編集部記事

お母さんお父さんに知ってほしい、川崎病に特徴的な6つの症状とは

お母さんお父さんに知ってほしい、川崎病に特徴的な6つの症状とは
寺井 勝 先生

千葉市立海浜病院 小児科 、千葉市病院 前事業管理者

寺井 勝 先生【執筆】

目次
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毎年15,000人以上の乳幼児がかかり、年々患者数が増加している原因不明の病気“川崎病”。川崎病は発熱から始まり、目の充血や口唇の赤み、いちご舌、盛り上がった発疹(ほっしん)などが起こるほか、ときに心臓の合併症を引き起こすこともあります。そのため、症状に気付いた段階で早めに医療機関を受診することが重要です。

川崎病とは、4歳以下の乳幼児に多くみられる原因不明の病気です。1967年に川崎(かわさき) 富作(とみさく)博士が世界で初めて報告したことで川崎病と呼ばれるようになりました。

川崎病では、全身の血管に炎症が起こることで、発熱や目の充血、口唇の赤み、発疹などの症状がみられます(詳しい症状については後述します)。また、約2%の方に冠動脈(心臓に血液を供給している血管)に炎症が起こることによる、“動脈瘤(かんどうみゃくりゅう)”という心臓の合併症がみられます。冠動脈瘤ができると、冠動脈が狭くなる狭心症や、完全に詰まってしまう心筋梗塞などを引き起こす恐れがあります。

川崎病の原因はまだ明らかにはなっていません。世界中であらゆる人種の子どもたちがかかる病気ですが、なかでもアジア人に多い特徴があります。

日本では1979年、1982年、1986年に全国的な流行がみられ、その後1995年頃から患者数は年々増加傾向にあります。少子化により子どもの数は減少しているにもかかわらず、2018年の全国統計(第25回川崎病全国調査成績)では、これまででもっとも多い17,364人であったことが分かっています。

2019年に改訂された日本川崎病学会が発行の『川崎病診断の手引き』によると、川崎病の特徴的な症状は、以下の6つに大別されます(表)。

川崎病の主要症状

多くの場合は突然の発熱から始まり、その後数日のうちにそのほかの症状が出現します。

しかし、年長児の場合には発熱よりも頸部痛(けいぶつう)頸部リンパ節腫脹が先に出現することがあり、その時点では化性の頸部リンパ節炎や流行性耳下腺炎おたふく風邪)と診断されることもあります。

川崎病の主要症状

両目の白い部分(眼球結膜)が赤く充血します。

唇が真っ赤になる、舌がいちごのようにブツブツになる“いちご舌”、口腔内の粘膜部分全体が赤くなるなどの症状が現れます。

体幹や両手両足に盛り上がった発疹が出現します。また、BCG接種部分が赤くなったり腫れたりすることも川崎病の特徴的な症状です。

急性期

手足の硬性浮腫(こうせいふしゅ)、手のひらや足の裏の紅斑がみられます。硬性浮腫とは、指で押しても跡が残ったりへこんだりしない浮腫(むくみ)のことを指します。川崎病の硬性浮腫は血液中に存在するアルブミンなどの血漿(けっしょう)たんぱくが血管外に漏れ出ることで生じ、痛みを伴うことが特徴です(図2)。そのため、言葉で痛みを訴えられない乳児では不機嫌な状態が続きます。

浮腫の病態生理:心不全と川崎病の違い

回復期

治療によりほかの症状が治まってくる段階で、手や足の指先の皮がめくれる膜様落屑(まくようらくせつ)がみられます。

頸部(首の部分)のリンパ節に、化膿を伴わない腫れが見られます。

2019年に日本川崎病学会が『川崎病診断の手引き 改訂第6版』を発行しています*。この手引きによれば、先述した川崎病の6つの主症状のうち、5つ以上の症状があれば川崎病と診断されます。主症状のうち該当する症状が4つしかない場合であっても、心臓超音波検査(断層心エコー検査)で冠動脈に何らかの変化を認め、川崎病以外の病気が除外された場合には川崎病と診断されます。

また、これらの条件を満たしていなくても、ほかの病気である可能性が除外され川崎病と疑われる要素が見られる場合は、“不全型川崎病”として川崎病と同じように治療を進めていくケースもあります。

*日本川崎病学会HPを参照

川崎病診断の手引き 改訂第6版 作成の目的、経緯と変更点:http://www.jskd.jp/info/tebiki.html

川崎病診断の手引き 改訂第6版 本文:http://www.jskd.jp/info/pdf/tebiki201906.pdf

川崎病は、毎年多くの乳幼児がかかっている病気です。決してめずらしい病気ではなく、ときに心臓に合併症をきたす恐れもあるため、川崎病の特徴的な症状を知っておくことはとても大切です。

もし、お子さんに川崎病が疑われる症状が見られる場合には早急に小児科を受診し、気になることがあれば医師に伝えるようにしましょう。

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