0歳から4歳の人口10万人中300人以上の子どもが罹患している「川崎病」。この罹患率は、成人の疾患と比較すると心不全やがんの罹患率の3分の1に近く、非常に高い数値であるととらえられます。なぜこれほどまでに多くの子どもたちが川崎病にかかっているのでしょうか。川崎病の原因として考えられるものには何があるのか、東邦大学医療センター・大森病院小児科教授の佐地勉先生にお伺いしました。
川崎病が発見されてから約50年が経ちますが、その原因は依然として「不明」とされています。しかし、原因解明のための研究は現在進行形で進められており、その中で次のようなことが関与しているのではないかと考えられるようになりました。
ひとつはその子の「体質」、すなわち「遺伝学的な背景」です。具体的には、川崎病にかかりやすい体質や罹患したときに重症化しやすい体質、また、川崎病の治療薬として最も広く使われている「免疫グロブリン製剤」が効きにくい体質などがあると考えられます。
調査が進み、現在遺伝学的背景は徐々に解明されはじめています。(1)どのような遺伝子を持っていると川崎病に罹患しやすいか?(2)重症化しやすい人とは?(3)標準的な治療薬では効果が得られないと思われる人とは?-このようなことがわかれば、その人の体質(遺伝子情報)に合わせた治療、すなわち「テーラーメード医療」も可能になるでしょう。遺伝子学的な検査が治療に活かせるようになれば、患者さん各々にとってより適切な治療法を早期段階で選択できるという期待をもって、さらなる調査を進めているところです。
川崎病は、前項で述べた遺伝子学的背景に「環境因子」が加わることで発症すると考えられます。環境因子とは、病気の引き金となるウイルスや細菌のことなどを指します。これまでに川崎病の環境因子として、30~40種類ほどのウイルスや細菌が候補にあげられてきました。しかし、エビデンス(医学的根拠)を得るために繰り返し慎重に追試を行ったところ、確証を持って報告できるような結果は得られませんでした。川崎病を引き起こす環境因子は細菌なのかウイルスなのか、また、それらが複数種類重なることで発症するものなのか、そうであれば何が何種類どのように組み合わさることで発症するのか、様々な視点をもって引き続き検証を行っていく必要があります。
先の項目ではウイルスや細菌について触れました。しかし、川崎病は、流行年などは存在するものの、「伝染(感染)する病気」ではありません。兄弟姉妹で発症する率も決して高くはなく、同じ部屋で過ごしていたり、一緒に遊んでもうつることはない病気なのです。
川崎病の全国調査は1970年に始まりました。患者数の年次推移に目を向けると、1990年代には毎年1万人以下であった患者数は、2005年以降毎年1万人を超えるようなり、最も新しい2015年のデータでは、以下のような数値が示されています。
この推移だけをみると、川崎病が何らかの原因により増加しているようにみえてしまうかもしれませんが、それは違います。患者数が増えた主な理由は、川崎病の認知度が広がり、小児科医という専門医が直接川崎病をみる機会が増えたからであると私は考えます。過去に比べ、小児科医以外の医師が子どもの病気をみるケースは減りました。
これに加え、典型的な6症状が揃わない川崎病(不全型や不定形例の川崎病)も診断できるよう、現在学会で啓蒙活動を行っています。このように、適切な科で患者さんをみる機会が増えたこと、症状の数が揃わなくとも不全型や非典型例と呼ばれる川崎病であると診断をつけられる医師が増えたことが、最大の理由であると考えます。
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