さいきかんしえん

細気管支炎

最終更新日:
2022年12月16日
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2022/12/16
更新しました
2017/04/25
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概要

小児に起こる細気管支炎とは、主にRSウイルスなどへの感染によって細気管支に炎症を引き起こす病気のことです。2歳未満の乳幼児によくみられ、発症すると発熱、咳、鼻水などの軽いかぜ症状が現れます。数日経過すると症状が強くなり、呼吸困難を引き起こすケースもあります。自然に改善していくことも多いですが、重症な場合には入院治療が必要になることもあります。

一方、成人に起こる細気管支炎はまったく別の病気です。具体的には、細気管支に慢性的な炎症が生じて咳や痰、息苦しさなどが現れる“びまん性汎細気管支炎”や、細気管支の炎症と壁の肥厚・硬化よって細気管支内腔が細くなり、呼吸困難が引き起こされる“閉塞性細気管支炎(へいそくせいさいきかんせいえん)”などが挙げられますが、いずれもはっきりした原因は分かっていません。

原因

細気管支炎にはいくつかのタイプがありますが、もっとも多いのはRSウイルスやライノウイルス、アデノウイルスなどに感染することによって発症する“急性細気管支炎”です。一方、上述した成人発症の“びまん性汎細気管支炎”や“閉塞性細気管支炎”は現在のところはっきりした原因は分かっていません。しかし、びまん性汎細気管支炎は人種によって発症率が大きく異なることから、遺伝的な要因などが関係していると考えられています。東アジアに多いとされていますが、国内でも近年発症率が明らかに減ってきているので環境要因も関係があるかもしれません。

また、閉塞性細気管支炎は免疫の異常が原因の1つと考えられており、血液幹細胞移植や臓器移植手術を受けた後の方や、関節リウマチなどの自己免疫疾患のある方の発症率が高いとされています。さらに、マイコプラズマ感染症などの既往や、有毒ガスの吸入なども発症に関与していると考えられています。

症状

細気管支炎の症状は、病気のタイプによって大きく異なります。

乳幼児によくみられる感染症が原因の細気管支炎は、微熱・咳・鼻水などの軽いかぜ症状から始まり、数日経過すると細気管支に炎症が及ぶことで咳が強くなり、ゼイゼイとした呼吸をするようになります。そしてさらに悪化すると、呼吸がしにくくなり、嘔吐や脱水などを伴うこともあります。特に生後2か月未満では短時間呼吸が止まることがあるため注意が必要です。

一方、成人に発症するびまん性汎細気管支炎や閉塞性細気管支炎は、上述したような急激な症状の悪化はありません。しかし、細気管支の慢性的な炎症と壁の変化によって細気管支が狭くなり息苦しさを自覚するようになります。また、咳や痰が持続するのも特徴であり、進行すると感染症にかかりやすくなるのも特徴です。ただし、閉塞性細気管支炎では痰がないこともまれではありません。

検査・診断

細気管支炎が疑われるときは以下のような検査が行われます。

血液検査

炎症の程度や脱水の有無などを評価するために血液検査を行います。

画像検査

肺や細気管支の状態を詳しく評価するため、X線やCTによる画像検査が必要となります。特にびまん性汎細気管支炎や閉塞性細気管支炎では特徴的な異常がみられるため、診断に必須の検査です。

呼吸機能検査

びまん性汎細気管支炎や閉塞性細気管支炎では、呼吸機能の低下がみられるため、呼吸機能の状態を評価するために呼吸機能検査を行います。

ウイルスや細菌を同定する検査

細気管支炎の原因を調べるため、咽頭(いんとう)拭い液(鼻の奥を綿棒で擦って採取する液体)や痰などを用いてウイルスや細菌を同定する検査が行われます。

乳幼児に多い急性細気管支炎の多くはRSウイルスが原因であり、現在では迅速にRSウイルスの有無を調べることができる検査キットが広く使用されています。

治療

細気管支炎の治療はタイプによって異なりますが、急性細気管支炎の場合は有効な抗ウイルス薬がないため症状を緩和する治療が主体となります。具体的には、解熱剤や気管支拡張薬などを用いた薬物療法、呼吸困難に対する酸素投与、脱水に対する輸液などが必要に応じて行われます。

一方、原因がはっきり分かっていないびまん性汎細気管支炎は、マクロライドと呼ばれる種類の抗菌薬を通常より少ない量で長期間投与する治療が行われます。また、閉塞性細気管支炎では、狭くなった気管支を広げるために気管支拡張薬の吸入を行うのが一般的です。しかし、びまん性汎細気管支炎はマクロライドの長期投与によって症状の改善が見込めますが、閉塞性細気管支炎は症状が徐々に進行することも多く、呼吸困難が強い場合は在宅酸素療法や肺移植が必要になる場合もあります。

予防

急性細気管支炎はウイルス感染による病気であり、特に冬から春にかけて流行します。流行している時期は特に手洗いや消毒などの基本的な感染対策を徹底し、不要な人ごみへの外出は避けるようにしましょう。

びまん性汎細気管支炎や閉塞性気管支炎は、はっきりした発症メカニズムが解明されていないため予防法もないのが現状です。しかし、これらの病気は進行すると重篤になるため、長引く咳・痰や息切れなどの症状があるときは早めに医師に相談しましょう。

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