ずいまくえん

髄膜炎

最終更新日:
2020年09月23日
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2020/09/23
更新しました
2017/04/25
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概要

髄膜炎とは、脳や脊髄の表面を覆う“髄膜”と呼ばれる3層の膜に細菌、ウイルス、カビなどの病原体の感染、がん自己免疫疾患(免疫の異常による病気)によって髄膜に炎症が生じる病気のことです。

髄膜と脳・脊髄の間には“髄液”と呼ばれる液体が循環するように流れています。通常、髄液は非常に清潔な状態で保たれていますが、外傷や病気などによって髄液中に病原体や炎症を引き起こすがん細胞などが入り込むことによって発症するとされています。

発症すると発熱、頭痛、吐き気・嘔吐などの症状を引き起こしますが、重症化すると意識消失やけいれんなどの神経症状を引き起こすことも少なくありません。特に細菌が原因の髄膜炎は急激に悪化して命に関わるケースもあるため、早期発見・早期治療が重要と考えられています。一方で、髄膜炎は乳幼児や高齢者では典型的な症状が現れないケースもあり、発見が遅れることもめずらしくありません。

原因

髄膜炎の多くは感染症が原因で引き起こされますが、細菌感染による“細菌性髄膜炎”、細菌感染とは関係しない“無菌性髄膜炎”と大きく2つに分けることができます。

細菌性髄膜炎は、肺炎球菌、大腸菌、β群連鎖球菌など通常の感染症を引き起こす細菌によって引き起こされることが多く、ほとんどは体のほかの部位で感染症を引き起こした細菌が血液に乗って髄液内に入り込んでしまうことが原因と考えられています。また、そのほかにも副鼻腔や耳など頭蓋内に近い部位に重度な炎症が生じることで髄膜に感染が波及するケース、髄膜にまで達するような重度な頭部外傷、頭部の手術などによって引き起こされるケースも少なくありません。

一方、無菌性髄膜炎は単純ヘルペスウイルス水痘帯状疱疹ウイルス、真菌などの細菌以外の病原体によって引き起こされ、細菌性髄膜炎と同じく多くは体のほかの部位で感染した病原体が血液から髄液中に入り込むことが原因で発症します。

そのほか、髄膜炎には、がんの細胞が髄液中に入り込むことで炎症を起こす“がん性髄膜炎”、脳や髄膜の細胞を攻撃する自己抗体と呼ばれるたんぱく質が産生されてしまうことによる“自己免疫性髄膜炎”などもあります。

症状

髄膜炎の症状は原因や患者の年齢、重症度などによって異なりますが、一般的には発熱、頭痛倦怠感(けんたいかん)、吐き気・嘔吐、項部硬直(首が硬くなる)などの症状が現れます。

多くは発熱や倦怠感など一般的な風邪症状が現れてから3~5日ほどで徐々に進行していき、重症化して炎症が脳にまで波及すると意識消失やけいれん、麻痺などの神経症状を引き起こすことも少なくありません。特に細菌性髄膜炎は進行するスピードが速いことが特徴ですが、無菌性髄膜炎は神経症状がほとんど現れないケースもあります。

一方、乳幼児はどちらのタイプであっても高熱や嘔吐などの症状が現れるものの、典型的な症状が見られないことも多く、不機嫌、哺乳量減少、活気がないといった様子の変化のみが見られることがあります。

検査・診断

髄膜炎が疑われる場合は次のような検査が行われます。

血液検査

体内の炎症や脱水の程度などを評価する目的で行われる検査です。血液検査のみで髄膜炎の診断を下したり、髄膜炎の原因を判定したりすることはできませんが、全身の状態を調べるために広く行われています。

髄液検査

腰から針を刺して採取した髄液を詳しく調べる検査です。髄液の色や性状、含まれるたんぱく数や白血球数などによって髄膜炎の診断を下したり、大まかな原因を調べたりすることができます。また、髄液の培養検査や遺伝子検査(PCR検査)などをすることで髄膜炎を引き起こした病原体を調べることも可能です。

画像検査

意識障害やけいれんなど、脳自体に何らかの異常が生じていると考えられる場合には頭部CT検査や頭部MRI検査を行うことがあります。

特に頭部MRI検査は髄膜炎の原因によっては特徴的な病変を描出することができるため、早期診断に役立つ検査です。

治療

髄膜炎の治療は、原因となる病原体に対する抗菌薬や抗ウイルス薬、抗真菌薬などを投与しながら、それぞれの症状を緩和させるための鎮痛剤や解熱剤、抗てんかん薬などによる薬物療法が行われます。一方、原因がはっきり分からない場合や抗ウイルス薬などが存在しないウイルスが原因の場合などは症状を和らげる対症療法のみが行われます。

また、自己免疫性髄膜炎の場合には免疫のはたらきを抑える副腎皮質ステロイド薬や免疫抑制薬などが使用されますが、これらの薬剤は万が一感染による髄膜炎であった場合は症状を悪化させることにつながるため慎重な診断が必要です。

予防

髄膜炎を予防するには、何らかの感染症を発症したときは適切な治療を早めに開始することが大切です。特に副鼻腔炎中耳炎などは、それらの治療を続けてしっかり治すようにしましょう。

また、髄膜炎を引き起こす肺炎球菌など定期接種に定められているワクチンがある感染症に関しては、正しい時期にワクチン接種をすることで髄膜炎の発症を大幅に予防することができます。

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