インタビュー

小児救急の体制について-お父さんお母さんにとって心強い存在とは

小児救急の体制について-お父さんお母さんにとって心強い存在とは
寺井 勝 先生

千葉市立海浜病院 小児科 、千葉市病院 前事業管理者

寺井 勝 先生

この記事の最終更新は2015年12月01日です。

夜間に、お子さんが急に具合が悪くなったときどうされますか?「どの病院を受診するか」、「救急車を呼んだほうがいいのか」など、迷われることもあるのではないでしょうか。また、小児救急の体制が現在どのようになっているのか、お子さんがいらっしゃるご両親にとっては気になるところかと思います。本記事では、小児救急の体制の現状と、お子さんの具合が突然悪くなったときにどう行動するかの判断を助けてくれるツールなどについて、千葉市立海浜病院の寺井勝先生にお話しいただきました。

お子さんが夜間急に具合が悪くなったとき、どの病院に行くか決まっていますか? 自治体の休日・夜間診療所もしくは近隣の基幹病院の救急外来に行かれる方が多いのではないでしょうか。夜間救急医療の仕組みのなかで、いわゆる初期救急は地域によって運営形態が2つに分かれます。ひとつは病院外の場所に休日・夜間診療所の拠点をつくり、そこに地域の医師会医や地域の勤務医が出向する院外拠点型です。もうひとつは、基幹病院内に救急外来を設ける基幹病院併設型の仕組みです。それぞれにメリットがあり、地域の実情に併せて運営されています。

わたし個人としましては、後者の基幹病院併設型を好んでいます。その理由は大きく2つあります。ひとつは家族の視点です。基幹病院併設型ではこどもたちにその「基幹病院を受診すれば最後まで診てもらえる」という安心感をもっていただけます。一方、前者の運営形態では緊急の治療や入院が必要となった場合、別の医療機関に移動しなければいけないという不便さが生じます。また受け入れ先がすぐに見つからない場合もあるでしょうし、移動中に病状が急変する場合もあるかもしれません。

もうひとつは、医療者の視点です。併設型では、診断・治療・予後を含め、初期対応が適切であったか否か、そのフィードバックが常にかかるメリットがあります。一方では、救急外来における小児科と小児外科や脳外科などの専門診療科の連携構築、同時に、より重篤なこどもたちを受け入れる集中治療室の整備が課題となります。さらに、夜間救急を担う基幹施設のマンパワーの維持が求められることになり、基幹病院併設型でも課題は決して少なくありません。院外拠点型でも院内併設型においても、医師会医(開業医)と基幹病院の勤務医が協力して救急診療を協働する「併診」システムは地域医療に望ましいシステムと感じています。

私が所属する千葉市立海浜病院の例を挙げてご説明します。小児救急外来では、救急診療にこられた患者さんに対して、まずナースによる「院内トリアージ」とよばれる傷病者の緊急度に応じた治療優先順位の決定を行います。このトリアージに基づき、緊急度の高い患者さんには勤務医が迅速に診察し、比較的緊急度が低く一定の時間、待合室で待って頂くことの可能な患者さんには、主として医師会医が診察するという体制をとっています。この救急システムには人員の確保に加え、医師会医に基幹病院まで足を運んでもらう必要もありますので、医師会医の協力が必要になります。しかし、医師会医と勤務医が同時に千葉市の救急を協働することで、ひとりひとりの医師が協力して地域を守っているという誇りが持てるでしょうし、こうした連携を知っていただくことは住民にも安心感を与えることができるのではないでしょうか。

こどもの救急では多くの場合、どの病院にどのような手段で向かうかという判断は、ご家族がされます。しかし、ご家族も緊急時には冷静な判断ができない可能性もありますし、そもそもどのタイミングに行くべきかもわからない場合もあります。そこで是非参考にしていただきたいのが、日本小児科学会のHPで公開している「こどもの救急」というサイトです。

(参考 http://kodomo-qq.jp/

このサイトでは、生後1ヶ月〜6歳のお子さんを対象に、気になる症状に対して、現在お子さんがどのような状態なのかにチェックを入れることで、ご家族が病院を受診するかどうかの目安を示してくれるので、ご家庭での判断の一助となるのではないでしょうか。また、全国の自治体が提供している国の小児救急電話相談(#8000)事業においても夜間のこどもたちの急変に適切なアドバイスを送っています。

 

小児救急市民公開フォーラム(平成29年11月11日@千葉)について詳しくはこちら

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