はいきしゅ

肺気腫

最終更新日:
2022年08月01日
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2022/08/01
更新しました
2017/04/25
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概要

肺気腫とは、主にたばこの煙が原因となって肺胞(呼吸の際に酸素と二酸化炭素の交換が行われる部位)に慢性的な炎症が生じ、構造が破壊されて肺の機能が低下する病気です。肺気腫、すなわち肺の構造破壊は胸部CTにより診断することが可能です。また、咳や痰症状から診断する“慢性気管支炎”も合併しやすい病態です。つまり、肺気腫、慢性気管支炎を区別することは可能ですが、両者は大なり小なり合併することが多いのです。そこで現在では、両者のどちらが主であっても、呼吸機能障害(閉塞性換気障害)があれば慢性閉塞性肺疾患COPD)と呼ばれます。

詳しくはこちら:慢性閉塞性肺疾患(COPD)

破壊された肺胞が元に戻ることはないため、禁煙によって進行を食い止め、呼吸困難などの症状を緩和するための対処療法が主体となります。また、呼吸機能の低下が著しい場合には自宅などでも酸素吸入を続ける必要があり、QOL(生活の質)を低下させるのもこの病気の特徴です。

原因

肺気腫は、呼吸の際に酸素と二酸化炭素の交換を行う肺胞と呼ばれる小さな袋状の構造が破壊されて、肺の機能が低下していく病気です。

もっとも大きな原因はたばこの煙と考えられていますが、大気汚染などが原因となることも知られています。また、これらの原因がまったくない場合でも、肺胞の構造の破壊を防ぐ“α1-アンチトリプシン”と呼ばれる酵素の産生が生まれつき不足していると肺気腫を発症するケースがあります。

症状

肺胞は、肺の中のブドウ状に密生した細かい袋状の構造をしています。呼吸の際の酸素と二酸化炭素のガス交換の場であり、息を吸うことで取り入れられた酸素が血液に乗って全身に運ばれていき、息を吐くことで血液中の二酸化炭素が出されます。

肺気腫では肺胞でのガスの交換が正常に行われなくなり、さらに肺胞の構造が破壊されることで弾力性が失われ、呼吸によって取り込んだ空気を吐き出しにくくなります。その結果、体を動かすと息苦しさを感じるようになり、咳や痰も出やすくなります。心臓にも負担がかかるようになるため、進行すれば心不全を併発するケース(肺性心)も多いとされています。

さらに、肺の中に空気が残りやすくなることで胸がビール樽のように見えたり、血中の酸素濃度が慢性的に低下することでチアノーゼがみられたりと、“見た目”の変化が現れることも少なくありません。

また、活動性が低下するため、体重あるいは筋肉量の減少(サルコペニア)やフレイルの状態が引き起こされ、肺炎などの感染症にかかるリスクも高くなります。

検査・診断

肺気腫が疑われるときは、次のような検査が必要になります。

画像検査

肺の状態を確認するため、X線やCTなどの画像検査を行います。

ただし、進行した肺気腫では肺胞の破壊や肺の膨張などの所見が認められますが、早期段階では画像検査では発見しにくいとされています。

呼吸機能検査

肺機能の状態を評価するため、呼吸機能検査が行われます。

肺気腫では息を吐き出す機能の低下(閉塞性換気障害)や拡散障害が認められるのが特徴です。

動脈血ガス分析

動脈血の中に含まれる酸素や二酸化炭素の量を調べる検査です。

肺気腫が進行すると肺の機能が低下して、血中酸素が不足、さらに進行すれば二酸化炭素がたまっていく傾向があります。

治療

たばこの煙などの影響で破壊された肺胞の構造が元に戻ることはないため、肺気腫の治療は進行を予防すること・症状を緩和すること・合併症を予防することが主体となります。

進行を予防するためには、第一に禁煙が必要です。また、肺気腫は感染症を併発すると症状が悪化することがあるため、インフルエンザなどのワクチン接種を積極的に行う必要もあります。また、新型コロナウイルス感染症に罹患すると重症化しやすいため、ワクチンで予防することが重要です。

症状を緩和するには、狭くなった気道を広げるために気管支拡張薬が第一選択になります。一部の患者ではステロイド吸入薬が必要な場合もあります。また、体に負担のない呼吸を行うためのリハビリテーションが必要になります。

一方で、肺気腫は体の中の酸素が不足する病気であり、進行した場合は常に酸素吸入を行う在宅酸素療法の導入が検討されます。また、肺の膨張が高度なケースでは肺を切除して容積を減らす手術が行われることもあります。

予防

肺気腫の多くはたばこの煙によって肺胞にダメージが加わることが原因で発症します。そのため、発症を予防するには禁煙が必須です。また、自身が喫煙者でなくても、周囲から漂ってくるたばこの煙を吸い込む“受動喫煙”も肺気腫のリスクになりますので、普段過ごす環境に注意することも大切です。

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