クリップする
URLを入力して
記事をクリップしましょう
指定された URL のページが見つかりません
Brain
髄膜炎
脳や脊髄は、髄膜と呼ばれる膜によって保護されており、髄膜と脳・脊髄の間は髄液という液体で満たされています。髄膜炎とは、髄膜および髄液に炎症が生じる病気を指します。 髄膜炎は、主にウイルスや...
クリップに失敗しました
クリップ とは
記事にコメントをつけて保存することが出来ます。検索機能であとで検索しやすいキーワードをつけたり、読み返し用のメモを入れておくと便利です。
また、記事を読んで疑問に思ったこと、わからないことなどをコメントに書き、「医療チームのコメントを許可する」を選んで頂いた場合は、医師や看護師が解説をメールにてお送りする場合があります。
※ クリップ内容は外部に公開されません
脳
更新日時: 2017年04月25日【更新履歴
更新履歴
2017年04月25日
掲載しました。
閉じる

概要

脳や脊髄は、髄膜と呼ばれる膜によって保護されており、髄膜と脳・脊髄の間は髄液という液体で満たされています。髄膜炎とは、髄膜および髄液に炎症が生じる病気を指します。

髄膜炎は、主にウイルスや細菌などに感染することを原因として発症します 。また、悪性腫瘍や自己免疫疾患、薬剤などが原因となって引き起こされることもあります。

髄膜炎を発症すると、長期的な後遺症を残したり死に至ることもあるため、早期の診断と治療が必要です。

原因

髄膜炎は、原因によって大きく感染性と非感染性に分けられます。

感染性

ウイルスや細菌、真菌(カンジダやアスペルギルスなど)、結核などが原因となります。

ウイルス性髄膜炎

原因となるウイルスはさまざまですが、夏風邪の代表ウイルスであるエンテロウイルスが大多数を占めます。その他、おたふく風邪の原因ウイルスであるムンプスウイルスや、性感染症を引き起こすヘルペスウイルス(特に2型)やHIVなどのウイルスがあります。また、予防接種に導入されている日本脳炎の原因ウイルスも髄膜炎を発症させることがあります。

性感染症を引き起こすヘルペスウイルスやHIVウイルスに伴う髄膜炎は、他のウイルスによる髄膜炎よりも治療が難しいことがあり、より慎重な対応が必要です。

細菌性髄膜炎

ウイルス性に比べ頻度はまれですが、合併症が発生したり、死亡に至ることが多いとされています。細菌性髄膜炎の特徴は、年齢に応じて原因となる細菌が異なることです。

新生児は、主に母体の膣を通って出生します。そのため、新生児の髄膜炎は、膣によくみられるB群連鎖球菌や大腸菌などが原因となることが多いです。乳児期中盤以降は、少しずつ行動範囲が広がることから、気道感染の一般的な原因である肺炎球菌やインフルエンザ桿菌(Hib)による髄膜炎が増えてきます。学童期から50歳頃までの髄膜炎は、肺炎球菌が原因となることが多くなっています。さらに年齢を重ねると、大腸菌や緑膿菌といった細菌を原因とする髄膜炎が少しずつ増加します。

成人ではがんの併発や外傷、外科手術などの要素が絡むこともあり、原因となる細菌は小児期と比べて複雑な傾向にあります。

その他

真菌(カンジダ、クリプトコッカス、アスペルギルスなど)や結核等も髄膜炎の原因となりますが、特殊な背景を伴うことが多いです。真菌による髄膜炎は、免疫機能が落ちた状況でみられることが多いです。たとえば、ステロイドを長期に内服している場合や抗がん剤治療を受けている場合などにみられます。結核においても免疫機能との関連性は重要で、免疫力が落ちている状況で髄膜炎を発症しやすくなります。

このほか、ダニに咬まれることで感染するライム病や性感染症のひとつである梅毒など、患者さんの病歴に関連した多くの原因が挙げられます。

非感染性

非感染性の髄膜炎の原因には、以下のものがあります。

  • がん:白血病やリンパ腫など
  • 自己免疫疾患:SLEやベーチェット病など
  • 薬剤:抗生物質や抗けいれん薬、免疫抑制剤など

症状

髄膜炎の主な症状は、以下のとおりです。

  • 頭痛
  • 首の痛み
  • 嘔気
  • 発熱
  • けいれん
  • 発疹

など

これらは、原因を問わず起こる一般的な症状です。

細菌性やウイルス性の髄膜炎では、症状が急激に進行します。一方、結核や真菌による髄膜炎はゆるやかに進行します。特に高齢の方の場合、微熱、性格が変わった、食欲が落ちたなど、症状が非常に軽いこともあります。髄膜炎と気づかれず、年齢による変化だと捉えられることもあるため、積極的に疑う姿勢が大切になります。

原因に応じた特徴的な症状をみることもあります。たとえばエンテロウイルスによる髄膜炎であれば、髄膜炎は手足口病やヘルパンギーナに続いて発症することから、それぞれの病気の症状(手足の発疹、口の中の水ぶくれなど)を同時にみることがあります。またムンプスウイルスが原因であれば、耳下腺が腫れていることもあります。結核や真菌の一部、マイコプラズマが原因であれば、咳や痰などの症状を伴うことがあります。

検査・診断

主に髄液検査と血液検査により診断されます。

髄液検査

髄膜炎は髄液に炎症を起こす病気であるため、背中から針を刺し、髄液を採取する腰椎穿刺検査が行われます。また、原因となっているウイルスなどを特定するために、髄液を用いた培養検査やPCRと呼ばれる特殊な検査が行われます。

血液検査

血液中に原因となっている病原体がいないかどうか確認するために、血液を採取し、培養検査やPCR検査などが行われます。

原因に応じた検査

髄膜炎の原因により、検査は適宜追加されます。結核の場合であれば、IGRAと呼ばれる結核菌への感染を確認する血液検査が行われたり、肺で起こっている病変を確認するための画像検査や喀痰検査が行われたりすることがあります。

真菌感染症では、βDグルカンという血液検査が行われることがあります。また、髄膜以外に真菌が侵入していないかを確認することを目的として、眼底検査や腹部CT、エコーが行われる場合もあります。

画像検査

頭蓋内の圧力が高くなっており、頭部のCT検査により髄膜炎を引き起こしている原因が脳内に腫瘤(しゅりゅう)(こぶ)として確認できる場合もあります。

治療

ウイルス性髄膜炎の治療

ウイルス性の髄膜炎は、多くの場合症状に対する治療が主体となります。発熱や頭痛に対しては解熱鎮痛剤が使用されます。口からの飲食がうまくいかない場合は、点滴による水分補給を行うこともあります。ヘルペスウイルスが原因の場合は、抗ウイルス薬が使用されます。

細菌性髄膜炎の治療

細菌性髄膜炎は、早期の治療が必要です。患者さんの年齢から想定される原因菌に対処できる抗生物質が点滴で投与されます。また、炎症に伴う髄膜の組織破壊を軽減するために、ステロイドが併用される場合もあります。

その他の髄膜炎の治療

真菌や結核による髄膜炎が疑われるときには、抗真菌薬や抗結核薬が使用されます。

髄膜炎の経過中には、さまざまな合併症を生じることがあります。たとえばけいれんを起こしたときには、抗けいれん薬が使用されます。

予防

髄膜炎の一部は、ワクチン接種で予防することが可能です。2018年3月現在、肺炎球菌やHibは定期接種として導入されており、国や自治体が接種を強くすすめています。また、ムンプスウイルスに対するワクチンは、ご自身の判断で受けられる任意接種で受けることができます。

成人領域の予防接種としては、成人用の肺炎球菌ワクチンがあります。次に該当する方は、定期接種の対象となっています。

  • 65歳以上の方
  • 60歳から65歳未満で、心臓、腎臓、呼吸器の機能に、日常生活活動が極度に制限されるような障害がある方
  • 60歳から65歳未満でヒト免疫不全ウイルスにより免疫の機能に日常生活がほとんど不可能な程の障害がある方

アフリカの一部地域では、髄膜炎菌による髄膜炎が流行しています。このような流行地域への渡航予定があるときにも、事前の予防接種が推奨されます。

髄膜炎の記事を読む

髄膜炎の記事にご協力いただいている医師