【インタビュー】

クリップする
URLを入力して
記事をクリップしましょう
指定された URL のページが見つかりません
S664x430 e0378fb7 1d63 466a 9665 cd2e18e65d8a
川崎病の治療法と入院期間、退院後の継続治療について
お子さんに長引く発熱や皮膚粘膜の発赤(赤くなること)、全身の発疹など、特徴的な症状がいくつか現れた時点で、小児科医は「川崎病」と確定診断し、すぐに治療を開始します。川崎病の治療にはどのような方法...
クリップに失敗しました
クリップ とは
記事にコメントをつけて保存することが出来ます。検索機能であとで検索しやすいキーワードをつけたり、読み返し用のメモを入れておくと便利です。
また、記事を読んで疑問に思ったこと、わからないことなどをコメントに書き、「医療チームのコメントを許可する」を選んで頂いた場合は、医師や看護師が解説をメールにてお送りする場合があります。
※ クリップ内容は外部に公開されません

川崎病の治療法と入院期間、退院後の継続治療について

公開日 2016 年 02 月 24 日 | 更新日 2017 年 05 月 08 日

川崎病の治療法と入院期間、退院後の継続治療について
佐地 勉 先生

東邦大学医学部 心血管病研究先端統合講座 教授

佐地 勉 先生

お子さんに長引く発熱や皮膚粘膜の発赤(赤くなること)、全身の発疹など、特徴的な症状がいくつか現れた時点で、小児科医は「川崎病」と確定診断し、すぐに治療を開始します。川崎病の治療にはどのような方法があるのでしょうか。また、お子さんの入院期間は平均何日程度になるのでしょうか。東邦大学医療センター大森病院小児科教授の佐地勉先生にお伺いしました。

川崎病の治療には二つの目的がある

川崎病の治療には大きく二つの目的があります。ひとつは急性期の強い炎症反応を早期に抑えること、もうひとつは心臓に血液を供給する血管である冠動脈に瘤(こぶ)を残さないことです。

川崎病の主要な6症状のうち5つの症状がみられ、診断が確定した場合は、できれば経験の多い高次機能病院に入院してもらい、治療を行っていくことになります。

不定形例や不全型の川崎病では、症状が4つないし3つ揃った時点で診断を下します。稀に、症状が2つ以下でも川崎病であると診断できることもあります。

このように、川崎病は症状がある程度揃わなければ診断できない疾患であるため、患者さんが発病してから入院するまでにかかる期間は平均すると4日程度になります。4日で診断できたときは、その日のうちに治療を始めますので、「4.5日目で治療開始」とイメージしていただくとわかりやすいでしょう。中には症状の数がしっかり揃うまで待とうと考える医師もいますが、川崎病の合併症である冠動脈瘤は後遺症として残りかねないものですので、疑いを持った時点で「待つ」という行為を選択することは危険であると世界的にもとらえられています。繰り返しになりますが、川崎病は症状の「数」で診断するのではなく、症状ひとつひとつが持っている「特徴」を見極めて的確に診断し、早期に治療を始めることが重要な疾患です。

ガンマグロブリン療法(免疫グロブリン療法)が主流

川崎病に対する治療法のうち、現時点で最も効果が高いとされているのが「ガンマグロブリン療法(免疫グロブリン療法)」です。現在、川崎病の患者さんのうち95%以上の方が「静注用免疫グロブリン製剤」による治療を受けています。これは、点滴により静脈内に免疫グロブリン製剤を投与することで、全身の炎症を抑え、冠動脈瘤が形成されるのを防ぐというものです。1回に投与する免疫グロブリンの量や投与日数は様々ですが、通常は1~2日かけてゆっくりと静脈内へと投与していきます。しかし、一定の割合で免疫グロブリンが効かない患者さんが存在しており、そのような方は再度発熱してしまったり、合併症を残しやすいということがわかっています。現在、このような方に対する新しい治療デザインの開発・研究を国の機関や全国の大学病院、こども病院と共に進めているところです。(詳細は記事6「川崎病の合併症に関する最新研究-後遺症ゼロを目指して」へ)

ガンマグロブリン療法の副作用は?

免疫グロブリン製剤の投与後1時間以内に、下記のような副作用が現れることがあります。副作用がみられるときは、薬の投与を中止したり投与の速度を調整します。

【起こりうる副作用とは】

稀にショックやアナフィラキシー様症状(血圧が下がる/呼吸がしにくい/胸が苦しい/脈が速くなるなど)を起こすことがあります。

このほか、発熱、発疹、じんま疹、かゆみ、局所のむくみ、吐き気、嘔吐、さむけ、ふるえ、肝機能障害(疲れやすい、食欲がわかないなど)、腎臓の障害(尿の出が悪くなる)などの副反応がみられることがあります。また、約1%の頻度で、無菌性髄膜炎や急性腎不全、血小板減少症などの合併症がみられます。

もう一つの治療法、アスピリン療法について

アスピリン療法は、最も歴史の深い川崎病の治療法です。これは、炎症を抑えて血栓の形成を防ぐために、血液を固まりにくくする「アスピリン」を服用するというものです。軽症の場合はアスピリンの服用だけで症状がよくなることもありますが、ほとんどの場合はガンマグロブリン療法と併用して用いられます。

川崎病の入院期間は約1週間、再び熱が出た場合は10日間

入院期間は施設により差がありますが、東邦大学医療センターでは、治療が順調に進めば約1週間で退院となります。しかし、川崎病の患者さんのうちおよそ3人に1人はガンマグロブリン不応の重症例※で、一度熱が下がった後に再び熱を出してしまいます。(※ガンマグロでブリン不応例:川崎病の最も有効な治療薬とされるガンマグロブリンを投与してもよい反応が得られない体質のこと。)このような患者さんの場合は入院期間が少し長引き、約10日程度となります。しかしながら、私たち小児科医の基本方針は、「お子さんを1日でも早く親御さんと過ごさせること」ですので、血液検査などをしたうえで上記のような心配がないとある程度判断できれば、なるべく早く退院させられるよう心掛けています。

退院後も数か月は外来で定期検診を

合併症などが起こらず順調に退院できたときでも、その後の2~3か月(回復期・遠隔期)は継続して薬を内服していただき、2、3週間に1度は外来で変わった様子はないかどうか診る必要があります。その後は半年~1年に1度の定期検診のみ受けていただくこととなり、後遺症などがなければ運動も制限なく行うことができるようになります。多くのお子さんは退院後2~3か月を過ぎた頃から運動を再開されています。

 

東邦大学医療センター大森病院小児科にて教授を務める小児科医療の第一人者。特に川崎病や心疾患、肺高血圧症を専門とし、日々診療と研究に尽力している。川崎病に対する新たな治療法の効果を評価するランダム化比較試験“RAISE Study”の研究代表者であり、同研究は2012年に世界的権威のある医学雑誌『ランセット』(The Lancet)に掲載され、現在世界中から注目を集めている。

関連記事