インタビュー

子どもがかかる病気とその治療⑤ 食物アレルギー・アナフィラキシー・アレルギー性紫斑病・貧血・川崎病など

子どもがかかる病気とその治療⑤ 食物アレルギー・アナフィラキシー・アレルギー性紫斑病・貧血・川崎病など
五十嵐 隆 先生

国立研究開発法人国立成育医療研究センター 理事長

五十嵐 隆 先生

この記事の最終更新は2016年09月06日です。

特定の食物をとったあとに、体を守る免疫学的なしくみが過剰に反応し、皮膚粘膜や呼吸器、消化器などで、体にとって不快な症状を起こすものです。治療の原則は、原因食物の除去です。

食物アレルギーは、卵、牛乳、小麦など特定の食品を飲食したときや、それらを含むものに接触したときに、体を守る免疫学的なしくみが過剰に反応して、じんましん、鼻水、くしゃみ、せき、ゼーゼー、下痢、嘔吐、アナフィラキシー(ショック状態)などの症状を引き起こすものです。年齢とともに治ることが多いのですが、成人まで続くこともあります。

治療の原則は原因食物の除去ですが、除去しすぎると成長に障害が起こることもあるため、医療機関で行う食物を使った試験で正確に診断したら、低アレルゲン食品などを利用して必要最小限の除去にすることが大切です。最近、専門施設では経口免疫療法(食物負荷試験で症状が出るギリギリの量がわかれば、医師の監督のもと、原因となる食物を少しずつとり、徐々にその量を増やしていき、その食物に対して耐性をつけていく治療法)という試みも行われています。

(狩野博嗣 先生)

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アレルギーの原因物質が体に入りショック状態となり、生命に危険が及ぶような過敏反応のことで、食物アレルギーによるものが多いです。第一の治療はアドレナリンの筋肉注射です。

アナフィラキシーは、アレルギーの原因物質が体に入ることにより、脈が速くなる、血圧が低くなる、ぐったりする、意識を失うなどのショック状態となり、生命に危険が及ぶような過敏反応のことです。典型的なものでは原因物質が体に入って数分以内に症状が出ますが、30分以上たってから現れたり、その両方の時間帯で現れる場合もあります。

原因は食品、薬、昆虫、ラテックスなどですが、食物アレルギーによるものが最も多いです。ある特定の食物と運動の組み合わせで起きる場合もあります。治療は、アドレナリンの筋肉注射、抗ヒスタミン薬、ステロイドを含む輸液、必要に応じて呼吸循環管理など急いで全身管理を行うことが重要です。

(狩野博嗣 先生)

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子どもに起こりやすい全身の血管炎です。おもな症状は紫斑(しはん)や腹痛、嘔吐、関節痛です。血尿やタンパク尿を引き起こす急性腎炎ネフローゼ症候群を合併することがあります。

アレルギー性紫斑病は、溶連菌(ようれんきん)やマイコプラズマの感染や、薬剤などが引き金となり、異常な免疫反応が起こって発病する全身の血管炎です。血管性紫斑病、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病とも呼ばれます。通常は体を守ってくれるIgAという抗体が異常に多く作られ、集まったIgAが血管の壁につくことで血管に炎症が起こります。

おもな症状は、皮膚の出血斑(しゅっけつはん)(内出血)、腹痛や嘔吐、関節痛です。血尿やタンパク尿を引き起こす腎障害の合併も見られます。治療は安静にすること、止血薬の投与などですが、腹痛が強い場合は絶食や補液(水分や電解質などを点滴によって体に投与する治療法)、ステロイドによる治療を行うこともあります。腎障害を合併した場合は長期間の観察が必要です。

(滝田順子 先生)

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血液中の血小板が減少したために、出血しやすくなる病気です。病気になり6カ月以内に血小板の数が正常まで回復する急性型と、6カ月以上減少した状態が続く慢性型に分けられます。

血小板減少性紫斑病とは、血小板が減少することによって、出血しやすくなる病気です。ウイルスなどに感染したときに、自分の血小板に対して自己抗体ができてしまい、その後血小板が壊されることが原因と考えられています。おもな症状は、皮膚の出血斑(しゅっけつはん)(内出血)、歯ぐきからの出血、鼻血や血便などです。

まれに脳出血など重い症状を起こします。血小板減少の程度が軽く、重い出血症状がなければ、安静にして経過観察をします。血小板数が極端に少ない場合(1万/μL以下)は、血小板が破壊されるのを防ぐために、免疫グロブリンやステロイドによる治療を行います。慢性型ではピロリ菌の除菌を行うこともあります。

(滝田順子 先生)

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血液中の赤血球やヘモグロビンが足りなくなって体中に酸素がいき渡らなくなり、いろいろな症状が起こる病気です。経過がゆっくりで、気づかれないうちに進行していることがあります。

貧血とは血液中の赤血球やヘモグロビンが減少する病気です。貧血によって体中の酸素が足りなくなり、顔色が悪い、不機嫌、元気がない、体重が増えない、などの症状が起こります。年長児では動悸、息切れ、頭痛などで気づかれることもあります。

また鉄欠乏性貧血では、口角炎口内炎ができたり、爪が反り返ってスプーン状になることがあります(匙状爪 さじじょうつめ)。子どもの貧血の大部分は鉄欠乏、慢性炎症、悪性腫瘍によるものですが、出血や赤血球が壊れる〝溶血(ようけつ)〟も原因となります。治療はさまざまで、鉄欠乏性貧血の場合、食事療法や鉄剤の投与を行います。出血や悪性腫瘍による貧血では輸血を行うこともあります。

(滝田順子 先生)

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高熱が続き、体のいろいろな部分が赤くなり、首のリンパ節が腫れて痛くなる病気です。まれに冠動脈が太くなることがあるため、入院治療を行います。退院後も経過観察が必要です。

① 5日以上の発熱
② 両目の白い部分が赤くなる
③ 唇や口の中が赤く、イチゴ舌になる
④ 胸やおなかに発疹が出る
⑤ 手がパンパンに腫れて赤くなり、そのあと爪と皮膚の境から皮がむける
⑥ 首のリンパ節が腫れて痛い

という症状のうち、5つそろうと、川崎病と診断されます。

原因は不明です。まれに心臓の筋肉に栄養を送る冠動脈が拡大したり、こぶ状になったりします。子どもの心筋梗塞の原因として最も多いものです。通常、免疫グロブリンを静脈注射する治療を行いますが、約1〜2割は無効です。無効な場合の治療法は決まっていません。冠動脈の変化が起こった場合は、退院後も薬の服用、経過観察が必要です。

(賀藤均 先生)

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先天性心疾患は、生まれつきの心臓と大動脈、大静脈の病気です。たくさんのタイプがあるため、軽症から重症までとさまざまです。治療法は、専門医と相談して決めていきます。

先天性心疾患は、生まれたときに心臓、大動脈、大静脈に構造の異常が起こっている病気です。赤ちゃん約100人に1人の割合で起きます。先天性心疾患といっても、たくさんの種類があります。健診制度が整っている日本では、心房中隔欠損症(しんぼうちゅうかくけっそんしょう)以外は1歳までに発見されています。

重症度は、治療を必要としない程度から、生まれて2週間以内に手術を必要とする場合までさまざまです。治療が必要ない場合でも外来通院は必要です。最近では、一部の病気にカテーテルという細いを利用した治療も可能となっています。手術をしても完全に治ると言えないこともあります。手術後のことは主治医とよく相談することが必要です。

(賀藤均 先生) 

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