子どものインフルエンザ予防接種にはどのような効果があるのでしょうか。また、何月ごろに接種を済ませればよいのでしょうか。その注意点も含め、正しい知識を身につけておきましょう。
人の体には、ウイルスや病原菌が体内に一度感染すると、次にウイルスや病原体が侵入してきたときに戦える「抗体」を作り出す機能が備わっています。それを「免疫」と呼びます。予防接種は、その年に流行すると予想される種類のワクチンをあらかじめ投与することで、抗体を作り出してインフルエンザの侵入を防ぐことが目的です。
流行を引き起こすのは主にA型とB型で、その中でも流行する種類は年によって異なります。年によって流行の型や重症度が違います。ワクチンに含まれる種類と流行する種類が違った場合は、ワクチンを打っていてもインフルエンザに罹患することが実際にはあります。
また、予防接種をしておけば、インフルエンザになったとしても重症化や入院の可能性を減らすことができるという報告もあります。ただし中耳炎や肺炎、脳症などの合併症に対する予防効果は立証されてはいません。
流行は例年11月下旬~4月初旬くらいに見られ、1月末~2月初旬にピークがあります。抗体が出来るまでに2~4週間の時間がかかるため、10月~12月中旬までのワクチン接種が望ましいでしょう。予防接種の効果は5か月ほどです。
インフルエンザの副反応として多いのは、接種した部位の赤く腫れたり、痛痒い感じが接種を受けた10~20%にみられ、発熱、頭痛、倦怠感などが5~10%に認められます。これらは数日で自然に改善します。
まれに問題となる副作用として、ショック、アナフィラキシー、ギランバレー症候群、急性脳症、喘息発作などが挙げられます。死亡例は1年に0~4例ほど報告されていますが、ワクチンとの因果関係として明確なものはなく、死亡した方は高齢で、もともと別の病気のある方がほとんどです。
また、インフルエンザワクチンには卵の成分が入っていますが、ごく微量の成分であるため、卵アレルギーであってもアレルギー反応が出ない人がほとんどです。しかし、卵摂取によりアナフィラキシーなどの強いアレルギー症状や、過去にインフルエンザワクチンでアレルギーの出たことある場合は、事前に医師に伝えましょう。
国立成育医療研究センター 教育センター センター長/臨床研究センター 副センター長/臨床研究教育部長(併任)/血液内科診療部長(併任)
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