Lung header img
Lung cancer title

ひとりひとり、それぞれの肺がんに

肺がん 基本情報

肺がんとは

肺がんとは、肺にできた「がん(悪性の腫瘍)」のことをいいます。がんは、体のなかの正常な細胞が「がん化※」することで生じます。肺がんでは、肺の大部分を占める「肺胞(はいほう)」や、肺へ送られる空気の通り道である「気管支(きかんし)」といった部分の細胞が、がん化します。

国立がん研究センターのデータ(2013年罹患数[全国推計値])によると、罹患数の多いがん(男女計)の第3位は「肺がん」と報告されています1)。このように、肺がんはがんのなかでも患者数が多いことがわかっています。

肺がんは、早期の段階では「症状があらわれにくいがん」として知られています。そのため、症状から発症を疑って医療機関を受診したときには、すでに病気が進行しているということもあります。発症早期に適切な診断と治療を受けるためにも、「肺がん検診」などの定期検診を受診することが勧められています。

※がん化:正常な細胞の遺伝子が傷ついて、異常な細胞増殖を続けるようになった状態

肺がんの疫学

患者数

厚生労働省が公表している「平成26年患者調査の概況」によると、肺がんを含む「気管、気管支及び肺の悪性新生物」の総患者数※は14万6,000人と報告されています。

発症しやすい年齢

肺がんを発症しやすい年齢については、国立がん研究センターがん対策情報センターの「地域がん登録全国推計によるがん罹患データ(2013年)」で報告されています。このデータによると、肺がんの患者さんは男性、女性ともに40歳前後から増加しはじめ、高齢になるほど増えていくことがわかっています。こうした特徴も考慮して、男女ともに40歳以上では肺がんの定期検診を受けることが勧められています。

※総患者数:継続的な治療を受けていると推測される患者さんの数

肺がんの原因とは?

肺がんの発症に関わっている原因(因子)には、以下のものがあります。

タバコ(喫煙)

タバコを吸うこと(喫煙)は、肺がんの発症に大きく関係しています。タバコを吸う人が肺がんを発症するリスクは、タバコを吸わない人と比べて、男性で4.4倍、女性で2.8倍になるという報告があります2)。特に多くのタバコを長年吸う方は、病気の発症リスクが高い人(ハイリスク群)であると考えられています。

家族歴

肺がんの発症には、「家族歴」という因子も関わっています。肺がんの家族歴(かぞくれき:患者さんの親族のなかでの発症歴)がある場合、家族歴なしの場合と比べると、肺がんにかかるリスクが2倍ほど高くなることが明らかにされています2)。この結果は、遺伝学的に肺がんになりやすい因子がある可能性も示唆しています。

大気汚染

大気汚染も、肺がん発症の要因であると考えられています。特にPM2.5(微小粒子状物質)をはじめとする微小な浮遊粒子は、肺がんの発症リスクを高めると報告されています2)

有害化学物質

アスベスト、ラドン、ヒ素、クロロメチルエーテル、クロム酸、ニッケルといった「有害物質」も、肺がんの発症リスクを高めることがわかっています2)。特に職業上、これらの有害物質を吸ってしまう環境に長期間さらされることは、肺がんの発症リスクを高めるとされています。

慢性閉塞性肺疾患(COPD)

肺に慢性的な炎症が起こる病気、たとえば慢性閉塞性肺疾患(まんせいへいそくせいはいしっかん[Chronic Obstructive Pulmonary Disease:COPD]:以前までは肺気腫・慢性気管支炎とよばれていた病気)を発症することも、肺がんの発症リスクを高めることがわかっています2)

肺がんの症状

肺がんは初期の場合、ほとんど無症状といえます。進行していくにつれて、以下のような症状があらわれることがあります。ただし、どの症状も「肺がんのみ」にみられるものではないため、症状から「肺がん」か「ほかの病気」かどうかを区別することは難しいといわれています。

  • 咳(せき)
  • 痰(たん)
  • 血痰(けったん:血が混じった痰のこと)
  • 発熱
  • 呼吸困難
  • 胸痛(きょうつう)(胸のあたりの痛み)

など

また、症状から発見された肺がんと、検診によって発見された肺がんでは、がんの進行度に違いがみられます。症状発見の患者さんは、検診発見の患者さんと比べるとがんが進行していることが多く、予後が優れない傾向にあることが報告されています2)。そのため、定期的な肺がん検診を年1回受け、無症状の段階から肺がんを早期発見することが大切です。

肺がんの予防

肺がんの予防として最も重要視されているものは「禁煙」です。タバコを吸っている方が「禁煙」を行うと、禁煙を行わなかった場合と比べて肺がんのリスクが低下することも明らかになっています。また禁煙を行った年齢が低いほど、発症のリスクも低くなることが明らかになっています2)

また「受動喫煙(じゅどうきつえん)(タバコから出た煙を周囲の人が吸い込むこと)」も、肺がん発症のリスク因子になることが示されています。受動喫煙にさらされた人は、さらされなかった人と比べて、肺がんの発症リスクが約1.3倍に増加することが明らかにされています2)。そのため受動喫煙を避けることも、肺がんの発症を抑えるために重要と考えられます。

  1. 1) 国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」(男女) 年齢階級別罹患率(全国推測値)2013年
  2. 2) 日本肺癌学会 EBMの手法による肺癌診療ガイドライン2017年版

肺がんの記事を読む