冠動脈瘤などの危険な合併症を引き起こさないためには、典型的な症状を知り、お子さんが川崎病かもしれないと感じたときにはすぐに小児科を受診することが大切です。では、ご家庭でも判断できる川崎病の典型的な症状にはどのようなものがあるのでしょうか。東邦大学医療センター・大森病院小児科教授の佐地勉先生に、画像とともにご解説いただきました。
まずは、川崎病の主要症状とされる6つの症状をみていきましょう。下記に記す症状は、発病後数日以内に現れることがほとんどです。この6つのうち、5つ以上の症状を伴っていれば川崎病であると診断されます。
(画像提供:日本川崎病学会 http://www.jskd.jp/index.html)
最初に現れることの多い症状が、前触れのない急な「発熱」です。特に38~39度以上の高熱が続く場合は注意しましょう。
白眼の部分が赤く充血します。画像のように、血管1本1本の走行がみえることが川崎病における結膜充血の特徴です。また、目やにがほとんど出ないという特徴もあります。
上の画像のように舌が真っ赤になり、プツプツとした状態になる「いちご舌」は川崎病の特徴的な症状のひとつです。口の中の粘膜部分全体が真っ赤になり(びまん性発赤)、くちびるが割れて出血することもあります。
形状や大きさや場所が定まらない、赤味を帯びた発疹が全身に現れます。上記の画像は一例であり、患者さんそれぞれで現れる発疹の形は異なります。
【急性期】手足の硬性浮腫(こうせいふしゅ)、掌蹠(しょうせき)ないしは指趾先端の紅斑
急性期とは症状が最も激しく現れる時期のことで、川崎病の場合は発病から約10日間の期間を急性期といいます。この時期、手足などがむくみ、上記画像のように紅斑(皮膚表面の発赤)がみられることがあります。皮膚がかたく「ぱんぱん」「てかてか」で張り、指で押してもへこまない・跡が残らないといった特徴があります。
【回復期】指先からの膜様落屑(まくようらくせつ)
熱が下がり、ここまでに挙げてきた症状がおさまる回復期(発病後約10日目から1か月後)に入ると、爪と指の間から皮がめくれる「膜様落屑(まくようらくせつ)」という症状がみられることがあります。
他の主要症状に比べると発現頻度は高くありませんが、約65%の頻度で急性期に「非化膿性頸部リンパ節腫脹」という、首のリンパ節の腫れがみられることがあります。首のリンパ節が痛みを伴って大きく腫れあがりますが、化膿しないという特徴があります。
主要症状ではありませんが、川崎病に罹患すると上腕にあるBCGの摂取部位に発赤(ほっせき:皮膚が赤くなること)がみられることもあります。
このほか、下痢や腹痛、嘔吐、軽度の黄疸や鼻水なども、川崎病かどうかを見極めるときに留意すべき症状として挙げられます。
川崎病の典型的な6つの症状のうち4つの症状しか認められない場合でも、断層心エコー法や心血造影法で「冠動脈瘤」や「冠動脈の拡大」が確認され、ほかの疾患が除外されたときには「不定形例の川崎病」と診断します。
また、これらに合致していない場合でも、医師が1つ1つの症状から川崎病の疑いありと診断することがあり、これを「不全型の川崎病」と呼びます。不全型川崎病の患者さんのほとんどは、4つないし3つ以上の主要症状が体に現れています。6つの主要症状のうち5つ以上の症状が揃う定型の患者さんは全患者数の78.5%であり、不定形例と不全型を合わせると21.4%、つまり5人に1人の患者さんは症状が揃わずとも川崎病と診断を受けていることになります。
川崎病を早期に発見し、適切な時期に治療を開始するためには、症状の「数」で診断するだけではいけません。川崎病の症状はひとつひとつが特徴を持っています。川崎病は症状が現れてから4~5日目での治療が重要な病気ですから、私たち専門医は常に「疑う」という心構えを持ち、症状が軽度であろうが数が揃わなかろうが、見過ごさずに診断して治療を始めることを最重要視しています。この早期発見・早期治療が、患者さんを冠動脈瘤などの合併症から守ることにも直結します。
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