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慢性閉塞性肺疾患

別名:COPD
肺

目次

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概要

慢性閉塞性肺疾患 (COPD) は、たばこの煙などに含まれる有害物質に長期間曝露されることにより肺が持続的な炎症を起こし、呼吸機能の低下などを起こした状態です。原因のほとんどが喫煙であることから、生活習慣病のひとつとして注目されています。慢性閉塞性肺疾患は中高年が発症することが多いですが、なかでも高齢になってから発症するケースが増加しています。

2001年に行われた調査では、日本における患者数は約530万人にのぼると推定されています。しかし、その後の厚生労働省による調査において、実際に治療を受けている患者さんは約20万人にとどまることがわかりました。このことから慢性閉塞性肺疾患は、症状があるにもかかわらず治療を受けていない方が多い病気といえます。男女別患者数は、日本では女性よりも約2.5倍男性のほうが多いとされています。

慢性閉塞性肺疾患の認知度は25%程度にとどまりますが、日本人の死因10位であり、肺炎や肺がんなど重篤な肺疾患を起こす危険性も持っています。そのため慢性閉塞性肺疾患では、早期発見と早期治療の実施が重視されています。

原因

鼻や口から取り込まれた空気は、気管を通って肺へと送りこまれます。肺の中にある肺胞というところでは、血中に酸素を取り込むと同時に、体内にある二酸化炭素の排出を行なっています。慢性閉塞性肺疾患では、肺胞と末梢気道(肺胞につながる細い気管支部分)が炎症を起こしてしまうため、呼吸器症状が出るようになります。

炎症を起こす主な原因としては、たばこの煙に含まれる有害物質が挙げられます。喫煙者はもちろんですが、本人に喫煙習慣のない場合でも、受動喫煙によりたばこの煙にさらされる機会が多いとリスク因子となりえます。また中国ではPM2.5による大気汚染が、慢性閉塞性肺疾患の原因として報告されています。

ほかにも、遺伝的な要因により発症することもあります。発症との因果関係が示されているものとしては、α1-アンチトリプシン欠損症があります。欧米人においては1,500~3,500人に1人認められ、慢性閉塞性肺疾患の患者さんの数%にあたるといわれています。しかしアジア人においては非常にまれな病気のため、日本国内では慢性閉塞性肺疾患の原因となる可能性は低いです。

このほか、胎児期や新生児期にたばこの煙にさらされる環境にあると、肺の成長が妨げられ、慢性閉塞性肺疾患の発症リスクが高くなると考えられています。

症状

慢性閉塞性肺疾患の主な症状として、咳と痰、運動などをしたときに生じる息切れ(呼吸困難)の2つが挙げられます。慢性閉塞性肺疾患では、肺胞と末梢気道で慢性的な炎症が生じるため、肺にたまった空気を吐き出しにくくなります。空気の十分な排出ができなくなると、次第に肺の中に空気が溜まり息を吸い込むのも難しくなります。その結果、運動時に息切れ(労作性の呼吸困難)を起こすようになります。

しかし、労作時の呼吸困難は老化によるものと勘違いされることも多く、見逃されることもめずらしくありません。また喫煙習慣のある方では、気管支粘膜に炎症が起きやすく普段から咳や痰の症状を伴う方も多いため、いつもの症状と見過ごされてしまうことも多々あります。

検査・診断

慢性閉塞性肺疾患の診断では、スパイロメトリーと呼ばれる呼吸機能検査を実施します。この検査では、スパイロメーターという装置を用いて、呼気量や吸気量を測定、肺活量や努力性肺活量、1秒量、1秒率を調べます。

慢性閉塞性肺疾患は、息を吐き出しにくくなる病気なので、1秒量が低下し、1秒率の値も小さくなります。気管支拡張薬を使用した後の1秒率が70%未満である場合に慢性閉塞性肺疾患と診断されます。また、スパイロメトリーで得られる1秒率の値から、その呼吸機能の重症度に応じてI〜Ⅳ期に分類されます。

治療

持続的な炎症により破壊されてしまった肺胞組織が元に戻ることはありません。慢性閉塞性肺疾患では病気の進行を抑えることと、生活の質の維持および向上を目的とした治療が行われます。

慢性閉塞性肺疾患の原因のほとんどは喫煙です。そのため喫煙習慣のある方にはまず禁煙していただくことになります。呼吸機能の回復や維持を目的として、呼吸器リハビリテーションや運動療法が取り入れられることもあります。改善が認められない場合には、薬物療法が行われます。具体的には、気管支を拡げる効果のある長時間作性の抗コリン薬と、長時間作用性のβ2刺激薬が用いられます。重症度が高く呼吸が困難な患者さんに対しては、酸素吸入器を用いた在宅での酸素療法が必要な場合もあります。

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