0歳から4歳の子ども、特に1歳前後の乳幼児がかかりやすい病気のひとつに「川崎病」があります。39度以上の高熱が数日下がらず、皮膚の発疹や、唇や眼に発赤がみられ、頚(くび)のリンパ腺が腫れる場合、早期に医療機関を受診すべきでしょう。日本をはじめとするアジア諸国に非常に多い病気、「川崎病」とはどのような疾患なのか、東邦大学医療センター大森病院小児科教授の佐地勉先生にお伺いしました。
川崎病は、冒頭でも述べたように4歳以下の子ども、とりわけ1歳前後の乳幼児がかかりやすい病気です。1967年にこの病気を発表した川崎富作博士の名前から「川崎病」と呼ばれるようになり、世界的にも“Kawasaki disease”という名で知られています。
川崎病の正式名称は「小児急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群」といい、その名の通り熱や皮膚・粘膜に現れる症状を主な徴候としています。
川崎病の主な症状には、(1)39度以上の高熱が5日以上続く、(2)唇や口の中といった皮膚の粘膜部分が真っ赤に紅潮する、(3)全身に不定型の発疹が出る、(4)首のリンパ節が腫れる、(5)白眼が充血する、(6)手足がパンパンに腫れ上がるようにむくむ、といったものがあります。このような症状がお子さんにみられる場合は、「普通の(風邪などによる)発熱」と思わず、重症の感染症や川崎病を疑って早期に小児科を受診すべきでしょう。というのも、川崎病の診断や治療が遅れることで、危険な合併症を併発してしまうこともあるからです。合併症のなかでも特に注意すべきは、心臓へ血液を供給する冠動脈に巨大な瘤(コブ)ができてしまう冠動脈瘤(かんどうみゃくりゅう)です。
幼少期に冠動脈に巨大瘤ができてしまった場合、その患者さんは概ね成人後も薬の内服治療や定期検診を受け続けることになります。また、瘤内部に血栓が形成されたり、瘤の前後で狭窄(血管が狭くなること)が生じてしまい心筋への血流が悪化してしまうため、狭心症や心筋梗塞といった命に関わる虚血性心疾患を引き起こしてしまう危険性もあります。ですから、川崎病の治療の際には川崎病自体の症状を抑えるだけでなく、患者さんに合併症を残さないよう、専門医のいる高次機能病院で慎重に管理していく必要があります。
川崎病の全国調査は1970年以来、2年に1度行われています。2015年に実施された最新の調査である「第23回川崎病全国調査成績」によると、患者数は次のように報告されています。
このように、川崎病は毎年1万人以上の子どもが罹患している見過ごせない病気です。0歳から4歳の子どもの人口10万人あたりの罹患率は、2014年には308.0人にのぼり、調査が始まって以来最も高い数値を記録しました。この数字がどれほど高いものなのか、成人の有名な疾患の罹患率と比較してご説明します。
たとえば、成人の心不全の有病率は人口10万人あたりおよそ900人ほどといわれています。また、日本人の国民病であるがんの罹患率は、10万人中男798人、女541人(2011年:年齢によって異なる)ほどと報告されています。このような有名な疾患の有病率や罹患率と比較すると、その約3分の1にものぼる川崎病の罹患率がいかに高いか、つまり、いかに多くの子ども達が川崎病にかかっているのかということがおわかりいただけるでしょう。次の記事以降では、川崎病の原因や特徴的な症状、治療法や合併症について、より具体的にお話ししていきます。
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目の充血が、治りません。眼科を受診し、ドライアイとの診断で、目薬、目のシャンプーも使用しています。寝る前に目を温めることもしています。起床時、仕事でのパソコン使用後は特に充血が酷く、目がゴロゴロする感じもします。今まで2件病院には通いましたが、どちらもドライアイとの診断でした。充血を治したいのですが、また別の病院に行った方がいいのでしょうか?
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