さいきかんしえん

細気管支炎

肺

目次

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概要

細気管支炎とは、気管支の末梢(末端の細い部分)である細気管支が炎症を起こす病気です。ウイルス、細菌を原因とした感染性の急性細気管支炎と、原因不明の慢性細気管支炎に分けられます。

急性細気管支炎はRSウイルスによる乳幼児の発症が多く、特に低出生体重児、心臓・肺疾患・免疫不全・ダウン症候群のお子さんでは重症化が懸念されるため注意が必要です。

RSウイルスにはパリビズマブという抗体による予防が有用で、重症化しやすいお子さんには保険適用となっています。

慢性細気管支炎には、びまん性汎細気管支炎、閉塞(へいそく)性細気管支炎など原因不明な疾患が含まれます。治療は対症療法が中心です。

原因

ウイルス、細菌を原因とした感染性の細気管支炎と、そのほかの原因に分けられます。

原因となるウイルスとしてはRSウイルスがもっとも多く、新生児・乳幼児が感染すると細気管支炎を発症することがあります。RSウイルスは毎年冬季に流行し、乳幼児の細気管支炎の50~90%を占めるといわれています。

ヒトメタニューモウイルスやマイコプラズマも細気管支炎の原因となります。RSウイルス、ヒトメタニューモウイルス、マイコプラズマいずれの病原体も飛沫感染、接触感染により感染します。

感染以外にも原因不明の慢性細気管支炎があり、びまん性汎細気管支炎は成人に多く発症します。閉塞性細気管支炎は、細気管支が炎症により閉塞し呼吸不全を起こす病気で、免疫学的なメカニズムが作用していると考えられています。

症状

RSウイルスによる急性細気管支炎では、2~8日の潜伏期間のあと、咳・鼻汁・くしゃみなどのいわゆる風邪の症状が現れます。発熱を認めることもあります。

ゼーゼー・ヒューヒューという喘鳴(ぜんめい)や、陥没(かんぼつ)呼吸(息を吸い込むときに胸の一部が陥没する)、頻呼吸を認める場合、重症化すると不穏・意識障害を現し、また、無呼吸・呼吸不全に至ることもあります。

低酸素状態から人工呼吸が必要になり、命にかかわることもあります。特に、上に挙げたような重症化しやすいお子さんでは症状が急速に悪化することが多いため、呼吸状態を注意深く観察する必要があります。

原因不明の細気管支炎であるびまん性汎細気管支炎、閉塞性細気管支炎の症状は咳、過剰な(たん)です。症状は連続して3か月以上続きます。

検査・診断

RSウイルスの診断には、迅速診断キットが用いられます。鼻の粘膜から鼻汁を採取し、検査を行います。

ヒトメタニューモウイルス、マイコプラズマも迅速検査が用いられます。マイコプラズマの診断には血液の抗体検査や寒冷凝集素の検査も有用です。そのほか、ウイルス、マイコプラズマの遺伝子検査を行うこともあります。

細気管支炎の程度、肺炎の合併を確認するために胸部X線検査(レントゲン検査)を行います。慢性の細気管支炎では胸部CT検査、呼吸機能検査により重症度を確認します。炎症の程度は血液検査で確認します(白血球・CRPの増加)。

治療

細気管支炎の治療は原因により異なります。

RSウイルス、ヒトメタニューモウイルスなどのウイルスに効果的な抗ウイルス薬は存在しないため、対症療法が中心となります。

ステロイド、気管支拡張薬など喘息に準じた治療を行いますが、効果に一定の見解は得られていません。重症の呼吸不全には人工呼吸を行い、患者さん自身の免疫力で回復を待ちます。

マイコプラズマにはマクロライド系の抗生物質を用いながら、必要に応じた対症療法を行います。

びまん性汎細気管支炎には、マクロライド系抗生物質を少量で数年間内服します。閉塞性細気管支炎も確立された治療はなく、炎症を抑え症状を軽減させます。