概要
川崎病とは、乳幼児期に好発する小児の代表的な後天性心疾患です。毎年1万人以上の子どもがかかっているといわれています。発熱や目の充血、唇の発赤、発疹など特徴的な症状が現れます。
重篤な合併症である冠動脈瘤が残ると、冠動脈内の血栓形成予防として長期的な内服薬の使用や、心臓の状態によっては運動制限などが必要となる場合があります。
原因
川崎病は遺伝学的な因子や環境因子などが複雑に関与していると推定されていますが、原因が完全に解明されているわけではありません。
また、病気の引き金となるウイルスや細菌など環境因子も発症に関与していることが推定されています。しかし、発症の原因となる単一のウイルスや細菌が特定されているわけではありません。
症状
川崎病で見られる症状は、そのまま診断の参考にもなります。
- 発熱
- 両側眼球結膜の充血
- 口唇の赤み・いちご舌(舌にいちごのようなツブツブができる)、咽頭の発赤
- 発疹(形状や大きさ、場所が定まらない赤味を帯びた発疹、BCG接種痕の発赤)
- 四肢の変化(手足が紅くなりパンパンに腫れる、指先から膜様に皮がめくれる)
- 首のリンパ節腫脹
これら6つのうち5つ以上当てはまる際に、川崎病と診断されます。ただし、実際にはこれらの症状がそろわないことも少なくないため、診断が難しいケースもあります。
また、心臓を栄養する冠動脈という血管に変化が生じることもあります。最終的には冠動脈瘤と呼ばれる心臓の合併症を起こすことがあるため、慎重に症状を見極めつつ診断し、早期に治療をおこなうことが求められます。
検査・診断
川﨑病は、原因が完全に解明されているわけではないため、特定の検査項目によって診断されることはありません。臨床の経過からみられる症状をもとにして診断されます。また、いかに心臓の合併症を残さないかが重要であるため、定期的に心エコー検査がおこなわれます。心エコー検査で冠動脈の大きな変化が確認できる場合には、心臓カテーテル検査などでさらに詳しく調べる場合があります。
治療
心臓に対しての合併症(特に冠動脈瘤)を残さないことを目的として治療をおこないます。国際的に広く行われている標準治療は、免疫グロブリンを大量に静脈から点滴投与する“大量免疫グロブリン静注療法”と呼ばれるものです。こうした治療に加えて、血栓(血の塊)ができるのを防いだり、血管の炎症を抑えたりする薬(アスピリン)の内服も同時に行います。日本では、重症の川崎病には病初期から炎症を抑える作用をもつステロイドまたはシクロスポリンを免疫グロブリン静注療法と併用することも行われるようになりました。
こうした標準治療に反応がなかった場合は、免疫グロブリンの再投与、インフリキシマブ、シクロスポリン、血漿交換などが選択肢になりえます。どの方法を選択するかは、病状や副作用などを加味しながら決定されます。
急性期の治療が奏功せずに冠動脈瘤の形成を残した場合には、抗血栓療法が必要となります。
医師の方へ
川崎病の詳細や論文等の医師向け情報を、Medical Note Expertにて調べることができます。
「川崎病」を登録すると、新着の情報をお知らせします
「川崎病」に関連する記事
関連の医療相談が10件あります
MIS-Cとは。今後の留意点を教えて下さい。
離れて暮らす娘の6歳の子供、一月前にコロナに罹り、回復。先週末から40度の高熱。今朝、総合病院に連れていき入院しました。主治医は川崎病の疑いと。心臓に病変は見られなかったようです。点滴治療をしています。 ネットでMIS-Cを見ました。川崎病類似のコロナ合併症とありました。詳しくお教え下さい。また、今後の留意点も聞かせて頂きたく宜しくお願い致します。
疲れが抜けにくいことへの対処について
ここ数年、寝ても疲れが取れず、休みの日はあまり活動的になれない状態が続いています。 予定があるときや平日の仕事では動くのですが、疲労感が絶えず継続している感覚です。 特定の部位で不調があったり症状があるという感じではないのですが、あえて言えば全身の慢性的な疲労感、倦怠感という感じなのですが、こういうことでも受診した方がいいのでしょうか。 また受診する場合、このような目立った症状がないようなケースでは何科にかかればよいのでしょうか?
目の充血の継続
目の充血が、治りません。眼科を受診し、ドライアイとの診断で、目薬、目のシャンプーも使用しています。寝る前に目を温めることもしています。起床時、仕事でのパソコン使用後は特に充血が酷く、目がゴロゴロする感じもします。今まで2件病院には通いましたが、どちらもドライアイとの診断でした。充血を治したいのですが、また別の病院に行った方がいいのでしょうか?
BCG痕が赤くなっています。
今日の夕方頃より鼻水が出てくるようになり、体調があまり良くなかったため、18時30分頃に体温をはかってみると、37.0〜37.4℃と少し高めでした。食事後、20時30分頃に熱をはかってみると36.8℃で、体温は少し落ち着いていました。その後お風呂に入ろうとしたときに、BCGの痕が赤くなっていることに気付きました。BCGの予防接種をしたのは、2019年の2月22日です。川崎病などが心配なのですが、すぐに病院を受診した方がいいでしょうか。
※医療相談は、月額432円(消費税込)で提供しております。有料会員登録で月に何度でも相談可能です。
川崎病を得意な領域としている医師
-
-
若年性特発性関節炎
- 生物製剤・免疫抑制薬等による治療
-
全身性エリテマトーデス
- 免疫抑制薬・生物製剤等による治療
-
川崎病
- 生物製剤・免疫抑制薬・血漿交換療法による治療
-
ネフローゼ症候群
-