状や治療ー妊婦や新生児の予防接種が重要に

破傷風の症状や治療ー妊婦や新生児の予防接種が重要に

国立成育医療研究センター 小児医療系総合診療部レジデント

久貝 太麻衣 先生

石黒 精 先生

国立成育医療研究センター 教育センター センター長  臨床研究センター 副センター長・臨床研究...

石黒 精 先生

破傷風は破傷風菌による感染症です。
破傷風菌は、土やほこり、動物の消化管に住んでおり、加熱にも強い微生物です。
釘やガラス、ピアスなどによる傷、火傷や潰瘍、手術の傷を通して感染し、体の中で毒素を作ります。毒素は全身の神経を侵し、様々な辛い症状が次から次へと現れます。その間も意識がはっきりしているため、患者さんは痛みや恐怖をずっと感じています。

症状が出ると2~3人に1人が死亡します。世界では年間50万人の赤ちゃんと3万人の妊婦さんが死亡しています。

破傷風では、感染してから多くの場合2~14日後から、長い時は1か月後から下記の症状が順番に出てきます。 短期間に症状が進行した場合は、死に至る可能性が高くなります。

頭痛、不快感、ムズムズ感から始まって、徐々に口の周りや顎が固く動きにくくなり、噛んだり飲んだりできなくなってきます。首の筋肉がけいれん(けいれん)します。

破傷風の毒素が顔や頬の筋肉を動かす神経に達すると、顔の筋肉がいつもけいれんし、皮肉笑いをしているような顔になります。

破傷風の毒素が体幹やおしり、太ももを動かす神経にまで到ると、体幹の筋肉がけいれんして固くなり、全身が後ろに反り返ってしまいます。弓を置いたように後頭部と踵しか地面についていないような体勢となります。

のどや呼吸の筋肉もけいれんし、窒息を来たすこともあります。

突然、手足が強く固まり、全身の筋肉が固くなって身動きがとれなくなる発作を繰り返します。数秒から数分で元に戻りますが、病状が進行するとともに時間が長くなっていきます。この発作は光や音、振動といった刺激で誘発されます。

40℃以上の高熱や、不整脈なども起こります。

これらの症状が出現している間も、本人の意識ははっきりしており、痛みや恐怖をずっと感じるので、精神的にも苦痛の状態が続きます。

お母さんが破傷風の予防接種を受けていない場合、生まれてくる赤ちゃんにも分娩時のおへその傷などから破傷風菌が侵入します。

生後1~2週間で発症し、吸い付きや飲み込みができず、乳を飲ませて育てることができなくなります。不機嫌や泣くことが多くなり、病状が進むと抱っこをしたり触ったりするだけでけいれん発作を起こすようになります。

新生児が感染すると4人に3人は亡くなります。生き延びた場合でも、繰り返すけいれんで酸素が不足し、脳が障害されて重い後遺症が残ります。

破傷風の症状が出現したら、対症療法しかありません。
刺激で発作を誘発しないよう、暗く、静かな部屋で安静にさせます。呼吸を助けるために、重い場合は人工呼吸器を使います。
けいれんが起きたらけいれん止めの薬を使いますが、発作を繰り返さないようにする効果はありません。発症から1週間以内の死亡率が最も高く、3人あるいは2人に1人は死亡します。
命は助かったとしても、脳の障害により発達や知能の遅れ、身体の不自由(麻痺)が残ることがあります。

この破傷風をほぼ確実に予防できる方法が予防接種です。
日本では、国が受けることを強くすすめている「定期接種」の対象であり、ジフテリア百日咳ポリオと合わせた4種混合ワクチン(DPT-IPV)を、生後3か月以降に計4回接種します。
また、妊婦が接種することで、生まれてくる赤ちゃんの予防にもなります。
接種してから10年経過すると次第に免疫の効果が低下してくるため、最終接種から10年以上経過した場合は、大きな怪我をしたら病院を受診し、追加で接種する必要があるか相談をしてください。

日常的な予防方法としては、破傷風菌が体内に入らないように、傷ができた時はすぐに流水で十分に洗います。

自宅で対応できないような大きい傷や、汚い場所での怪我のときは、病院を受診しましょう。必要に応じて傷口を広げて奥の汚れを洗い出します。破傷風の予防接種をしっかり受けていなかったり、最終接種から10年以上経過した方の場合には、追加接種という形で破傷風毒素に対する薬を注射することもあります。

 

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