概要
突発性発疹とは、ヒトヘルペスウイルスに感染することにより、突然高熱が現れる病気のことです。発熱は3日ほどで自然に治まり、その後全身に小さな赤い発疹が現れるのが特徴です。
突発性発疹の99%は2歳前の乳幼児が発症し、“初めての発熱”の原因になることが多いとされています。また、高熱の割には機嫌が悪くなったり、食欲がなくなったりするケースは少ないとされていますが、突然現れる高熱のため熱性けいれんを引き起こすケースがあります。一般的には、熱性けいれんが生じても熱が下がれば症状は落ち着き、神経障害などの後遺症を残すことはありません。しかし、突発性発疹はまれに脳炎や脳症、劇症肝炎など命に関わる合併症を引き起こすことも報告されています。
原因
突発性発疹は、ヒトヘルペスウイルス6型、ヒトヘルペスウイルス7型に感染することによって発症する病気です。
これらのウイルスは唾液を介して感染すると考えられています。突発性発疹は、2歳までにほとんどの人がかかるとされる非常に発症頻度の高い感染症の1つです。原因となるヒトヘルペスウイルス6型と7型は一度感染すると体内に残り続け、唾液とともに排泄されるようになります。こうして家族など周囲の人から排泄されたウイルスが、まだこれらのウイルスに感染したことがない乳幼児に感染することで発症すると考えられています。
また、突発性発疹は生後4~12か月頃にかかることが多く、これは胎盤を通して母体から供給された免疫のはたらきが切れる頃と一致する時期であるのも特徴の1つです。
症状
突発性発疹を発症すると、前触れもなく突然38℃以上の高熱が現れます。しかし、高熱であるものの機嫌が悪い、食欲がない、ぐったりしている、といった全身症状の悪化に伴う症状が目立たないケースが多いのも突発性発疹の特徴です。
発熱は通常3日ほどで自然に治まりますが、解熱した後に顔や腕、脚を中心に全身に2~10mmほどの赤い小さな発疹が散らばるように多数現れます。なお、これらの発疹はかゆみや痛みなどは伴わず、3~4日ほどで跡を残すことなくきれいに消失します。
突発性発疹は高熱が出るものの、一般的には後遺症を残すことなく1週間前後で自然に治る病気です。その一方で、熱が上昇する段階で熱性けいれんを発症するケースも多く、まれに脳症や脳炎、劇症肝炎など重篤な合併症を引き起こすケースも報告されます。
そのほか、高熱や発疹などの特徴的な症状は目立たず、下痢やリンパ節の腫れなど一般的な風邪症状のみが見られるケースもあります。
検査・診断
突発性発疹は、年齢、高熱と解熱後の発疹といった典型的な症状などから、小児科では容易に診断を下すことが可能です。ヒトヘルペスウイルス6型や7型の感染によるものと確定するには遺伝子検査などが必要となりますが、経過と症状で診断ができるため、検査が行われることはほとんどありません。
また、突発性発疹は高熱が出るものの重篤な合併症や症状を引き起こすことが少ないため、特別な検査が必要になることは少ないのが現状です。しかし高熱と水分摂取不足などによる脱水が疑われる場合や、けいれんを起こしたり、ぐったりしたりして呼びかけに応じない場合など、何らかの合併症を引き起こしていると考えられるときは、それぞれの症状に合わせて血液検査や画像検査などを行うこともあります。
治療
突発性発疹は自然によくなることがほとんどであるため、発症したとしても特別な治療が必要となることはありません。しかし、熱性けいれんを引き起こした場合や以前に熱性けいれんを発症したことがある場合には、けいれんを止めるための薬や熱を下げるための薬が使用されます。また、脳症や脳炎などの重篤な合併症が引き起こされた場合は、突発性発疹の原因となるヒトヘルペスウイルス6型、7型に効果があるとされる抗ウイルス薬の投与が行われることがあります。
そのほか、十分な水分が取れないような場合には点滴治療を行うこともあります。
予防
突発性発疹の多くは、2歳までの乳幼児期にかかるとされています。
感染経路は唾液を介しての接触感染や飛沫感染であるため、手洗い、手指消毒、マスクの着用など一般的な感染対策を行うことで感染を予防できる可能性があります。しかし、突発性発疹は基本的に後遺症を残さずに自然に治る病気です。そのため、免疫力が著しく低下する病気などによって重症化するリスクが高い場合を除き、通常は感染対策が必要となることはありません。
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